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TCFD

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)

TCFDに関する取り組み

世界的な環境問題の深刻化に伴い、日本でも企業の事業活動における環境への負荷軽減が求められております。当社は2023年3月に、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明しました。日本国政府が掲げる2050年カーボンニュートラルの実現に向け、引き続き環境変化による当社の事業影響について分析し、サステナビリティ推進体制のもと環境負荷軽減の活動を推進していきます。
分析内容や取り組み内容については、国際動向や時代に合わせて適宜見直しを行っていきます。

ガバナンス

気候変動を含むサステナビリティ課題への対策として、取締役会がハンドリングし、代表取締役社長執行役員を議長とする「サステナビリティ会議」を設置し、サステナビリティ推進体制を構築、中長期的な企業価値向上とサステナビリティへの取り組みを結び付け、全社的な活動として取り組んでいます。重要課題については、サステナビリティ推進委員会で検討のうえ、サステナビリティ会議の審議を経て、取締役会で決議・報告しています。

会議(開催頻度) 役割
取締役会
(月1回)
サステナビリティに関する重要事項の決議、および、サステナビリティ会議での議論について定期的に報告を受け監督・助言を行う。
サステナビリティ会議
(四半期に1回)
代表取締役社長執行役員を議長とし、本社部門役員が中心として参加。環境、社会、ガバナンス(ESG)を重視し、社会環境の変化に合わせ、サステナビリティ活動の方針・戦略を討議し、活動計画と実行を管理する。当委員会での決議事項および検討事項は取締役会にも四半期に一度報告される。
サステナビリティ
推進委員会
(月1回)
サステナビリティ担当役員を議長として、全社部門長または代表が参加。当社のサステナビリティ活動方針をもとに、社会的責務を果たすことを推進する。サステナビリティに関する課題を抽出し、関係部署にて推進活動を行い、サステナビリティ会議に報告する。

戦略

 将来世界において、気候変動に起因する事象が自社事業活動にどのような影響をもたらすのかを検討するため、下記のようにシナリオ分析を行っています。

対象範囲:富士ソフト シナリオ実施時期:2023年10月
項目 4℃シナリオ 1.5℃シナリオ
シナリオの時間軸 2030年および2050年
主な参考シナリオ IEA Stated Policies Scanario
IPCC RCP8.5
IEA Net Zero Emissions by 2050
※2℃シナリオにあたる下記シナリオも参考
IEA Sustainable Development Scenario, IPCC RCP2.6
シナリオの世界観 現状を上回る気候変動対策が行われず、
異常気象の激甚化など物理的な被害が想定される
脱炭素に向けてより野心的な気候変動対策(法規制など)の
実施が想定される

また、シナリオ分析実施時には環境省が発行する「TCFDを活用した経営戦略立案のススメ(2023年3月発行)」を参考に、下記手順に沿って定性・定量の両面から考察を行っています。

想定されたリスク機会一覧

シナリオ分析の結果、当社事業において下記気候関連リスクおよび機会が想定されました。なお、特定・評価の際にはSASBスタンダードやマクロ的な経済・市場状況および当社中期経営計画も鑑みて考察を行っています。





小分類 考察 時間軸 1.5
4
リスク 移行 カーボンプライシングの導入 カーボンプライシング導入により自社温室効果ガス排出量に応じて、操業コストが増加する 中期~長期 -
プラスチック規制 自社ロボット製品について、使用している化石由来プラスチックの流通制限や、生分解性プラスチックへの変更に伴い、製造コストが増加する 中期~長期 -
エネルギー使用に関する政策規制 化石燃料由来エネルギーの使用制限やエネルギー使用量の削減義務に伴い、電力コストの増加や省エネ設備への更新料が発生する。また、ZEB化推進に伴ってオフィスの賃料が値上げされ、支出が増加する。 中期~長期 -
低炭素技術の進展 xEVや再エネの普及により、半導体の需要がひっ迫し、半導体の調達が困難となった場合、自社製品の開発・提供が遅れ、収益が減少する 中期~長期 -
技術投資 脱炭素社会への移行に対応できず、グリーンITへの投資・開発に遅れが生じた場合、他社に顧客が流出するなど、競合力低下により収益が減少する 短期~長期 -
エネルギーコストの変化 電力価格や原油価格の変動により、自社操業コストが増加する 短期~長期 -
レピュテーション低下による影響 気候変動への対応が不十分な場合、顧客や投資家からの評判が悪化し、売上減少や資金調達難が発生する 中期~長期 -
物理 異常気象の激甚化
  • 異常気象の激甚化により、自社ビルやオフィス、データセンターが被災し、事業活動の遅れや停止が発生する。
    また、災害への事前対策費用や有事の際には復旧費用が発生する
  • 取引先の被災により、自社の売上減少や賃料回収が困難となる可能性が発生する
短期~長期
干ばつ 干ばつの増加により、半導体の調達が困難となり、自社製品の開発・提供が遅れ、収益が減少する 中期~長期 -
平均気温の上昇 気温上昇により、従業員の熱中症リスクが増加する。また、リスク軽減のためにオフィスやデータセンターでの冷房使用量および操業コストが増加する 中期~長期
感染症の増加 感染症の拡大により、従業員の健康リスクが増加する 中期~長期 -




小分類 考察 時間軸 1.5
4
機会 移行 森林保護に関する政策 森林保護政策の強化により、ペーパーレス化に貢献する製品/サービスの需要が増加する 中期~長期 -
エネルギー使用に関する政策規制 顧客がエネルギー使用量抑制やScope3削減のためにデータセンター(特に再エネ活用されている物件)を求め、当社収益機会が増加する 中期~長期 -
その他法規制 スマート工場/物流の推進に伴う関連需要に対応した製品/サービスの提供によって売上が増加する 中期~長期 -
再エネ・省エネ技術の普及 xEV需要の増加に対応した製品/サービスの提供によって売上が増加する。また、省エネ需要の増加に電力制御システムの需要が増加する 短期~長期
低炭素技術の進展 脱炭素に寄与する技術(緩和策)の需要増加に伴い、自社事業領域の収益機会が増加する 中期~長期 -
技術投資 脱炭素社会への移行に対応し、グリーンITへの投資・開発に適応した場合、他社への顧客が流出阻止だけでなく、新たな収益機会が増加する 短期~長期 -
顧客の評判変化 気候変動への対応を積極的に行い、外部から高く評価された場合、顧客や投資家からの評判が向上し、売上増加や安定した資金調達が可能となる 中期~長期 -
物理 異常気象の激甚化
  • 気候変動の影響により、農業における気象予測の需要が高まり、自社技術の需要が高まる。
  • 外出機会の減少により、オンライン販売が拡大し、ECサイト構築の需要が増加する。また、テレワークの活用が拡大し、関連製品/サービスの需要が増加する
短期~長期
降水・気象パターンの変化 渇水対策として、水管理の自動化など農業でのICT活用が促進され、自社技術の需要が高まる 中期~長期 -
感染症の増加 感染症の拡大により、テレワークの活用が拡大し、関連製品/サービスの需要が増加する 中期~長期 -

【時間軸】短期:0~3年 中期:4~10年 長期:11年~
【評 価】青文字:大:億円台の影響 中:千万円台の影響 小:~百万円台の影響
     黒文字:大:定性的に大  中:定性的に中   小:定性的に小
     ※「ー」影響は想定されないもしくは軽微

特定したリスク・機会への対応

上記リスクと機会への対応方針を5つのカテゴリーに区分し、現時点で考えられる具体的な取り組みおよび方針を検討しました。

リスク管理

当社では、気候関連を含む事業活動に伴うリスクおよび機会について、「サステナビリティ推進委員会」が識別・評価を行い、全社的なリスク管理を行う「リスク・コンプライアンス委員会」と連携して、管理を行っています。
「サステナビリティ推進委員会」では、気候関連を含むサステナビリティ課題(リスクおよび機会)について審議を行っており、特に気候関連リスクおよび機会については、外部評価機関からの設問なども参考に、シナリオ分析を用いながら短・中・長期の時間軸および発生可能性や将来予測値(パラメータ)を踏まえた上で、定性・定量の両面からリスクおよび機会の識別・評価を行っています。
また、当社では全社的なリスク管理を行う「リスク・コンプライアンス委員会」を設置しており、平常時および緊急時の行動基準を規程に定め、各部門の事業から生じるさまざまなリスクに関して運用状況をモニタリングすることで、経営に及ぼすリスクを最小限に抑制するよう努めています。
リスク・コンプライアンス委員会は四半期ごとに開催され、本社部門の全部門長が参加しており、【リスク事象の確認(追加含む)】【課題抽出】【対応策の審議】【対応策の実践・評価】のPDCAサイクルにより、法令・社会規範・社内規程を遵守し、業務を適正・効率的に行う体制を構築しています。また、委員会の活動は経営会議に報告され、経営循環に取り込まれています。
サステナビリティ推進委員会で検討された気候関連リスクは、上記のリスク・コンプライアンス委員会にも報告・連携され、その他リスクとの相対的な評価がされています。

会議(開催頻度) 役割
リスク・コンプライアンス委員会
(四半期に1回)
法務・監査部担当役員を議長として、本社部門の全部門長が参加。リスクマネジメントに関する基本方針を確立し、全社横断的なモニタリングを行うことにより、経営に及ぼすリスクを最小限に抑制し、企業価値の維持、向上を図るための審議をする。

指標と目標

当社は、事業活動による環境負荷を軽減するため、温室効果ガス(GHG)排出量の算定を継続的に行っています。再生可能エネルギーの活用や、社内のDX化、業務効率化により、日本国政府が掲げる2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて推進してまいります。
また、今後は連結子会社を含む算定対象範囲の拡大や、Scope3算定を検討してまいります。