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2024年2月14日

株主提案に対する当社取締役会の意見に関するお知らせ



 当社は、当社の株主(以下「提案株主」といいます。)である3D OPPORTUNITY MASTER FUND様より2024年3月15日開催予定の第54回定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)における議案について株主提案(以下「本株主提案」といいます。)を行う旨の書面(以下「本株主提案書面」といいます。)を受領しておりましたが、2024年2月14日開催の当社取締役会において、本株主提案について反対することを決議いたしましたので、下記のとおり、お知らせいたします。





1.本株主提案の内容及び理由

(1)議題
   ①監査役1名選任の件
   ②自己株式取得の件


(2)議案の要領及び提案の理由
 別紙1に記載のとおりです。なお、形式的な調整を除き、本提案株主から提出された本株主提案書の該当箇所を原文のまま記載したものであります。



2.本株主提案に対する当社取締役会の意見

(1)①監査役1名選任の件に対する取締役会の反対意見

[意見]
取締役会としては、本株主提案に反対いたします。

[反対の理由]
 「提案の理由」に記載のとおり、提案株主は、自ら複数のプライベートエクイティファンド(以下「PEファンド」)に働きかけて当社の非公開化に関する提案(以下「非公開化提案」)を提出させた上で、当社の取締役会が各提案者に対して包括的なデュー・デリジェンス資料の提供や法的拘束力のある提案の募集を行わずに買収の是非を検討しており、かかるプロセスは「コーポレート・ガバナンス上の重大な過ちである」と断じて、当社のコーポレート・ガバナンスの改善のために、スティーブン・ギブンズ氏(以下「ギブンズ氏」)を社外監査役に選任すべきであると述べています。
 しかしながら、当社は、非公開化提案について、取締役会及び特別委員会を中心に「企業買収における行動指針」に沿った真摯な検討を行っているため、提案株主の主張するようなコーポレート・ガバナンス上の過ちなど存在しないこと(下記1ご参照)、並びに、当社の現状の取締役会・監査役会の体制及びギブンズ氏のスキルセットや資質・経験等からして同氏を追加で監査役に選任すべきとは考えられないこと(下記2ご参照)から、当社取締役会は本株主提案に反対いたします。

1.当社は公正性・透明性の確保された体制で非公開化提案を真摯に検討しており、コーポレート・ガバナンス上の過ちなど存在しないこと

 当社が2024年1月12日に公表した「企業価値向上策の検討状況に関するお知らせ」に記載のとおり、当社は、当社の企業価値を向上させる経営上の選択肢を検討するに当たり、検討プロセスの公正さと透明性を高めるために、独立した社外取締役のみで検討を行う体制を確保することとし、2023年7月25日開催の取締役会において、企業価値向上委員会のワーキング・グループ(以下「WG」)として、独立社外取締役のみから構成される独立取締役WGを設置しました。その後、当社は、提案株主の依頼に応じた複数のPEファンドから当社の非公開化に関する提案を受領したため、検討プロセスの公正さと透明性を確保し、真摯な検討を行う必要があると判断し、2023年9月12日開催の取締役会において、独立取締役WGよりもさらに権限等を拡充した委員会として、独立社外取締役6名のみから構成される特別委員会を設置しました。特別委員会の委員には、2022年12月4日開催の当社臨時株主総会において、提案株主自身の提案に当社取締役会も賛同して会社提案兼株主提案として社外取締役にご選任いただいた清水雄也氏及び石丸愼太郎氏も含まれております。
 特別委員会への委嘱事項は、以下のとおりであり、当社の取締役会は、下記の委嘱事項に関する特別委員会の判断内容を最大限尊重して当該事項に関する意思決定を行うことを決議しております。

  ①当社の策定した企業価値向上策と、非公開化提案に係る買収者の提示する企業価値向上策について、企業価値ひいては株主共同の利益を確保し又は向上させるかという観点から比較検討を行い、いずれが望ましいかについて取締役会に提言又は勧告を行うこと

  ②上記①において非公開化提案の買収者の提示する企業価値向上策が当社の策定した企業価値向上策よりも望ましいという判断になった場合には、非公開化提案について、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し又は向上させるかの観点から検討し、当社の取締役会において非公開化提案を承認するべきか否かについて、取締役会に提言又は勧告を行うこと


 また、特別委員会は、独自のアドバイザーとして、フィナンシャル・アドバイザー、法務アドバイザー、ビジネス面での分析を実施するコンサルティング・ファームをそれぞれ選任しております。
 上記の体制の下、特別委員会においては、自らのアドバイザーやコンサルタントの助言を得つつ、当社執行部から完全に独立して、上記諮問事項について公正かつ適切な評価・検討を進めており、その過程で、特別委員会自ら各PEファンドと面談し、各PEファンドとの間でQ&Aセッションなどを実施しております。
 他方、当社の執行部においても、特別委員会の見解や当社のアドバイザーからの助言等を踏まえつつ、各PEファンドから受領した非公開化提案により実現される当社の企業価値向上策等と、上場会社としての当社が策定した新中期経営計画における企業価値向上策等を比較検討することなどを通じ、当社の企業価値を最大化するための経営上の選択肢の精査を進めております。その過程で、当社執行部も、各PEファンドとの間で、非公開化後の経営方針や事業戦略についてQ&Aセッションを実施するとともに、必要に応じ一定の情報を提供し、その結果も踏まえたディスカッションを実施するなどして、各提案に対する理解を深め、その評価の精緻化を進めております。
 このように、当社としては、非公開化提案の買収者に対して一定のデュー・デリジェンスの機会を提供しつつ、非公開化提案について真摯な検討を行っております。かかる検討プロセスは、経済産業省が2023年8月31日に公表した「企業買収における行動指針」に沿った公正かつ適切なものであって、「コーポレート・ガバナンス上の過ち」があるとの批判は全く当たらないと考えております。
 なお、提案株主は、「企業買収における行動指針」を引用しつつ、買収候補者への包括的なデュー・デリジェンス資料の提供や法的拘束力のある提案の募集をしなければ健全な検討プロセスとはいえないと述べています。しかしながら、同指針は、デュー・デリジェンスにおける情報提供の範囲や、他の買収提案を模索するか否か等に関し、とりわけ会社の取締役会が何らかの買収に応じる方針を決定していない場合においては、会社の取締役に広い裁量があることを前提としております。そして、当社においては、上記のとおり企業価値の最大化を図る観点から企業価値向上策等を比較検討している段階であって、未だ何らかの買収に応じる方針を決定しているわけではないため、かかる段階で包括的なデュー・デリジェンスや法的拘束力ある提案の募集を行わなければならないとの見解は、同指針に沿うものではなく、提案株主独自の主張と言わざるを得ません。

2. 当社の現状の取締役会・監査役会の体制及び本株主提案の候補者のスキルセットや資質・経験等からして同氏を追加で監査役とすべきとは考えられないこと

 当社は従前より、取締役会の過半数を独立社外取締役が占め、監査役会の過半数を独立役員である社外監査役が占めるという独立性の高い取締役会・監査役会の体制を前提に、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図るために、企業経営、経営管理、業界知見、営業、財務/会計、法務、資本市場等に精通した人材を、多様性や規模などの取締役会・監査役会全体のバランスを考慮した上で、取締役・監査役として配置することとしてきました。本総会において当社取締役会がご提案する本定時株主総会議案をご承認いただいた場合の具体的な取締役及び監査役のスキルマトリクスは 別紙2に記載のとおりであり、その中には、2022年12月4日開催の当社臨時株主総会において、提案株主自身の提案に当社取締役会も賛同して会社提案兼株主提案として社外取締役にご選任いただいた清水雄也氏及び石丸愼太郎氏も含まれております。
 今般、提案株主は、自ら提案した社外取締役が既に2名存在することには一切触れず、当社のコーポレート・ガバナンスに瑕疵がありそれを是正する必要があるなどとして、新たな監査役の候補者を提案しています。当社としては、このような提案についても、取締役会・監査役会全体の構成も踏まえつつ、当社に必要なスキルセットを有する人材であるかどうか等を見極めた上で、適切であると判断すれば受け入れるべきと考えております。
 そこで、当社取締役会は、監査役会・指名委員会とも連携し、当該候補者と面談を行った上で、候補者の資質・経験・専門性に加え、当社取締役会・監査役会の全体構成における役割、機能等の観点から検討・審議を行いました。その結果、ギブンズ氏につきましては、以下のとおり、同氏の有するスキルセットや資質・経験等からして同氏を追加の監査役とすべきとは考えられないとの結論に至りました。
 まず、当社においては、「法務」を当社取締役・監査役に必要なスキルセットとして挙げておりますが、既に、社外取締役として弁護士である仁科秀隆氏が選任されており、また、社外監査役としても弁護士である押味由佳子氏が選任されています。両氏とも、日本法の弁護士としての幅広い見識や経験のみならず、複数の上場企業の社外役員として企業経営に関与した経験をもとに、当社の事業運営への適切な監督・助言を行っており、当社の取締役会・監査役会における「法務」のスキルセットは、両氏により十分に満たされています。そのため、ギブンズ氏の選任により「法務」のスキルセットを補う必要はなく、むしろ同氏を選任するとスキルセットが重複してしまうことになります。
 また、提案株主から送付されたギブンズ氏の経歴上、仁科氏や押味氏と異なり、上場会社における社外役員としての経験がなく、同氏との面談の内容を踏まえても、複雑な経営環境に置かれている当社において、社外監査役として、わが国における会社法、コーポレートガバナンス・コード、「企業買収における行動指針」等の各種ルール、最新の企業買収の動向等に沿った職務遂行を期待することができるのかについては、確証が得られませんでした。
 ギブンズ氏を監査役候補者とすることの是非については、取締役会のほか、独立役員である社外監査役が過半数を占める監査役会や独立社外取締役が過半数を占める指名委員会においても議論がなされましたが、上記の諸点を踏まえると、ギブンズ氏を追加で監査役とすべきとは考えられないという結論となりました。

3.結論
 以上の理由から、当社取締役会としては、本株主提案に反対いたします。


(2) ②自己株式取得の件に対する取締役会の反対意見

[意見]
取締役会としては、本株主提案に反対いたします。

[反対の理由]
 当社が2024年2月14日に公表した「中期経営計画2028」に記載のとおり、当社は、今後5年間で1,000億円以上の自己株式取得を含む約1,400億円規模の株主還元を、戦略的提携やM&A、子会社政策、人的投資、研究開発等の成長投資とあわせて実施していく予定です。
 かかる方針は、当社の中長期的な企業価値及び株主共同の利益を最大化させるという観点から、取締役会で慎重に検討し、決定したものです。5年間で1,400億円規模の株主還元を実施することも含めて、株主還元と成長投資の最適なバランスを確保しつつ、適切なタイミングで機動的な資本配分を実行する当社の方針こそが、資本収益性の向上と持続的な成長の双方を実現し、当社の中長期的な企業価値及び株主共同の利益の向上に資するものであると考えております。
 これに対し、提案株主から提案された本株主提案は、本総会終了後1年間で750億円という規模の自己株式取得を求めるものですが、本株主提案「提案の理由」に記載のとおり、提案株主の主張する自己株式取得の規模・期間は、足許の当社の株価水準と出来高から機械的に算出されたものにすぎず、また、当社の中長期的な企業価値及び株主共同の利益を最大化させるという観点から検討されたものでもありません。
 かかる自己株式取得を実行しようとすれば、当社が中期経営計画に基づいて行う今後の投資活動の機動性や経営の自由度を損なうおそれがあるとともに、今後5年間にわたって予定している成長投資や配当を含む株主還元の原資とすべきキャッシュの相当部分を本総会終了後1年間の自己株式取得に利用することとなり、中長期にわたっての当社の企業価値向上のための成長投資や株主還元を行うことができなくなる結果、当社の中長期的な企業価値及び株主の皆様の中長期的な利益を毀損するおそれがあります。また、提案されている自己株式取得の規模・期間は、そもそも市場における当社株式の流動性等を踏まえると実現可能性が低い上に、現時点における当社の分配可能額(約770億円)のほぼ全てを単年の自己株式取得に充てるというものである点において、実行時の当社の財務状況を著しく不安定にし、配当を含む今後の株主還元を困難にするおそれも高い短視眼的な提案であると考えております。
 なお、提案株主は、当社が非公開化提案を拒否した場合、当社株式が市場で過小評価されていることになるため、自己株式取得をしてその乖離を解消すべきであると述べていますが、当社は、5年間で約1,400億円の株主還元を行うことを含む上記のキャピタルアロケーションを実施していくことこそが、当社の中長期的な企業価値及び株主共同の利益の向上につながり、それが市場株価にも反映されていくものと考えております。
 以上の理由から、当社取締役会としては、本株主提案に反対いたします。



以上


【ご留意事項】
 本開示は、当社や他社に対する投資その他の取引の勧誘若しくは斡旋等又はこれらを阻害することを目的としたものではありません。本開示に記載されております戦略・計画・方針・予想等の将来に関する記述は、本日現在において当社が入手している情報に基づく一定の前提(仮定)及び将来の予測等を基礎として当社が判断したものであり、これらには様々なリスク及び不確実性が内在していることをご承知おきください。

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