2022年3月1日
当社は、当社の株主(以下「提案株主」といいます。)である3D OPPORTUNITY MASTER FUND様より2022年3月11日開催予定の第52回定時株主総会(以下「本定時株主総会」といいます。)における議案について株主提案(以下「本株主提案」といいます。)を行う旨の書面(以下「本株主提案書面」といいます。)を受領しており、2022年2月17日に「株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ」を公表いたしました。
当社は、従前から多くの株主様と対話を重ねており、2022年2月10日に公表しました「中期経営計画」においても、株主様のご意見を踏まえた形での公表とすべく努力を続けてまいりましたが、2022年2月18日に、当社株主である3D Investment Partners様(以下、「3D様」といいます。)より「富士ソフトの企業価値創造のために」と題されたプレゼンテーション資料が公表されましたことで、株主様からご質問・お問い合わせをいただいております。
プレゼンテーション資料「富士ソフトの企業価値創造のために」につきましては、一部において誤解が見受けられるものの、ご指摘いただいた内容につきましては、真摯に受け止めて、今後の経営の参考にさせていただくと同時に、当社は、引き続き株主様との対話を継続し、株主様のご意見も踏まえた経営を進める所存であります。
以下、特に株主様からのご質問・お問い合わせの多かった項目につきまして、正確な情報を関係者の皆様にご提供するため、当社の見解を公表することといたしましたので、下記の通りお知らせいたします。
記
1.当社の経営方針及び今後の成長戦略について
当社は、変化の激しいシステム・ソフト開発業界において、51年の間、着実に成長を続けてまいりました。独立系IT企業として、資本系列等のバックボーンを持つ大手企業に対抗すべく、長期に渡る付加価値向上と安定した成長を目指してまいりました。その時々の技術の発展や様々な環境の変化をチャンスと捉え、他社の追随や特定の技術分野・業種に拘泥することなく、事業を常に変化・発展し続ける独自の経営戦略を強みとして成長してまいりました。一方で、そういった強みが当社独自のものであるが故に、十分にご理解をいただくまでに時間を要することや、同業と分類される他社と比較した場合に一部の経営指標が劣後していると捉えられる場合があり、そういった点を3D様からご指摘いただいているものと受け止めております。
当社は、大きく変化しながら成長を続けるマーケット環境の下、中核事業である受託開発SI事業に重点を置いておりますが、幅広く発展する技術分野や様々な業種におけるDX化の流れによって、それぞれの技術と業種がクロスオーバーして発展していくことを想定し、大きく分野を絞り込むことはしておりません。そのような中、AIS-CRMに代表される付加価値の高い最新技術分野や業種に重点を置き、売上と利益の絶対額の成長を重視して生産性向上の努力も行っておりますが、成長のための人財投資や社員への継続的な処遇改善も必要となっており、利益率については徐々に改善していくこととしています。このような取り組みにより、直近10年間(2012年3月期~2021年12月期)におきましては、売上高で約1.9倍、営業利益高で約2.3倍、当期利益高で約2.3倍、ROEで2.3%の改善、株価で約5倍の上昇を果たしております。
このような成果も踏まえて、当社は、2022年4月4日に移行する株式会社東京証券取引所の新市場区分について、「プライム市場」を選択いたしました。今後とも、適切な情報開示と透明性を確保し、株主様を始めとするステークホルダーのご意見等にも配慮しながら、コーポレートガバナンスの強化と中長期的な企業価値の向上に取り組む意志を表明すべく、「中期経営計画」においては、従来は公表していなかったROE等の指標も経営目標として重視することを示しております。
また、会社提案による取締役体制では、取締役会実効性評価の結果を踏まえ、過半数が独立社外取締役により構成される経営委員会での審議を経て、高い財務・会計・ファイナンススキルを有し、当社の属するIT業界にも経験のある独立社外取締役候補者の選任を提案しております。スキルや経験のバランスにも配慮した会社提案の取締役候補者9名が、資本配分などの重要なテーマについても、より一層企業価値向上に資するように監督していく体制として最適な布陣であると確信しております。加えて、株主様との対話を踏まえ、当社のビジネスモデルを理解したうえで客観的な視点で助言を頂ける外部のコンサルタントの活用も検討し、さらなる企業価値の向上とともに、当社の経営方針を分かりやすく正確に伝える情報開示の充実も目指してまいります。
2.不動産保有について
上記に記載の成長戦略におきまして、当社の優位性を持つための手段の一つとして自社不動産を活用しており、開発コストの低減とそれに応じた価格競争力の確保や、セキュリティ対策の整った専用プロジェクトルームを設置すること等で、お客様を始めとする外部からの信用を獲得しております。また、自社不動産の魅力を高めることが社員の満足度や優秀な社員の確保につながっており、保有する不動産が当社独自の強みの源泉として企業価値向上に大きく貢献してきたと評価しております。
「中期経営計画」におきましては、これまでの株主様との対話を受け、初めて不動産保有についての当社の考え方を公表いたしました。しかしながら、その内容に関するご質問・お問い合わせもいただいておりますので、詳細につきましては、2022年3月1日に公表した「中期経営計画補足説明資料」をご参照下さい。
① 生産工場としての定義と評価基準について
一般的に、製造業を営んでいる企業が新規に拠点(生産工場)を作る際には、開設に要するコストとそこから得られる予想収益とを比較して十分な収益率となるかを以て投資判断を行います。当社の拠点が産み出す収益は、ソフトウェア開発の生産活動によるものであり、その収益率の計算式は「中期経営計画補足説明資料」に記載しております。「中期経営計画」におきましては、2021年12月末時点で建築中のものを除く稼働している不動産からの生産による収益率の平均値として30%超と記載しております。
なお、不動産への投資につきましては、賃借した場合のランニングコストと自社保有の場合の初期費用及び運用コストとで長期間の現在価値の比較を行う等、多面的な評価を行った上で判断しております。
② 賃貸事業とその収益率について
当社は、その時々のビジネス環境、中長期の展望や物件のテナントニーズ等を総合的に勘案して、
不動産利用の最適化を図っており、一時的に自社利用の必要性が無くなったビルや一部フロアを賃貸事業として活用しております。株主様との対話の中で、不動産の評価についてはROICを指標とすべきとのご意見を頂きましたので、不動産賃貸事業は当社のコア事業ではないものの、仮に全ての不動産を賃貸事業に利用した場合として算出したROICが4.3%であり、当社資本コスト(WACC)4.2%以上の収益率があることを確認しています。そのため、賃貸事業単体でも資本コストを超える収益率がある旨を「中期経営計画」にて記載いたしました。
③ 今後の不動産保有について
当社は、「中期経営計画」に記載の通り、不動産への投資はコア事業への投資と考え実施し、それにより価格競争力や人財確保等における当社独自の強みの源泉になっていると評価しておりますが、今後は、保有不動産の時価評価額も踏まえて中長期的な企業価値向上の観点のもと、時機に応じた多面的な評価により判断してまいります。また、保有不動産の評価手法や今後の経営判断の基準につきましては、外部の不動産専門家のご意見も客観的評価の参考として取り入れる等、透明かつ公正な企業価値向上に資する経営判断を実施できる体制の構築を図ってまいります。
3.ガバナンス及び取締役体制について
当社取締役会は、指名委員会としての機能を有し、過半数が独立社外取締役で構成される経営委員会での審議を経て、スキルや経験のバランスにも配慮し、当社基本方針や中期方針のもとで継続的な企業価値の最大化への寄与が期待できる取締役候補者を選任することにより、最適且つ実効性ある経営監督機能を有する体制となっています。今回の定時株主総会の会社提案につきましては、プライム市場への移行も鑑み、企業統治、リスク・コンプライアンス、経営管理といった点を重視するとともに、高い財務・会計・ファイナンススキルを有し、当社の属するIT業界にも経験のある独立社外取締役候補者を提案しております。新たな体制で今後の成長と企業価値の向上を目指し、資本配分などの重要テーマを継続的に検討するうえで、会社提案としてご提案する取締役候補者9名が最適な布陣であると考えます。
他方で、株主提案の候補者2名につきましては、継続的な対話の中で代表取締役の坂下が面談を行っております。2021年6月には、創業家の保有する株式の生前贈与と併せて3D様の資金で全ての株式を取得するMBOにより非上場化を行い、保有不動産を私募REITに移転することで創業家に収入をもたらした後に再上場をするスキームの提案も頂いております。本提案につきましては、必ずしも3D様以外の少数株主様の利益とならないこと、保有不動産は当社のコア事業に必要であり個人の利益に転嫁することは望んでいないこと等から、お断りする旨を2021年6月29日開催の取締役会に報告しております。このような経緯も踏まえまして、株主提案の候補者2名は、いずれも提案株主と同一の投資グループに属する関連法人(3D様)のCEOまたは特別顧問でもあり、必ずしも客観的な中長期の企業価値向上の観点ではなく、特定の株主の利益代表になりえることを危惧しています。また、3D様が当社に対して提示した利益率の改善といった事業の本質のテーマにつきましては、外部のコンサルタントの仮説の提示と、事業特性の異なる企業も含まれる他社との数値を比較することが中心で、当社のこれまでの成長における戦略や強みについては一切分析されていない、客観性に欠けた内容になっております。このような経緯も踏まえて、経営委員会での審議を経たうえで取締役会にて検討した結果、2名の選任については適切ではないと考えております。
また、3D様より、当社の創業者であり現取締役相談役の野澤が実質的な支配株主であるとのご指摘を受けておりますが、野澤の保有する議決権は、親族等が保有する共同保有者分を加算しても約16%に過ぎず、既に代表取締役や取締役会長を外れて経営の第一線からは退き、業務執行を行わずに経営をサポートする立場にあります。加えて、上記のとおり、当社の取締役会は、取締役9名中3名が独立社外取締役で構成されており、取締役候補者の決定は、過半数が独立社外取締役で構成される経営委員会での審議を経て行っていることからしても、野澤が当社を「支配」していることはありません。
当社は、今後も株主様との対話を重視し、株主様のご意見も踏まえ、適宜外部のコンサルタント等のご意見も経営の参考として、ディスクロージャーの充実及び資本効率を意識した経営により企業価値向上に取り組んでまいります。
以上
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