株式会社シャノン
取締役 技術統括担当役員
堀 譲治様(右)
技術統括部 PlatformTechnologyチーム
インフラストラクチャ エンジニア 藤倉 和明様(左)
◇業態についてお聞かせ下さい。
シャノンはセミナー・イベントの受付管理のSaaS型サービスを提供する会社です。セミナー運営業務を効率化するASPサービス「スマートセミナー」は、IT企業、メーカーを中心にこれまで200社以上に利用されています。
もともとは学生ベンチャーで、代表の中村健一郎が大学在学中に設立しました。若い社員が多く、役員を含め社員の平均年齢は26歳です。
◇G Suite(旧Google Apps)をどのように活用していますか。
2008年10月にG Suiteを41ライセンス導入し、全社で使用しています。使用しているツールは以下の通りです。
1.Gmail
使用していたメールソフト(Thunderbird)からGmailに全社的に移行しました。
2.Googleカレンダー
グループウェアとして、個人の行動管理、組織の行動管理、会議室の管理などを行っています。
3.Googleドキュメント
シャノンでは製品の仕様や機能のまとめなどをスプレッドシートを使ってチーム内、チーム間で共有しています。また、進行中のプロジェクトの細かいタスク管理などは特にスプレッドシートが便利なので活用しています。
そのほかチーム内の予算管理、会議で利用したプレゼンテーション資料の共有、懇親会の出欠を「フォーム」でまとめたりしています。
4.Googleサイト
簡単にポータルサイトが作れるので、部署やグループなどの組織ごとはもちろん組織を横断する委員会などのサイトも作っています。
たとえば、インフラチームのサイトにはサーバー情報等がアップされていますので、営業担当がお客様からサーバースペックやセキュリティについて質問を受けた場合に参照しています。現在サイトの数はアクティブなものだけで10を超しています。
5.Googleビデオ
主に以下3つの目的で使用しています。
1)社長メッセージの共有
月に一度のマネージャーミーティングの際、マネージャー陣とは情報共有ができていたのですが、やはり全社員にその月の大事なポイントが伝わっているとは限りませんでした。G Suite導入後は社長が動画で「今月のメッセージ」という形でメッセージを簡単に配信できるようになり、情報共有がスムーズになりました。
2)eラーニングツールとして
シャノンはISMSの取得企業なので、定期的に社員に対して情報セキュリティの教育研修を行わなければなりません。導入後はこの研修をGoogleビデオで行っています。同様に中途採用の社員の教育にも使っています。
3)現場(展示会)状況の共有
技術者は、自分たちが作っているシステムが実際にどのように現場で使われているのかを見る機会はあまりありません。そこで以前から現場担当者に展示会の様子を動画に撮ってもらっていました。サーバー容量を気にしながらエンコードにもかなり時間がかかっていましたが、Googleビデオを使えばそれらを一切気にする必要がなく、気軽に動画を活用しています。これにより、あまり現場に行けない技術者でも現場の状況を簡単に知ることができるようになりました。
◇G Suite(旧Google Apps)を導入した経緯を教えてください。
シャノンではこれまでメールまわりでいくつか課題がありました。社員共通のメールソフトはThunderbirdで、特に機能的な問題はありませんでしたが、毎日大量に来る迷惑メールに悩まされていました。アンケートをとると、社員それぞれ毎朝3分ほどを迷惑メール処理にあてていることがわかりました。
また、プロジェクトごとにメーリングリスト(ML)を作成するため管理者へのML作成依頼が月に20件近くありました。時にはタイムリーに対応できないこともあり、作成希望者が自分でMLを作成できるセルフサービス形式にしたいと考えていました。
それらの課題を解決する新たな仕組みを考えなければなりませんでしたが、社内インフラは専任の担当もおらず、大きな投資をするつもりはありませんでした。私たちはお客様にサービスを提供している企業ですから、リソースが10あるとすればお客様に9割をかけ、社内インフラはできれば1割程度に抑えたいところです。
とはいえ、社内業務もまた重要です。いかにコストをかけず、いかに少ないリソースで効率よく社内業務を回していくか。それにはどんな仕組みが適当なのか、常に情報を探していました。
G Suiteについてはいち早く情報をキャッチしていました。日本版がリリースされてすぐ、2008年の7月から技術グループを中心にフリー版を試用しはじめました。
◇G Suite(旧Google Apps)導入を決定した理由を教えてください。
G Suiteがあまりに便利なので、いろんな機能を使い始める社員が出てきてしまいました。セキュリティ上機密情報はGoogleドキュメントでは使用しないなどの規制を作りましたが、それが守られているかどうか社員全員をチェックすることは事実上不可能です。
「これを使うな」と規制をかけるよりは、「好きに使ってくれ」と全面的に許可してしまったほうが生産性は上がるだろうということで、導入が決定しました。
導入の後押しをしたのは管理者オプションです。フリー版と違ってG Suiteには管理者用画面があり、アカウントの一元管理ができます。これは大きなポイントでした。
◇導入はどのように行いましたか。
フリーのアカウントを用意してもらい、カレンダー、ドキュメント、MLの3つを予行演習を2~3回してから移行を行いました。MLだけはインポートとエクスポート機能がなかったため自社でアプリケーションを組んで移行しました。
導入そのものは1日でしたが準備に3~4週間、工数でいうと10日ほどで済みました。
◇導入して約1年がたちました。これまでのところどんな導入効果がありますか。
G Suiteの導入効果は以下4つです。
1.年間288万の「迷惑メールコスト」の削減
社員一人につき3分、1ヶ月で約60分、人件費に換算すると社員全員で月額約24万円を迷惑メール処理に費やしていましたが、Gmailの導入でこれがゼロになりました。
2.社内コミュニケーションの向上
G Suiteの導入でドキュメント、サイト、ビデオなど社内コミュニケーションのチャンネルが大きく増えました。みんなが簡単に発信できるので、社内のコミュニケーションの質も量もぐんと上がりました。
3.サーバー管理者の負荷軽減
これまでは、社員が増えるたびにアカウントを増やしたり、サーバーの負荷を考えて増設を検討したりなどスケールアップのコストがかかっていましたが、G Suite導入後はそれらは全く考えなくてよくなりました。管理者権限も各部署の上長に渡していますので負荷が分散し、管理者はそのぶんお客様に提供するサービスに注力することができるようになりました。
4.検索活用による業務効率化
これまで使っていたメールソフトではほとんどの社員はフォルダに振り分けていましたが、Gmailでは振り分けずに検索だけで目的のメールを呼び出しています。振り分けの手間がなくなった上に検索スピードが速いので以前より明らかに業務が効率化しています。また、Gmailラボ(※)で公開されている「マルチ受信トレイ」や「添付忘れチェッカー」「送信取り消し」などの便利な機能を先行して使用できるのも大きな魅力の一つです。
※Gmailラボは、Google社のエンジニアが実験的に公開している機能です。
◇富士ソフトへの評価をお願いします。
富士ソフトはSIerであり、G Suite(旧Google Apps)のユーザーでもあるので技術力とナレッジに大きく期待しています。今のところ期待を裏切られたことは一度もありません。導入の際にはかなりたくさん質問をさせていただきました。移行の際の質問も合わせると15回以上はあったかと思います。中にはかなり複雑な質問もありましたが、富士ソフトにはすべて丁寧に答えていただきました。
Google社と直接取引をするという選択肢もなかったわけではありませんが、富士ソフトのような日本企業を間に挟んでよかったと思います。Google社との取引はクレジットカード決済ですが、富士ソフトは一般的な日本の商習慣にのっとった取引ができますので経理上の例外を作らずにすみます。
G Suiteは日々進化しています。追加投資をせずに機能が上がっていくのは非常にうれしいことです。今後もますますG Suiteを使いこなしていきたいと思いますので、これからもサポートをよろしくお願いします。