近年、内閣府主導のスーパーシティ構想により、行政機関や企業に蓄積されたデータを安全に連携し、様々なシステム間で活用できるようにするデータ連携基盤に注目が集まっています。本連載では、安全性と透明性を担保しながら複数のシステム間でのデータ利活用を実現するデータ連携基盤「UXP(Unified eXchange Platform)」の有用性について紹介します。
都市全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を目指し、内閣府が主導しているスーパーシティ構想。例えば、医療、介護の分野を例にとると、実現のためには、自治体や、研究機関、医療機関、介護施設等と避難支援サービス、介護、医療向けサービス間の協働・連携が必須であり、これを支える中心的な仕組みとして位置付けられるのがデータ連携基盤です。富士ソフトでは特に、医療分野にフォーカスを当てて、UXPを生かした課題解決に着目しています。
そこで扱われるデータは「安全であり、正確であること」とともに、個人を特定できるような情報を含むパーソナルデータがどのように使われたのかを住民自身が簡単に把握できるという「透明性」が確保されていること、何度も同じ情報の提供を求められない「ワンストップ/ワンスオンリー」であることが求められます。
このデータ連携基盤を世界に先駆けて実現した事例として、エストニアにおける電子政府の取り組みを見てみましょう。
エストニアは北欧バルト三国の中でも最も小さな人口約130万人の国ですが、今では「世界最先端のIT先進国」として知られるようになりました。日本のマイナンバーカードにあたるIDカードは、ほぼすべての国民に普及。99%を超える行政サービスがデジタル化されており、なかでも注目すべき分野がヘルスケアです。
2008年に始まった「e-Health」と呼ばれる政策のもとで医療データのデジタル化を推進しており、現在では各医療機関や医師によって生成される医療データの95%以上がデジタル化されています。この医療データがすべての病院から薬局、大学、行政に至るまで、すべての関連機関で共有されるのです。
これにより医師が処方箋を発行する際はオンラインで情報を入力するだけで済み、患者は最寄りの薬局でIDカードを提示すれば薬を受け取れます。また、薬局では会計時に国の健康保険データが自動的に参照され、患者に受け取り資格のある医療補助金が適用されます。この一連の過程で紙の書類のやりとりは一切ありません。
こうしたエストニアの電子政府を支えているのが「X-Road」というデータ連携基盤です。パーソナルデータの厳重なセキュリティを担保するとともに、前述したデータの安全性、正確性、透明性、ワンストップ/ワンスオンリーのアクセスを実現しています。
さらに、このX-Roadを基に「UXP(Unified eXchange Platform)」というデータ連携基盤ソリューションが開発され、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)やウクライナの電子政府をはじめ、世界各国の行政機関や関連組織での採用が広がっています。
富士ソフトは「汎用的であり既存資源を有効活用できる」「パーソナルデータを取り扱える」といったUXPの特長に着目。単なるUXPの基盤提供だけにとどまらず、様々な地域の「困った」に寄り添い、自治体をはじめ地域社会と一緒になって課題解決を検討することで、スーパーシティの実現に貢献したいと考えています。
後編では、スーパーシティ構想の実現に欠かせない情報プラットフォームとしてUXPがもたらす有用性を解説します。
UXP(Unified eXchange Platform)はCybernetica AS社の開発した商標登録製品です。
https://cyber.ee/products/secure-data-exchange/
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