NVIDIA Omniverseとは、NVIDIA社が提供する産業のデジタル化やPhysical AI(物理AI)シミュレーションのためのオープンプラットフォームです。効率的に3Dアプリケーションを開発し、共有し、シミュレーションを行うことができるように設計されています。主な特徴としては、リアルタイムに行える共同作業や、高度な物理シミュレーション、OpenUSDを基盤とした構築による様々なツールとの連携により、仮想空間を用いて現実空間の課題に対応できることです。
代表的なOmniverseのサービスとして、シミュレーションツールであるOmniverse Isaac SimやクラウドプラットフォームのOmniverse Cloud、AIを使った顔のアニメーション生成ができるOmniverse Audio2Faceなどが挙げられます。また、新サービスとして実世界の施設に導入する前に、デジタルツインでロボット フリートを大規模に開発およびテストを行うMega Omniverse Blueprintや、Physical AI開発用のNVIDIA Cosmosなども発表され、Omniverseの注目度は高まっています。
NVIDIA Omniverse Isaac Sim(アイザックシム)は、Omniverseを基盤するロボティクスシミュレーションプラットフォームです。フォトリアルな仮想環境(デジタルツイン)が特徴であり、AIベースのロボット開発、自律移動ロボットのソフトウェア開発、ロボットアームのシミュレーション、デジタルツインなど様々な用途で使用することができます。
また、AIモデルのトレーニング用のバウンディングボックス、深度、セグメンテーションなどに対応したデータセットを自動生成するOmniverse Replicator、ロボットのAI学習のためのIsaac Lab(旧 : Isaac Gym)などのサポートツールが準備されているため、より実践的かつ効率的なロボット開発を進めることができます。
Isaac Sim Replicatorは、効率的な合成データの生成を可能にするIsaac Simの拡張ツールです。主にAIやロボットのトレーニングに必要な大量の高品質なデータセットを効率的に作成するために使用されます。Isaac Simのシミュレーション環境を活用することで、RGB画像や深度画像、セグメンテーションマスクなどの様々なデータの入手を簡単に行うことができます。さらに照明、カメラの位置、オブジェクトの配置などの環境ランダム化や、バウンディングボックス、セグメンテーションなどのアノテーション付きデータの自動生成もでき、より効率的な合成データの生成が可能です。
Isaac Labは、Isaac Simをベースに構築されたロボット学習用の統合モジュール フレームワークです。特に自律移動ロボットや産業用ロボットのロボットAI開発に適しており、NVIDIA社のGPUを最大限に活用することで、数千台のロボットをIsaac sim上で動かし、効率的な模倣学習や強化学習を行うことができるという大きな特徴も持っています。また、Isaac SimはROS2対応しているため、Isaac Labで学習したロボット制御も実際のロボット環境とシームレスに連携が可能です。
OpenUSDとは、Pixar Animation Studiosによって開発された3Dファイルフォーマットです。NVIDIA社は、OpenUSDを基盤軸としてOmniverseを構築しており、OmniverseのIsaac SimもOpenUSDを基盤技術として採用しています。その背景としては、OpenUSDは一貫性のあるフォーマットや複雑なシーンの管理ができる階層構造、高い拡張性など特徴を持ち、3Dデータの制作を効率化できるからです。また、NVIDIA社は、生成AIによるOpenUSDファイルの生成やOpenUSDファイルの検索(膨大に準備されたアセットから検索)などのOpenUSD関連のツールも公開しており、よりスムーズにIsaac Sin上でのシーン作成やロボット開発することができます。
PhysXとは、NVIDIA社が開発したリアルタイム物理シミュレーションを提供する物理エンジンです。ゲーム開発、VR/AR、映像制作など様々な用途で広がりを見せている注目度の高い物理エンジンであり、Isaac SimもPhysXを活用しており、衝突検出や剛体力学、柔体力学など様々なシミュレーションを可能としております。
Isaac ROSとは、NVIDIA社が提供するROS2(Robot Operating System 2)向けのソフトウェアフレームワークです。主にNVIDIAのGPUを搭載したPCやJetsonを活用したロボティクスアプリケーションの開発を支援するために設計されています。ライブラリとしては、Visual SLAMベースの位置特定や、画像処理技術、物体検出等が準備されています。Isaac Simと技術的に別ですが、Isaac Simは、ROS/ROS2対応しているため、Isaac Sim上で構築した環境、自律移動ロボットでIsaac ROSを用いたロボット開発を行うことで、スムーズなロボット開発を進めることができます。
2024年にメジャーアップデートされたIsaac Sim 4.0.0では、ROS2との連携が大幅に強化されました。当社は、物理シミュレーション技術であるIsaac Simとロボット制御システムであるROS2に、リリース当初から力を入れており、今回のメジャーアップデートにも大変注目しています。本記事では、Isaac Sim 4.0.0の概要とROS2との連携についてご紹介します。
NVIDIAがリリースしている3Dシミュレーションに特化したプラットフォームであるOmniverseのサービスの一つとして、Isaac Labというアプリケーションがあります。本記事では、Isaac Labのインストール方法と四足歩行ロボット強化学習の方法をご紹介します。
KUMICO
この連載では、NVIDIA社のロボット開発フレームワーク「NVIDIA Isaac」に実装されている最新の機能や技術を紹介します。今回は、Omniverseのプラグインである「Warehouse Creator」をシミュレータ「Isaac Sim 2022.2.1」で使用する方法を紹介します。
Monoist
ロボットプラットフォームとして知られる「ROS」の需要が高まり続けている。本稿では前後編に分けて、ROSの進化とデジタルツインの可能性について考察する。前編では、ROSの最新動向とデジタルツインへの対応状況について紹介する。
Monoist
ロボットの開発に広く利用されるようになっているロボット開発プラットフォーム「ROS(Robot Operating System)」の活用について解説する本連載。今回は、「ROSの活用シーンとしてのシミュレーターとの連携」をテーマに、ロボット開発におけるシミュレーターの重要性や、ROSと連携可能なシミュレーターなどについて解説する。
Monoist
ロボットプラットフォームとして知られる「ROS」の需要が高まり続けている。本稿では前後編に分けて、ROSの進化とデジタルツインの可能性について考察する。後編では、ROSのデジタルツイン活用の事例として、ROS 2を実装したロボットの実機とシミュレーションの連動について紹介する。
※ 記載されている会社名、製品名は各社の商標または登録商標です。
ロボットシミュレータにお困りの方はぜひ、
富士ソフトにご用命ください!