株式会社ロック・フィールド(AWS導入事例)

DR環境をオンプレからAWSへ移行し
有事に対応できる安心感が大幅に向上
運用管理の負荷とコストも低減

導入前の課題

  • 有事におけるシステム継続性への不安が増大
  • DR製品のバージョンアップに伴う作業負荷大
  • ストレージ容量の枯渇に伴うバックアップ世代数の減少
  • DR環境の整備に向けた作業負荷とコストの増加

導入後の効果

  • 有事に対応できるシステム信頼性の確保
  • Veeamの採用でバージョンアップ時の作業負荷が低減
  • AWSの柔軟性でリソース強化とコスト低減が実現
  • 従来環境と同等以上の作業性確保




移行・導入の背景

OSのバージョンアップに伴う導入製品のアップデート対応が必須で作業負荷が増大

株式会社ロック・フィールド
経営企画本部
デジタル活用推進部
ITシステムグループ
太田 喜章氏

-貴社と所属部署の特長についてお聞かせください

当社は創業以来、中食市場を担う企業として、百貨店の食品売り場とともに成長してきました。
現在は「The Mirai Salad Company」として、「RF1」「神戸コロッケ」など6つのブランドでビジネスを展開しています。

企業の特長としてあげられるのは、消費者のライフスタイルや社会の変化を捉えた対応力です。
近年はウィズコロナの暮らしを見据え、リアルショップでの販売に加えて、WEBを通じた店頭受け取り予約やオンライン販売など、リアルとネットを融合したビジネス強化に注力しています。

こうしたIT戦略の推進を担っているのが、私の所属しているデジタル活用推進部ITシステムグループです。
経営基盤の強化や生産性の向上など、ステークホルダーから寄せられる期待と要求に応える体制づくりに、取り組んでいます。

-DR環境のAWS移行を検討された背景について教えてください

阪神・淡路大震災により、神戸にある当社の本社マシンルームは甚大な被害を受けてコンピュータシステムがダウンし、事業運営に大きな影響を及ぼしました。
この経験から、BCP/DR対策には力を入れ、評価の高い製品・システムを導入してきました。

今回の案件に関連する検討を開始した2018年当時は、2014年に構築したDR環境で万一の事態に備えていました。

システム概要としては、当時高い評価を獲得していたバックアップ・DR専用アプライアンス製品を導入。継続した事業運営に必須の販売管理システム、生産管理システム、会計システムなど、計25システムの数TBに及ぶデータを対象に毎日1回バックアップを取得し、当社の別拠点に構築したDR環境内で保存していました。

当初は特に不満もなく環境の保守に努めていたのですが、時を重ねるごとに課題を感じる事態が増えてきたのです。

-どのような課題を抱えられたのでしょうか

まずは、バージョンアップに伴う作業負荷です。
OSがバージョンアップすると、更新に応じたバージョンアップがアプライアンス製品でも発生。それを行わないと、従来通りのバックアップが実施できない状況に陥ってしまうのです。
バージョンアップは頻繁に行われるため、DR環境の維持・保守に関して、次第に作業負荷を感じるようになりました。

加えて、バージョンアップによる仕様変更でシステム容量もバックアップデータの容量も増加し、ストレージ容量が枯渇する状況に。しかたなく保存管理していたデータの世代数を縮小することで対応していました。

そして、最大の課題が、DR発動時の不安です。
「ダウンタイムは1日程度」を目安に環境を構築し、6カ月ごとにDRテストを行っていましたが、テストを繰り返すたびに起動までの時間や起動後の処理速度から、有事の際に計画通りシステムが復旧できるのか、とても不安を感じるようになりました。

パートナー選定の経緯

別案件を通じて信頼感が育まれており、今回の提案内容も最適と判断

-AWSへの移行を決定された経緯についてお聞かせください

2018年当時、当社ではクラウドに対する理解を深めるため、さまざまな活動を行っていました。
その一環として、最もメジャーなパブリッククラウドを運営している認識から、AWS社との交流も図っていました。

柔軟性やスケーラビリティ、マネージドサービスなど、AWSの特長を紹介してもらうとともに、当社での有効な利用法について、一緒に検討を進めていました。
その過程で、当社から相談したのが、DR環境で抱えていた課題の解決です。概要について説明したところ、“ソリューションの提供で実績があるので紹介したい企業”として、富士ソフトの名前があがりました。

-富士ソフトに対する当時の印象をお聞かせください

富士ソフトとはライセンス購入などで、すでに付き合いがありました。その付き合いから、AWSパートナーの最上位であるプレミアティアサービスパートナーであることも知っていました。

信頼できる企業としての認識が醸成されていたことから、この件で改めて来社してもらい、提案をお願いしました。
要件としては、①AWSの特長を利用できること。②既存のDR環境で抱えている課題が解決できること。③ダウンタイムやDRテストなど、DR環境の基本は既存と同等であること。④オンプレに対する新たな操作の導入やシステム投資は極力抑えること。

同様のRFPを数社に提示しましたが、富士ソフトの提案が最適な内容だと判断し、2020年6月に詳細の提案をお願いしました。

富士ソフトに対する評価

テスト環境を構築し、信頼性をはじめ、すべての要件がクリアできることを証明

-富士ソフトの提案に対する評価をお聞かせください

提案におけるポイントは、バックアップアプリケーションとして『Veeam Backup & Replication』を採用することでした。

採用理由で注目したのは、AWSとの親和性が高く、高性能であることに加え、課題であったバージョンアップに伴う作業が削減されることです。
また、1日程度のダウンタイムに必要な復旧速度を考えると、Veeamはオンプレではなく、AWS上に設置して運用できること。 オンプレに関しては、バックアップ対象の物理・仮想サーバーにエージェントをインストールする程度の変更で運用できることに、魅力に感じました。

このほか、富士ソフトの技術者によるスクリプト化の対応でDRテストが簡単に実施できることも、とても評価できました。
ストレージ容量に対する懸念は、AWSを採用した時点で解決できるので問題ありません。

最大の課題にあげていた有事の際における信頼性については、プロジェクトが正式にスタートする前にテスト環境を構築し、細かい部分まで見据えて問題を洗い出してすべてをスピーディに解消。バックアップとレプリケーションが完璧に行えることを証明してくれたことで、提案に対する当社の評価は確定しました。

さらに富士ソフトは、この魅力ある提案を2カ月で完了する計画を提示してくれました。
これにより、2020年12月に採用を正式決定し、プロジェクトがスタートしました。

システム構成図/Before→After

システム構成図/Before→After​




移行のプロセスと移行後の効果

手順通りの作業で簡単移行。期待通りの成果で、運用コストは30%削減

-移行はどのように進んだのでしょうか

富士ソフトには、スケジュール計画と手順書の作成を担当してもらいました。
当社は、その内容に則って作業を行っていくだけでしたので、とても安心して移行作業を進めることができました。

DR構築は、一般的に時間の掛かるものですが、富士ソフトが取組内容を精査してくれたおかけで、今回は計画通り2カ月間という短期スケジュールで環境構築が完了。2021年2月より、AWS上での本格運用がスタートしました。

AWSシステム概要図

AWSシステム概要図



-移行後の効果についてお聞かせください

今回のプロジェクトで最大の効果は、VeeamとAWSの融合で、有事に対応できる信頼性が確保できたことです。
導入テストと正式運用後のDRテストで確実に復旧できることは確認できており、万一の事態にも計画通りにシステムを復旧させて事業継続に貢献できるという安心感は、何ものにも代え難いものです。

また、ストレージが柔軟に利用できるAWSの特長を最大限に活かすことで、縮小していた世代数を当初の計画通りに戻すとともに、バックアップ対象を35システムに増やし、システム全体の信頼性を強化することもできました。

このように信頼性を向上しながらも、オンプレのDR環境に対するリソースの強化は不要になり、通常はAWS使用リソースを最低限に抑えることで、コストは30%の削減を達成しています。

-作業負荷についてはいかがでしょうか

課題だったバージョンアップに伴う作業負荷は、Veeamの採用で削減されました。
従来のDR環境で発生していたシステム保守や修繕の作業負荷も、AWSへの移行でゼロになりました。

このほか、作業性も、いくつかの点で向上したと感じています。
バックアップに関しては、エージェント方式の採用で、操作が簡単になりました。また、以前はバックアップの状況を監視するため、画面を確認していましたが、Veeamの不具合通報機能により、時間の拘束から解放されました。

DRテストはスクリプト化により、以前と同様の操作性を実現。このように、初めてのAWS利用でも、操作に迷うこともなく簡単に使うことができ、設定要件をすべてクリアできたことは、とても大きな効果だと感じています。

今後の展望

クラウドシフトをはじめ、さまざまなIT化を積極的に推進

-今後に向けて、どのような取り組みを検討されていますか

最大のポイントは、レプリケーションした環境をAWS上にも構築することです。オンプレ環境が全損しても、システム復旧・業務継続が可能になることを次の構想に掲げて動き出しています。

また、今回の案件を通じてクラウドの利用効果が確認できたことから、クラウドの活用にも積極的に取り組みたいと考えています。その第一歩として、リモートワークの推進に向け、DaaSの導入を決定しました。
このほか、システムの内容やユーザビリティを検討し、オンプレの本番環境側もクラウド移行が有効だと判断できたものは順次実施したいと思っています。

また、生産性の向上や業務効率化を推進するため、クラウドにこだわらず、さまざまなIT化も積極的に進めていきたいと考えています。

-富士ソフトに対する評価・期待をお聞かせください

今回の案件では、当社の要望に応えてもらい、とても感謝しています。

このほか、富士ソフトにはネットワーク構築関連など、いくつかの案件をお願いしています。
その対応、さらには担当したすべてのシステムに対する的確なサポートも期待しています。

富士ソフトの特長として認識しているのは、AWSをはじめ、ICTに関連する幅広い技術を社内に蓄積していることです。
その特長を最大限に活かし、さまざまなITニーズに対応した提案と実施で、ビジネス成長に貢献してほしいと思っています。

-お客様ブランドのご紹介-

「RF1」(アール・エフ・ワン)

RF1とは、サラダを中心としたそうざいを通じて、人々のライフスタイルが より豊かなものになることを考えた、健康、安心・安全にこだわったおいしさを食卓にお届けしているロック・フィールド様の旗艦ブランドです。

WEBサイトでのご予約(店舗受け取り)やオンラインショップもご用意されております。

詳細・公式ページはこちら

導入サービス

今回取材に応じてくださった方

  • 株式会社ロック・フィールド
    経営企画本部
    デジタル活用推進部
    ITシステムグループ

    太田 喜章 氏(左)
  • 富士ソフト株式会社
    ソリューション事業本部 インフラ事業部
    インフラソリューション部

    川西 就(右)

株式会社ロック・フィールド

株式会社ロック・フィールド

  • 所在地:
    神戸市東灘区魚崎浜町15番地2
  • 代表者:
    代表取締役社長  古塚 孝志
  • 事業内容:
    そうざいの製造および販売
  • 従業員数:
    1,557名(2021年4月期)※連結
  • 展開ブランド:
    「RF1」「神戸コロッケ」「ベジテリア」「いとはん」「融合」「グリーン・グルメ」
  • オフィシャルサイト:https://www.rockfield.co.jp/

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