株式会社トリドールホールディングス(CloudEndure Migration導入支援)
CloudEndure Migration を利用して
36台のオンプレミスサーバをわずか8時間でAWSに移行
業務停止時間を最小限に脱データセンタを実現
インタビュー動画
導入前の課題
- オンプレミスサーバの運用コスト、BCP対策
- DX基盤構築のためサーバを早期にクラウドへ移行
- データセンタの契約上、移行期間はは3カ月
導入後の期待
- サーバをAWSに移行し、運用・保守業務を削減
- CloudEndure Migrationの利用により、ダウンタイムを8時間に抑制
- 富士ソフトのノウハウ・経験を活かし、約3カ月でサーバの移行を完了
2025年度に設定した経営目標達成に向けたDX実現の第1歩
株式会社トリドールホールディングス
執行役員 CIO(最高情報責任者)
磯村 康典 氏
-AWSへのサーバ移行の背景についてお聞かせください
当グループでは現在、主力の丸亀製麺の845店舗を皮切りに、国内外含めて約1,700店舗を展開しています。2025年度にグローバルで6,000店舗・売上5,000億円を経営目標に掲げ、目標達成に向けて全社で取り組んでいるところです。
この目標達成を支えるために、社内のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を強力に推進し、グローバル環境にも柔軟に対応できるITプラットフォームの刷新を進めています。従来、当社ではITシステムはサーバ、システムに設備投資を行っていました。しかし、キャッシュフロー重視の経営にシフトした現状では、ITシステムを含めアセット(資産)を所有することは得策ではありません。そこで、これらIT資産を圧縮するため、SaaSやDaaSなどへのクラウドシフトを行い、ITシステムはサブスクリプションで使う方針を決めました。
クラウドシフトは、グローバル対応だけでなくBCP対策でもあります。従来のように拠点のある東京や兵庫にシステムを置いてしまうと、これらの場所が被災した時にグローバルの機能も停止してしまうことになりかねません。クラウドにシステムを移してしまえば、これらのリスクは軽減できます。今回のAWSへのサーバ移行はこのような経営判断によるものです。
-かなりのスピード感でプロジェクトを進められていると伺いました
2025年度に目標を達成するためには、事前に新しいプラットフォームへ完全に移行している必要があります。2019年9月に私が着任し、約3カ月で既存システムの調査を実施、2021年度には刷新したITプラットフォームに移行を終える計画を立てました。
この計画の第一ステップとして、兵庫のデータセンタに設置していた36台のオンプレミスサーバ(以下、オンプレ)をクラウドへ移行することを決めました。理由は、故障対応やバックアップなど、あまりにも保守運用にコストがかかりすぎていたこと、それから先に述べたように、アセットの圧縮、BCPの観点からです。これは早急に手を打つべきと判断し、1カ月ほどでクラウドに移行することを決断。時期を2020年春までと決定したのは2019年12月のことでした。
数あるクラウドサービスの中でAWSを選定したのは、サービスの安定性、コスト、そして過去に私が関わったプロジェクトで導入経験があり、AWSについてよく理解していたからです。
3カ月という挑戦的な納期に対応したのは富士ソフトだけ
-移行作業を行うベンダーはどのように選定したのですか
移行時期、移行先を決定したので、あとは実行していただけるパートナー探しでした。そこで要求事項をまとめ、富士ソフトをはじめとして3社にお声がけしました。
一般的に見れば、この数のサーバをクラウドに移すには半年から1年ぐらいかけて、というのが常識なのかもしれません。実際、社内からも「清水の舞台から飛び降りるようなものだ」という声もありました。
しかし、システムがビジネスモデルの根幹を成す製造業や金融業と異なり、当社のような飲食業はあくまで事業は店舗が主体です。仮にバックオフィスの機能が一時的に停止しても、一部業務が煩雑にはなりますが、事業が停止してしまうということはありません。また、ベンダーが適切な技術とそれを使うノウハウを持ち合わせていれば、データ量から言っても無理な時間ではないと考えていました。それよりもコストやリスクを考えたら、1日も早くAWSへ移行することが重要であるとの判断でした。
また、納期も絶対厳守とは示していませんでした。あくまでチャレンジ目標であり、何か正当な理由でスケジュールが延びること自体は許容していました。納期厳守よりも、この短期プロジェクトにおいて共に挑戦してくれるベンダーを探していたと言ってもいいでしょう。
最終的に、納期を満たし、かつ具体的な方法を提案してくれたのは富士ソフトだけでした。他社は半年以上の期間を要し、かつ具体的な移行方法についての提案はありませんでした。さらに同様なサーバ移行の実績も数多く手がけているということで、迷うことなく富士ソフトに決定しました。
CloudEndure Migrationで36台のサーバ移行が8時間で完了
-実際のサーバ移行はどのように進んだのでしょうか
富士ソフトからは複数の移行方法を提案いただきました。当初はネットワークの負荷を考え、ディスクイメージをディスクにコピーして持っていく方法(AWS Snowball)を取ろうとしたのですが、検討したところ、もう一案のCloudEndure Migrationが適していると判断しました。
事前検証を行ったところ、ネットワーク上のルータにボトルネックがあることがわかり、それを交換することでCloudEndure Migrationによるサーバ移行実施のめどが立ちました。
そこで、4月の週末2日間の予定でシステムを停止し、本番の移行を行いました。実際には土曜の夜から移行を開始し、8時間ほどで移行を完了。日曜の朝にはAWS上に移行したシステムが使えるようになっていました。
-非常にスムーズに進んだということでしょうか
そうですね。若干のトラブルはありましたが、事前のリハーサルで予測していた範囲にとどまり、リカバリも問題なく行うことができました。準備期間が短い時間ではありましたが、富士ソフトがしっかり準備してくださったおかげだと考えています。データセンタは予定通り4月末に契約を終了することができました。
サーバ移行の概要
AWS化で運用コストを従来比3割削減
-AWSへの移行効果はいかがですか
現在、AWSに移行したサーバのサイジング最適化を進めています。時間優先でサーバ移行を進めたため、オンプレ環境をそのまま移行しましたが、オンプレで余裕を持たせていたリソースが、AWS上では余分なコストとなってしまうので最適化が欠かせません。
サーバのライフサイクルを気にすることなくリソースを削り、最適なサイジングを行うことができるのは、クラウドに移行するメリットの一つと言えるでしょう。
実際、サーバリソースの「ダイエット」によって、すでに月当たりでオンプレ時代の3割の運用コスト削減を実現しています。
また、システム部門の組織改革も行いました。これまでのIT部門は、システム企画、業務システム、基盤システムという3つの組織に分かれていましたが、このうちオンプレのシステム開発・保守を行っていた業務システムを廃止しましたので、その分の業務委託のコストも削減できました。
オンプレ→AWS→SaaSとDX基盤構築を推進していく
-今後のご予定についてお聞かせください
富士ソフトの支援もあって、第1ステップのAWSへの移行は無事完了しました。次のステップは業務システムのSaaSへの完全移行です。
飲食業である当社が一番注力して、価値を高める必要があるのは店舗におけるサービスであり、ITシステムはあくまでバックオフィスのためのものです。したがって、基本的にSaaSで提供される業務に関しては、システムに業務をあわせることで対応し、SaaS化で対応できない独自な業務が発生した場合はBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)などを活用することで、ITシステムに関しては身軽な状態維持し続けることが、当社にとってのDXであり、経営目標達成のための基盤と考えています。
実際、今回のサーバ移行に合わせて、財務会計・勤怠管理・経費精算はSaaSへ移行しました。また、データセンタにあった9TBに及ぶファイルサーバはOffice 365(現Microsoft 365)SharePointに移行することで、ファイルサーバの廃止を実現しました。
2021年度には業務システムの完全SaaS化を実現予定です。AWSに関しては、SaaS間をつなぐシステムが稼動する形になっていくでしょう。このように柔軟なシステム運用、ライフサイクルを意識しない運用ができるのもクラウドのメリットと言えるでしょう。
-富士ソフトに期待することをお聞かせください
今回のプロジェクトが成功裏に終わったのは、富士ソフトの持つ技術力とノウハウに負うところが大きかったと考えています。DX推進に関してはまだまだやらなくてはならないことがたくさんありますので、ぜひそちらでも富士ソフトの知見を活かした提案や支援をいただけたらと考えています。
今回取材に応じてくださった方
- 株式会社トリドールホールディングス
執行役員 CIO(最高情報責任者)
磯村 康典 氏(中央) - アマゾン ウェブ サービス ジャパン
田口 聡 氏(右から2番目)
- 富士ソフト株式会社
ソリューション事業本部 インフラ事業部 クラウドソリューション部
部長 伊藤 丈貴(左)
主任 北村 明彦(左から2番目)
ソリューション事業本部 インフラ事業部 営業部
リーダー 佐藤 周吾(右)
導入サービス
株式会社 トリドールホールディングス
- 所在地:
東京都渋谷区道玄坂1-21-1
渋谷ソラスタ 19階 - 代表者:
代表取締役社長 兼 CEO (最高経営責任者)
粟田 貴也 - 社員数:
4,139人(2020年3月31日現在)※1日8時間換算による月平均人数
- オフィシャルサイト:
https://www.toridoll.com/