株式会社 タカギ(AWS導入支援)
更改時期を迎えたオンプレミス環境
TCO視覚化・PoC実施&内製化支援で
AWSを活用した最適なシステムを再構築
ITインフラ基盤の再構築前
- ITインフラ基盤を構築・運用してきた本社工場の移転が決定
- 同時期にオンプレミス導入機器の更改時期も迎える
- 今後を見据えてオンプレミス・クラウドを問わず最適なインフラ基盤を構築したい
ITインフラ基盤の再構築に向けた取り組みと効果
- TCO可視化サービスでAWSの有効な使用方法を理解
- PoCの実施でスムーズなAWSへの移行方法を確認
- 移行作業手順書の作成と後方サポート体制の整備による伴走型での内製化支援を受ける
- 再構築したITインフラ基盤の本格運用をスケジュール通りにスタート
- 期待通りの安定稼働を実現
人々の暮らしに「潤い」を与える水領域のリーディングカンパニー
株式会社タカギ様は、1961年に北九州市で創業した企業です。「散水」「浄水器」「金型」という3つの事業基盤を構築し、「水」を中心とする様々な取り組みによって人々の暮らしに「潤い」を与えて、成長を続けてきました。現在は「園芸散水用品」と「蛇口一体型浄水器」の2分野で高いシェアを獲得し、浄水器ユーザー数は約200万人に及んでいます。
ビジネス拠点は、国内に19カ所、工場は海外を合わせ4カ所に設置※。「全社員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人の暮らしに快適と潤いを与え社会の発展に貢献する」という経営理念と「人を潤す。世界を潤す。」というビジョンを掲げ、社会の発展に貢献するためにCSRやSDGsにも積極的に取り組んでいます。
モノづくりメーカーとして、金型部門やコールセンターをはじめ、あらゆるセクションを社内に設置し、柔軟に連携することで、強力なプロダクトサイクルを形成。この一貫体制によって、お客様の声をすぐに製品開発へ反映させるなど、スピーディーなモノづくりとサービス開発で、業績を伸ばしています。
※2024年12月現在
オンプレミス環境を設置する本社工場の移転が決定。導入機器の更改も迫る
株式会社タカギ
経営戦略グループ IT推進部 ITインフラ課
課長 菊地 慎二 様
タカギ様では長年にわたり、本社工場内に基幹系システムと情報系システムのITインフラ基盤を構築し、運用・保守を行ってきました。この本社工場の2024年度を目途にした移転が決定。くわえて同年に、導入機器が更改時期を迎えるため、ITインフラ基盤の再構築についての検討が2022年から始まりました。
「まずは、オンプレミスでの再構築を検討しました」と語るのは、同社の菊地慎二氏。経営戦略グループで、ITインフラ関連業務をトータルに担うIT推進部ITインフラ課の課長です。「ただ、オンプレミスの場合は、今後も5年に1回、サーバーなどの導入機器が更改時期を迎えます。さらに、これまでの状況から将来を見据えると、ビジネス成長や新サービスの開始に合わせてサーバーやストレージの増設が必要になり、その都度大型投資と業務負荷が発生します。セキュリティに関しては、これまでより短期サイクルでの進化が必須になることが想定できました」(菊地氏)。
そこで、「新たな施策として視野に入ってきたのが、クラウドです」と話すのは、菊地氏と同じくITインフラ課に所属し、運用・PC管理チームでチームリーダーを務める篠原洋平氏です。「オンプレミスの場合、状況が変化するたびに必要な機器を調達して導入・設定する必要がある一方、クラウドの場合は、短期間で必要な環境が利用できるようになります」(篠原氏)。そこで、新たなITインフラ基盤として従来のオンプレミス環境だけでなく、クラウド環境も含めた全体最適化についての検討が進められました。
各社のクラウドサービスについて調査を開始
最適化に向けた取り組みとして着手したのが、各社から提供されているクラウドサービスの調査です。各サービスの内容や特長を理解していくなかで、AWSを第一の候補としたのは、ITインフラ課がマーケティング部と協力して進めていた「会員サイトの刷新プロジェクト[https://www.fsi.co.jp/aws/case/case_takagi.html]」があったためです。
「このプロジェクトを通して、AWSの安定性は最も評価できる点でした」と、篠原氏。「くわえて実際に活用することで、AWSの知見が深まっていたことも前向きに検討する要因になりました。もちろん、AWSがクラウドサービスで最も利用されていることは、大きな安心材料でした」(篠原氏)。
進行中のプロジェクトで感じていたAWSと富士ソフトの魅力
このとき、AWSと同時に注目したのが、同プロジェクトでソリューションパートナーを務めていた富士ソフトです。同社にとって会員サイトの刷新プロジェクトは、初めてAWSを活用する取り組みでした。
「AWSに関する知見がまだ十分ではなかったことから、こちらの要望を伝えることが数多くありました。その都度富士ソフトは、対応するAWSサービスについての丁寧な説明とともに、最適なソリューションを提案してくれました。こうしたやり取りを通して、富士ソフトに対する信頼感は、着実に高まっていきました」と、篠原氏。
菊地氏も、「提案、設計、構築、稼働と一緒に取り組み、プロジェクトの進め方やアウトプットを見て、富士ソフトの実力は高く評価できました」と話します。「そこで、今回のITインフラ基盤の再構築に関するプロジェクトについても一緒に進めていきたいと考え、富士ソフトに最初に相談させてもらいました」(菊地氏)。
AWSへの移行効果を明確にするため、TCO可視化サービスを提案
同社からの相談を受け、会員サイトの刷新プロジェクトに続き今回のプロジェクトも統括した富士ソフトの江嶋直樹は、あらためて富士ソフトの強みを紹介しました。
富士ソフトの強みは、まずAWS利用の検討~導入設計・開発~運用・保守までワンストップで手がけられること。また、AWSパートナーの最上位である「AWSプレミアティア サービスパートナー」であり、AWSに関する知見・ノウハウが豊富なこと。そして、会員サイトの刷新プロジェクトを通して、タカギ様のシステム環境を理解していること。
こうした強みを最大限に活かし、今回のプロジェクトも成功へ導くために提案したのが、『AWSクラウドエコノミクスサービス』を活用した富士ソフトの『TCO可視化サービス』の実施でした。AWSクラウドエコノミクスサービスは、オンプレミスからAWSへ移行することで得られる経済的メリットを、試算によって定量化するプログラムです。TCO可視化サービスは、そのデータを利用してお客様のAWS移行に伴うインフラコストの削減、スタッフ生産性の向上、CO2削減効果などからTCOを可視化するサービスです。
富士ソフトの提案を受け、同社はオンプレミスからAWSへ移行した場合の運用面からコスト面に至る一連の効果を具体的に把握するため、同サービスの実施を決定しました。
AWSの有効性を考慮し、オンプレミスとハイブリッドでの再構築を決定
株式会社タカギ
経営戦略グループ IT推進部 ITインフラ課
運用・PC管理チーム
チームリーダー 篠原 洋平 様
タカギ様の依頼を受け、富士ソフトは2022年8月にTCO可視化サービスを実施。運用面ではサーバーの構築やシステムのバックアップ、可用性やメンテナンス性、充実したセキュリティサービスの内容など、コスト面では構築するシステム案に基づくTCOとして、課金タイプごとの具体例などを提示しました。
「AWSの有効な使用方法が明確になったことで、最適な再構築について詳細に検討することができました」と、菊地氏。その結果、運用面を考慮して一部はオンプレミス環境を継続するものの、ほとんどのシステム・アプリケーションはAWSへ移行するハイブリッド型で再構築に取り組むことが決定しました。
数々の提案から、安全で無理なくスムーズな再構築ができると判断
株式会社タカギ
経営戦略グループ IT推進部 ITインフラ課
運用・PC管理チーム
前田 正徳 様
AWS利用の方向性が決定したことで、タカギ様の担当営業をしている富士ソフトの藤田哲朗は、新たな提案を行いました。PoCの実施です。
オンプレミス環境からAWSへのシステム移行には、『AWS Application Migration Service(AWS MGN)』を使用しました。AWS MGNでは、推奨する移行方法を提示していますが、会員サイトの刷新プロジェクトを通してタカギ様のシステムを詳しく理解していたことから、事前に移行方法の有効性を確認しておくことが、スムーズな移行を実現すると考えたからです。
なかでも、前回のプロジェクトに続いて今回のプロジェクトでも開発リーダーを務めた富士ソフトの山口卓哉が移行のキーポイントと考えていたのが、IPアドレス変更と仮想アプライアンス製品の移行に関する部分です。「システム移行の手法と必要な時間、さらには関連業務への影響などを見える化し、AWS移行に伴う課題の解決方法を事前に把握するため、PoCを提案させていただきました」(山口)。
この提案により、同社では「富士ソフトなら、より安全に、無理なくAWSに移行できる環境を整えてくれる」と判断。本プロジェクトでも富士ソフトをソリューションパートナーに選びました。
PoCの結果を受けて両社の役割を決定。内製化の伴走で再構築を支援
PoCの実施によって両社は、IPアドレス変更と仮想アプライアンス製品の移行に伴う課題を確認し、必要な対策を事前に確立することができました。また、同時期にActive Directoryの認証仕様が変更され、多くの企業が対策に追われていたことから、その実施内容についても確認しました。
PoCの結果をもとに、富士ソフトが移行作業の詳細な手順書を作成し、その手順に従ってタカギ様が移行作業を実施するという、両社の役割分担が決定しました。
タカギ様は、当初から移行作業については内製での対応を検討していました。AWS移行の動作確認をスムーズに行うためには、社内の各担当部署と緻密に連携することが必要になるため、社内で完結できる体制の整備が有効だと考えていたからです。ただ、同社ではオンプレミスでのシステム構築経験はあるものの、オンプレミスからクラウドへの移行の経験がなかったため、「具体的にどのようにクラウドへの移行を進めていけばいいのか、イメージできなかった」と、菊地氏は言います。
そこで同社の意向を理解した富士ソフトは、内製での移行作業をしっかり伴走するための取り組みを検討。無理なく、正しい移行が行えるように詳細な箇所まで具体的に記載した移行作業手順書を作成するとともに、移行作業中に想定外の事態が発生した場合に対応できるサポート体制の整備を提案しました。
再構築したITインフラ基盤で、安定稼働が予定通りスタート
役割が明確になったことを受けて富士ソフトは、移行作業手順書の作成を進め、数回のレビューを開催。同社は、作成過程にある手順書の内容に基づき、用途が異なる数台のサーバー移行を先行して実施。認証や監視サービス、バックアップ、セキュリティなど共通機能との連携を確認し、その内容をフィードバックして手順書の精度を高めていきました。
そして2024年3月、手順書が完成。翌月からスタートした移行作業を現場でリードしたのが、同社のITインフラ課運用・PC管理チームの前田正徳氏です。AWS関連の業務を初めて担当した前田氏は、事前に手順書の内容を確認。「疑問点をピックアップし、富士ソフトとのQ&Aを通して内容を理解。またワンチームとしてのスムーズな連携で、移行作業を的確に進めることができました」。
前田氏が印象に残っているのは、仮想アプライアンス製品とその他製品で、移行手順が別々に提示されたことだと言います。「おかげで、とてもわかりやすく、迷うことなく作業を進めることができました」(前田氏)。
こうしてハイブリッド型でのシステム環境構築および移行が順調に進み、担当部署による移行後の動作確認作業を順次実施。2024年6月までに、AWSへの移行がすべて完了しました。
「これにより、再構築したITインフラ基盤による本番運用が、スケジュール通り2024年7月からスタート。以降、期待通りの安定稼働が続いています」(菊地氏)。

システム構成図
AWSサービスの活用で高まる、新たなサービスの提供
今後に向けて篠原氏は、「AWS利用状況の可視化と利用サービス・コストの最適化を進めていきたいと考えています」。そのために、インスタンスタイプの見直しやリザーブドインスタンスの活用などを検討していると言います。
また、菊地氏は、AWSの各種サービスを利用することで、従来のオンプレミス環境では不可能だったサービスも実現できる可能性を感じていると話します。「そのためには、AWSの多岐にわたるサービスの中から最適なものを選び、的確に組み合わせることが必要です。そのための提案を、他社事例や業界動向をいち早く理解し、応用できる力を持つ富士ソフトから提供してもらえることを期待しています」(菊地氏)。
タカギ様の特長は、ビジネスやシステムに関して常に新しい取り組みをスピーディーに展開することだと、富士ソフトは認識しています。そのスピードを、より加速することが使命であり、同社が目指す新たな展開の早期実現に貢献するため、新サービスの紹介をはじめとする様々な検討材料の提供と伴走型の支援を、江嶋を中心に取り組んでいます。
今回取材に応じてくださった方

経営戦略グループ IT推進部 ITインフラ課 課長
菊地 慎二 氏 (左から2番目)
経営戦略グループ IT推進部 ITインフラ課 運用・PC管理チーム
チームリーダー
篠原 洋平 氏 (左)
経営戦略グループ IT推進部 ITインフラ課 運用・PC管理チーム
前田 正徳 氏 (左から3番目)
導入サービス
株式会社 タカギ
- 所在地:
本社/福岡県北九州市小倉南区堀越413
北九州オフィス/北九州市小倉北区京町3-1-1 セントシティ9階 - 代表者:
代表取締役社長 髙城いづみ - 事業内容:
家庭用園芸用品、家庭用浄水器、省エネ商品の開発、製造、販売・プラスチック射出成形加工・金型事業 - 従業員数:
男性671名、女性732名 計1403名 - オフィシャルサイト:
https://www.takagi.co.jp/ - ※本内容は2025年3月現在のものです