オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社(IoTプラットフォーム on AWS導入事例)

IoTサービスの立ち上げをAWSを用いて実現
サービスの企画から構築、運用までをバックアップ
環境エネルギー機器の保守サービスを変えるIoT基盤を構築し、
将来に向けたサービス展開、ビジネスモデルを大きく変える
仕組みづくりを実現

導入前の課題

  • AWSとIoTに精通する人材不足
  • AWS、MQTT(※)に関するノウハウ不足
  • 共にビジネスを考え、育てるパートナー不在

導入後の期待

  • AWSを使ったリモートモニタリングシステムのサービスを実現
  • MQTTを使ったサーバ側からの機器コントロール機能で運用を効率化
  • 将来の新サービス、商品開発への基盤を構築
※MQTT:Message Queueing Telemetry Transportの略。
1方向、1対1の通信のみでなく、双方向、1対多の通信が可能でプロトコルヘッダが小さくIoTに適しているプロトコル方式。
現在、コンピュータと通信に関する標準化団体であるOASISによって、「MQTT」の標準化が進んでいる。




導入の背景

蓄電池の保守効率化を目指し遠隔モニタリングシステムをIoTで実現

オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社
エネルギーソリューション事業本部
ERAB事業推進部 技術グループ
高野 宣行氏

-IoTを使った遠隔モニタリングシステムにAWSを採用した背景をお聞かせください

当社は社会課題を解決する事業を行っており、その中でもエネルギーソリューション事業本部では太陽光発電用のパワーコンディショナ(電力変換や効率的運用を行う機器)や家庭用・産業用蓄電池などの環境エネルギー機器の開発・製造・販売を行っています。いずれも10年~20年とライフサイクルが長い機器です。その分、保守も継続的に行う必要がありますが、この保守対応に課題がありました。

機器の状態は宅内に設置してあるモニタリング機器には表示されるのですが、遠隔で知ることができなかったため、保守担当者は必ず訪問して状態を確認する必要がありました。 訪問してみると実際には軽微で、お客様に電話で確認すれば済むレベルのトラブルだったということが多々あり、保守担当者への過大な負担が問題になっていたのです。

そこで、このような課題を解消するため、これまでも機器の遠隔モニタリングシステムを開発してきましたが、サーバと機器を常時接続する必要があったり、端末側からサーバにアクセスする形態であったりで、通信コストやリアルタイム性に課題がありました。
ところが近年のIoT技術の進展により、機器を直接インターネットにつなげることができるようになり、インターネットを経由したサーバと機器の双方向コミュニケーションが可能となりました。そこで当社でも2017年よりIoTを使った遠隔モニタリングシステムの開発検討に着手しました。

バックエンドのサーバに関しては汎用性の高いクラウドサービスが最適と判断し、海外の事例などを調査したところ、実績もあり、IoT関連のサービスも豊富なAWSを選定し、AWS採用前提でグループ会社や、当社の基幹システム構築で実績のあった富士ソフトを含め3社でコンペを行いました。

ハイブリッド蓄電システム構成図

ハイブリッド蓄電システム​
システム構成図​

会社選定のポイント

IoTの知見と実績による信頼感や企画面でのサポート等柔軟な対応で富士ソフトをパートナーに

オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社
エネルギーソリューション事業本部
ERAB事業推進部 技術グループ
田中 嘉平氏

-開発パートナーを富士ソフトに決めた理由をお聞かせください

クラウドサーバにAWSを使うと決めたとはいえ、当時は社内にAWSに関する知見は全くありませんでした。また、機器との通信はMQTTプロトコルを採用する予定でいたのですが、MQTTに関しても社内に知見はない状態でしたので、当初はパートナーに依存せざるを得ない状況でした。

そのような中で、当社のサービスの企画面でもアドバイスにのっていただく等柔軟な対応で今後のサービスの柱になるような開発や仕様をIoTとAWSの知見含めて当社に寄り添って考えてくれたのが富士ソフトでした。それが富士ソフトをパートナーとして選んだ理由です。

-実際、パートナーとして期待に応えられたでしょうか

富士ソフトがパートナーでなければ、このプロジェクトは実現できなかったと言っても過言ではないでしょう。AWSやMQTTについては、まさに1から教えていただいたと言っても間違いありません。

当時はAWS LambdaやAmazon EC2と言われてもピンときませんでしたが、今ではしっかり理解できるようになりました。MQTTに関しては、当時、実用化が危ぶまれるぐらい不安定なものでしたが、AWS IoT Coreを活かして、ほとんど障害やトラブルが起こらないシステムを作り上げてくれました。
このようなシステム開発には、単にIoTやプロトコル、AWSのノウハウだけでは不十分です。安全性にも関わることから、太陽光発電パネルやパワーコンディショナ、蓄電池の仕組みや動作を理解していないと作り上げることはできません。その点において富士ソフトは自ら積極的に学んで、わからない点は的確な質問を投げかけてくれたので、手取り足取り教える必要もなく、大いに助かりました。

-実際の開発はどのように進められていったのですか

富士ソフトに参加してもらってからは約9カ月でサービス開始にこぎつけました。AWSは機能が豊富で、プロトコル回りなどをゼロから開発する必要がなかったことが大きかったと思います。もちろん富士ソフトの力も大いにあります。例えば、今回のシステムはトラブルが発生すると、お客様の停電にもつながりかねない重要なシステムですが、異常発生時の対策案について富士ソフトが何度も検討してくれるなど、重要な部分を担ってくれています。

実際一緒に仕事をしてみて、さまざまな技術に精通した人が多く、富士ソフトの層の厚さを感じました。プロジェクトの進め方も、違和感もなくスムーズに両者協調して進められました。
2019年7月にサービスを開始して1年ほど経ちますが、大きな障害やトラブルもなく、安定して稼動しています。

遠隔モニタサーバ システム構成図

遠隔モニタサーバ システム構成図​

導入の結果

得られたデータを「スマートメンテナンス」の実現と商品へのフィードバックに生かす

-現在、このシステムはどのような機能があるのでしょうか

今は機器の状態モニタリングとともに、さまざまな設定をサーバ側から行えるようにしています。遠隔モニタリングにより訪問対応保守が最小限になるという効果が出始めています。また、設置後の設定など現地で行う必要があったのが、サーバ側でできるため、設置現場での負荷も軽減できていると思います。

-今後はどのように発展させていくご予定ですか

「スマートメンテナンス」の実現です。具体的には機器の稼動データから故障の予兆を見つけだし、事前の保守で故障を防ぐ予防保守が挙げられるでしょう。

今後、機器の稼動データが集まっていくことで、故障予測が可能となり、保守要員の負荷を軽減しながら、保守サービスを充実させることが可能だと考えています。また、将来の商品へのフィードバックにも活かしています。どのような環境や条件が障害につながるのかを分析していき、その原因の回避する商品づくりをしていけば、故障やトラブルも低減できると考えています。既に社内の関連部署と打合せを行っておりIoT化によって得たデータの有効活用を図っております。
稼動データの統計解析は非常に重要なものであり、この分野でも知見のある富士ソフトには引き続き支援をお願いしたいと考えています。

-富士ソフトにはどのような点で期待されていますか

まずは継続して安定的なシステムを提供していただくことです。 さらには、今後はさまざまな機能が複合化していく中で、長期保証の管理サーバや故障解析システムといった「スマートメンテナンス」を実現していくシステムが欠かせないものとなっていくと考えています。

これらは総合的な連携が必要であり、まさに富士ソフトの力を発揮してもらえる部分であると期待しています。
また、現状にとどまらず、共に社会に貢献するため、新たなサービスやビジネスの創出を共に手をたずさえて推進していけるビジネスパートナーとして考えています。

お客様製品のご紹介

マルチ蓄電プラットフォーム KPBP-Aシリーズ

蓄電容量16.4kWhに加え、9.8kWhをシリーズ追加。​ 単機能型・ハイブリッド型・全負荷バックアップ型と、使い方に応じて自在に進化。住環境に合わせた最適なシステム構築が可能です。​

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導入サービス

今回取材に応じてくださった方

  • オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社
    エネルギーソリューション事業本部
    ERAB事業推進部 技術グループ

    高野 宣行 氏(右)
  • エネルギーソリューション事業本部
    ERAB事業推進部 技術グループ

    田中 嘉平 氏(左)

オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社

オムロン ソーシアルソリューションズ株式会社

  • 所在地:
    東京都港区港南2-3-13 品川フロントビル7F
  • 従業員数(グループ総計):
    3,209人(2020年9月21日現在)
  • オフィシャルサイト:
    https://socialsolution.omron.com/jp/ja/

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