大和ハウス工業株式会社様(IoTプラットフォーム on AWS導入支援)

IoTによるデータの収集・分析により
大規模工場向けBEMS(※1)の新たな展開を創造

※1 Building and Energy Management System:ビル・エネルギー管理システム。オフィスビルや商業施設などを対象とした電気やガスといったエネルギー使用状況の見える化や分析、自動制御など、全般的なマネジメントを可能にするシステム

対応テーマ

  • スマートハウスで確認したIoT連携を大規模工場で実証
  • 工場内に設置した環境センサーの正常動作を確認
  • BIMの活用で施設内環境の見える化画面を3D実装
  • 建築設備の遠隔管理・制御によるBEMSを検証
  • ローカルデバイスを配線レスでつないでクラウド接続

対応結果

  • 大規模工場内でのクラウドを活用したIoT化を実現
  • センサー情報の収集・分析で施設内環境を正確に把握
  • 工場の3Dデータを活用しデジタルツインとIoTで設備状況の見える化
  • 遠隔地から照明機器を制御して省エネサービスを提供
  • ローカルデバイスのIoT化でクラウドに配線レスで接続
  • サービス拠点の集約など遠隔操作の可能性を追求




お客様企業概要

スマートハウスやBIM(※2)により、喜ばれる建築物やサービスを提供

大和ハウス工業株式会社は1955年、「建築の工業化」を企業理念に創業された企業です。起点にあるのは、“多くの人の役に立ち、喜んでいただける商品開発やサービスの提供”に努め、世の中に必要とされることで、住宅をコア事業に、分譲マンション、商業・事業施設、環境エネルギーなど、幅広い領域で事業を展開されています。

1996年からはスマートハウス関連の研究を始め、2002年にはスマートハウスの展示場をオープンするなど業界に先駆けた取り組みをスタート。また、建築事業部門では、成長戦略としてBIMに重点を置き2018年に「D’s BIM」と名付けた建築イノベーションプロジェクトを掲げ、BEMS関連を含む幅広いサービスを提供されています。

※2 Building Information Modeling:コンピュータ上に作成した3D建物モデルにコストや管理情報などの属性データを追加することで、設計、施工、維持管理に至る建築ライフサイクル全体における業務の効率化と建築デザインを革新するワークフロー

工場IoT化の背景

スマートハウスで確認できたIoT機器連携の実用性を、大規模工場でも実証

2017年、大和ハウス工業はIoT機器やAI機能を連携したスマートハウス実証事業に参画(※3)。機器ごとに異なる通信方式やデータ形式に対応するため、統合APIを開発してクラウドにデータを収集・分析し、クラウドから住宅内の機器や機能を制御するなど、新たな価値創造が実現できる可能性を確認されました。

「今回の案件は、この成果を建築分野向けに展開し、実用化の可能性を確認する実証事業に参画したことがきっかけです」と語るのは、同社で今回の実証事業をリードされた、総合技術研究所の主任研究員である吉田博之氏です。

※3 https://www.fsi.co.jp/aws/case/case_daiwahouse.html を参照

具体的な検討内容

BIM連携で施設管理の新たな価値創造にチャレンジ

今回の実証事業で大和ハウス工業が携わった検証テーマは、主に次の4項目でした。

①設置した各種環境センサーの稼働状況
戸建住宅とは比較にならないほど広大なスペースを持つ大規模工場や事務所でも、照度・温度・湿度・人感などの各種センサーが正常に機能するのかを確認する。

②BIM連携によるセンサー情報の見える化
各種センサー情報をIoT技術でクラウドに送信してクラウド上で収集・分析を行い、D’s BIMで培った3Dモデリング技術を活用した見える化画面の3D実装に取り組む。

③施設の快適さと省エネを遠隔で管理・制御
見える化した情報とデジタルツインの融合で施設内環境の今後を予測し、遠隔地での管理・制御でBEMSを実現。例えば照明機器のON/OFFで省エネ効果を検証する。

④配線レスの実現性
一般的に工場での制御機器配線は有線で行っていたため、手間も時間もコストもかかり、レイアウト変更時には再度配線し直す必要があった。そこで今回は無線・IoT技術により、配線レスでのシステム構築に取り組む。

パートナー選定の経緯

クラウド関連の開発は一任できることから、富士ソフトを指名

今回の案件は、スマートハウスの実証事業がベースになっていることから、「前回構築したシステムをベースに検討しました」と、話された吉田氏。また、同社にはデファクトで使用されている3DCADがあります。そのCADデータをクラウドで連携させるために開発されている技術がアマゾン ウェブ サービス(AWS)との親和性が高いこともあり、「引き続きクラウド環境は、AWSを選択しました」(吉田氏)。

一方、富士ソフトは10年以上前から同社の様々なシステム構築をサポートしており、スマートハウスの実証事業でもクラウド関連システムの構築を担当しました。吉田氏には、その実績も評価していただき、「富士ソフトはAWSが得意であり、AWSやクラウド関連の開発が一任できることから、今回も協力を依頼しました」。

システム提案のポイント

ベースの実証事業で機能確認できたサーバーレス環境を引き続き提案

前回のスマートハウス実証事業で、システム構築を担当した富士ソフトの森田和明は、今回の案件についても吉田氏から依頼が届き、システムを成功に導く手段として大きく2つのポイントを提案しました。

「一つは、“AWS Lambda”を中心としたフルサーバーレス環境です」(森田)

前回のスマートハウス実証事業で、様々なサーバーレス環境の構築にチャレンジしました。その中で、最も効率よく、サーバーの管理を気にせずに実行したい処理を行える環境を構築できたのが、AWS Lambdaに代表される複数のAWSサービスを組み合わせたサーバーレス環境でした。

「ベースになっているスマートハウス実証事業で成果を評価していただいたことから、今回も自信を持ってご提案することができました」(森田)

キーソリューションとして提案した、遠隔からローカルの機能強化を図るサービス

そして今回のキーソリューションとして提案したサービスが、「“AWS IoT Greengrass”です」と、森田。

「従来システムであれば、工場に設置した全センサーと通信コントローラを有線でつなぎ、データを収集してクラウドへ転送します。ところが今回は、配線レスの実現性が重要なテーマであることから、各センサーのデータは建築制御の汎用プロトコルであるModbusを使用し、IoTゲートウェイで収集します。この収集したデータを、IoTゲートウェイからAWSへスムーズに送信する役割を担うのが、AWS IoT Greengrassです。

今回のシステムでは、照度・温度・湿度・人感(動き)といった様々なセンサーデータが集約されます。AWS IoT Greengrassの大きな特長は、こうした複数のIoTゲートウェイを一括管理して制御できることです。しかも、各種の対応は、遠隔地からでも可能です。

当社では実証事業後も引き続き、実用化に向けてシステムの運用保守サービスを提供します。その際にサービス提供拠点が遠隔地にあっても、システム状況の正確な把握とスピーディな対応策が実施できます。アプリケーションのアップデートなども一度に実行できるなど、多くのIoT機器を連携させたクラウドソリューションに最適なサービスになっています」

こうした森田の提案を受け、吉田氏は導入メリットを検証し、「有用性を確認したことから、AWS IoT Greengrassを採用したシステム構築を決定しました」と、当時の状況をお聞かせくださいました。

システムの構築プロセス

約3カ月でシステム構築と見える化画面の開発が完了

実証事業に向けてプロジェクトが正式に動き出したのは、2019年4月。同社の新設された奈良第四工場と総合技術研究所の事務所棟に、センサーや通信コントローラなどの機器類を設置場所に合わせてスペックの最適化を図って取り付けるなど、ローカル環境を整備する工事から始まりました。

そして、設置工事が完了した2020年7月より、富士ソフトの業務がスタート。配線レスによるBIMを活用したBEMSシステムの構築と見える化画面の開発に取り組み、予定通り約3カ月でシステムが完成しました。

全体構成図

大和ハウス工業株式会社様 全体構成図

実証実験の結果

施設管理の新たな価値創造を、すべての検証テーマで確認

約半年間にわたって実施された実証実験により、次のような新たな価値創造の可能性が確認できました。

①設置した各種環境センサーの正常稼働を確認
125m×100mの広大な工場内でも、24個の各種センサーが正常に機能し、データ取得が可能であることが確認でき、データ活用の新たな道が拓けました。

②BIM連携によるセンサー情報の3D見える化画面を実装
各種センサー情報をクラウド上で収集・分析し、BIMを活用した3Dの施設内環境の見える化画面を開発。取得情報のグラフ表示、ヒートマップ表示(温度・湿度・照度)、照明制御パネル、ウォークスルー表示を実現しました。

③遠隔でリアルタイムの可視化と電源OFF/ONの制御を実現して省エネに貢献
照度・人感センサーのデータとデジタルツイン技術から今後の施設使用状況を可視化し、遠隔地からでも無駄に点灯している照明機器の検出が可能。汎用的な通信手段でスイッチをOFFにし、省エネ効果をあげられることが確認できました。

BIM上でのIoTデータの表示・制御イメージ

BIM上でのIoTデータの表示・制御イメージ

④配線レスの実現性を確認
有線の配線工事は煩雑で、少し位置を変えるだけでも配線し直さなければなりません。そのため今回はIoT機能を活用し、配線レスを実現。現地配線の手間・時間・コストの削減が可能であることを確認しました。

今後の展望

新たなBEMSサービスの確立と展開を検討

実証実験の結果を受け、「遠隔地からのデータ管理・制御で省エネ効果が確認できたことから、BEMSの新たなサービスメニューとして展開できないか検討しています」と、吉田氏。さらに、同社のBEMSサービス提供拠点を1カ所に集約してエキスパートを配置することにより、日本各地、さらには海外の管理物件にも質の高い同一サービスを提供することが可能になると、今後の可能性についても紹介。

「そのときは、世界にグローバルネットワークを展開しているAWSにシステムを構築していることは、大きなメリットになると考えています」(吉田氏)

さらに、今回の実験に取り組む過程で、これまで社内になかった新たなノウハウや視点を獲得できたことから吉田氏は、「その情報を社内で共有し、新たな応用分野を模索していきたいと思っています」と語りました。

業界を変革する有意義なソリューションを富士ソフトと一緒に構築

「富士ソフトには運用保守を引き続き依頼しており、新たな施策やサービスを検討するときは、いつもディスカッションしています」と、富士ソフトとの関係性について話す吉田氏。

また、AWSで高く評価するのは、システムエンジニアの想いを常に先取りし、様々なサービスを開発してリリースする姿勢。そうした最新の技術動向や情報のキャッチアップにも、富士ソフトの存在は欠かせないと評価していただきました。

その一方で、建築業界は一度システムを導入したら、基本的に5年から10年、ときには20年も使い続けることが慣習になっており、こうした業界の文化とクラウドは、必ずしも親和性が良いわけではないと語られる吉田氏。「この状況を一緒に検討し、両者にとって有意義なソリューションを構築していきたいと考えています」と、富士ソフトに対する今後の期待について、語ってくださいました。

導入サービス

今回取材に応じてくださった方

  • 大和ハウス工業株式会社
    総合技術研究所 住宅技術研究部
    ITソリューショングループ主任研究員

    吉田 博之(左)
  • 富士ソフト株式会社
    エリア事業本部 西日本支社 インテグレーション&ソリューション部
    ITアーキテクトグループ 主任/フェロー

    森田 和明(右)

大和ハウス工業

大和ハウス工業株式会社

  • 所在地:
    大阪府大阪市北区梅田三丁目3番5号
  • 代表者:
    代表取締役社長 芳井 敬一
  • 事業内容:
    建築事業(住宅系・建築系)、都市開発事業、海外事業(不動産開発)、環境エネルギー事業
  • 従業員数:
    16,535名(2022年4月1日)※有期契約者を除いた人数
  • オフィシャルサイト:
    http://www.daiwahouse.co.jp/

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