新しくサービスを立ち上げることになった場合、まずはユーザーのニーズを考えることが最優先事項です。ターゲットとするユーザーがどのようなサービスを求めていて、どうすればそのサービスを利用してくれるのか、そのような初期段階に知るべき情報を集めるための方法が「UXリサーチ」です。今回は、価値あるサービスを提供するために押さえておきたい、「UXリサーチ」について詳しく説明していきます。
まず「UX(ユーザエクスペリエンス)」とは、日本語で「ユーザー体験」とも呼ばれるもので、ある製品やサービスを使うことでユーザーに起こる知覚や反応といった「体験」のすべてを意味します。
例えば、書籍をネットショップで購入する際に、「欲しい本が探しやすい」「画像の表示がスムーズで快適」「書籍の情報が詳しく載っていて親切」という感想を持ち、実際にそのサイトを使ってみて「また使ってみたい」と思うまでの全ての体験が「UX」になるのです。そして、このような体験をより良いものにするために設計を行うことを、「UXデザイン」といいます。
今回ご紹介する「UXリサーチ」というのは、このUXデザインのプロセスの一部で、ユーザーがどのようなことを求めているのか、どのような問題があるのかを把握するために、ユーザー体験を調査することを指します。ユーザーに喜んでもらえる製品やサービスを提供していくために不可欠であるユーザーを理解するための大切な取り組みだといえます。
UXリサーチを行う一番の目的は、ユーザーの求めていること=「ユーザーニーズ」を正しく把握するということです。「こんなサービスや製品があったらいいな」というユーザーの理想と、実際の状態との差を埋めていくための大切な取り組みで、UX改善の第一歩になります。
特に今は世の中にたくさんのサービスがあふれている時代です。選択肢が限られていたひと昔前とは異なり、現在ではユーザーが自分の好みに合わせて製品やサービスを自由に選ぶことができます。このように、ライバルとなる競合が多くいる中で自社の製品やサービスを選んでもらうためには、ユーザーが何を求めているのか、ユーザーニーズをより深く理解する必要があるのです。
では、実際にこのユーザーニーズを正しく把握するにはどうしたら良いのでしょうか。
ユーザーニーズは、ユーザー自身が意識して把握している「顕在ニーズ」と、ユーザー自身も気づいていない無意識に感じている「潜在ニーズ」の2種類があるため、それぞれに応じた方法で調査を行うことが大切です。
ユーザーが自覚している顕在ニーズを把握するためにはアンケートやインタビューといった方法が効果的ですし、潜在ニーズに対してはテストなどを行ってユーザー自身も気付いていないニーズを探っていく必要があります。
UXリサーチは、ターゲットを明確に定めてサービス設計をしていく際に、対象となるユーザーを深く理解するための手法です。そのメリットはとても大きく、新規サービスや製品の企画、開発、改善の際にも役立ちます。
例えば、新規サービスを立ち上げる場合には、事前にそのサービスに対してユーザーがどのような期待感や印象を持っているのか、どのようなシーンで利用するのかといった情報をできるだけ多く収集・分析して理解することで、「選んでもらえない」「使ってもらえない」サービスになるリスクを低減することができます。
また、既存サービスに対しては、「こういう機能がほしい」といったユーザーの要望や、実際にどのようなシーンで利用しているのか、離脱率はどのくらいかといった状況を分析することによって、数多くある競合との差別化を図ることが可能です。
では、実際にUXリサーチはどのようにして行えば良いのでしょうか。一般的には「目的を明確にする」「調査計画を立てる」「調査の実施」「データ分析」「調査結果をレポートにする」という流れで進めていきます。なお、実際に調査を行う際には、抱えている課題や状況によって最適なリサーチ方法を選択することが大切です。ここからは、UXリサーチの主な種類について、詳しく見ていきましょう。
探索型のUXリサーチは、ユーザーの潜在ニーズや顕在ニーズを把握するための調査です。
仮説を元に質問を作成し、その質問に対して文章で回答してもらう「自由記述式アンケート」や、ユーザーがそのサービスや製品と出会ったところから利用している理由、感想などを時系列に沿って質問していく「ユーザーインタビュー」、ユーザーがどのように製品を使っているのかを調べる「ユーザビリティテスト」などの方法があります。
検証型のUXリサーチは、既に把握している課題を解決するための仮説の検証を行うための調査です。課題の解決策が定まっていない場合に、現状浮かんでいるアイディアなどをイラストや文字といった可視化できる方法でユーザーに示し、ユーザーが理解できるかどうかを調べる「コンセプトテスト」や、実際に改善したものをユーザーに使ってもらう「ユーザビリティテスト」などの方法があります。
上記でご紹介した内容を参考にして、UXリサーチをビジネスに活用してみてはいかがでしょうか。UXリサーチに関する質問やお悩みがありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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