阿部良平
富士ソフト株式会社
ソリューション事業本部 営業統括部
ソリューション営業部 第4営業グループ
2014年 富士ソフト株式会社入社。お客様付きのアカウント営業として活動したのち、2024年よりintra-martのソリューション営業担当としてお客様へご提案を実施。
ワークフローシステムは、企業の様々な業務プロセスを電子化し、申請から承認まで一連の流れを自動化するシステムです。従来の紙ベースの稟議や承認プロセスをデジタル化することで、業務効率化とペーパーレス化を同時に実現できます。
ワークフローシステムとは、組織内の業務プロセスを体系化し、電子申請書作成から承認フローまでの一連の流れを管理するシステムを指します。申請者が電子フォームに必要事項を入力すると、あらかじめ設定された承認ルートに沿って、承認者に順に送付される仕組みです。
システムは申請内容や金額に応じて自動的に承認ルートを振り分け、各承認者にメールやシステム通知で承認作業を依頼します。これにより、人的ミスの削減と処理速度の向上が期待できます。
また、全ての処理履歴が監査ログ管理機能により記録されるため、後から申請内容や承認過程を確認することも可能です。この透明性の高さが、内部統制の強化にも寄与しています。
ワークフローシステムには、業務プロセス自動化を支える多様な機能が搭載されています。まず基本となるのが電子申請書作成機能で、従来の紙の申請書をデジタル化し、入力支援機能により記入ミスを防ぎます。
このシステムでは、複数の機能カテゴリが提供されており、それぞれが業務の特定のニーズに対応しています。以下の表に、システムの主要機能カテゴリと、それに伴う内容や効果をまとめました。
機能カテゴリ | 主な機能 | 効果 |
---|---|---|
申請機能 | 電子フォーム、添付ファイル管理 | 入力作業の効率化 |
承認機能 | 自動ルーティング、代理承認 | 処理速度の向上 |
管理機能 | 進捗確認、統計レポート | 業務の可視化 |
連携機能 | 他システム連携、API接続 | データの一元管理 |
また、モバイル対応可能なワークフローシステムでは外出先や在宅勤務でも承認処理が行えるため、リモートワーク環境における業務の継続性も確保できます。
ワークフローシステムの導入により、企業は様々な面で業務の改善効果を得られます。特に申請フローの効率化や承認プロセスの迅速化は、多くの企業が実感する主要なメリットとなっています。
ワークフローシステム導入の最も顕著な効果は、業務処理時間の大幅な短縮です。紙ベースで行っていた申請業務がデジタル化されることで、申請から承認までのプロセスがスムーズになり、対応スピードの向上が期待できます。
さらに、処理状況をリアルタイムで把握できるようになることで、次の対応に迷うことが少なくなり、業務の流れに無駄が生じにくくなります。このように、情報の整理と可視化を通じて、全体の業務効率を高める効果が期待されます。
ワークフローシステムの導入は、大幅なペーパーレス化を実現し、印刷コストや用紙代の削減に貢献します。
以下に、従来の課題とシステム導入後の改善点をまとめました。
削減項目 | 従来の課題 | システム化による改善 |
---|---|---|
印刷コスト | 用紙・インク代 | デジタル化によるコスト削減 |
保管コスト | 書類保管スペースの確保 | デジタル保管で物理的スペース不要 |
郵送コスト | 遠隔拠点への書類送付 | 即座にデジタル送信 |
検索コスト | 手動での書類探索 | キーワード検索で瞬時に発見 |
また電子化により、申請書の紛失リスクもなくなり、検索機能を使えば過去の申請内容もすぐに見つけることが可能です。
ワークフローシステムは、企業の内部統制強化に大きく貢献します。全ての申請・承認プロセスがシステム上で記録されるため、いつ、誰が、どのような内容で申請し、どのような経緯で承認されたかが明確に追跡できます。
また、申請内容に応じて承認のプロセスをあらかじめ設計できるため、組織としての判断基準や対応方針をブレなく反映させることができます。こうした仕組みによって、内部統制の整備や、ガバナンス強化を目指す企業にとって有効な手段となり得ます。
ワークフローシステムの導入を成功させるためには、段階的なアプローチと適切な選定基準が重要です。現状の業務分析から始まり、要件定義、システム選定、実装、運用開始まで、各フェーズで押さえるべきポイントがあります。
ワークフローシステム導入の第一歩は、現状の業務プロセスを詳細に分析することです。どのような申請業務があり、それぞれの処理フローや承認ルート、処理時間、課題点を洗い出す必要があります。
特に重要なのは、申請の頻度や承認者の階層、外部システムとの連携要件を明確にすることです。また、既存のExcelフォームや紙の申請書の棚卸しを行い、システム化の優先順位を決定します。
要件定義では、必須機能と希望機能を明確に分け、予算や導入期間とのバランスを考慮した現実的な要件を設定することが重要です。無理な要求は導入の失敗要因となるため、段階的な機能拡張も視野に入れて検討します。
ワークフローシステムの選定では、機能性、操作性、拡張性、コストの4つの観点から総合的に評価する必要があります。機能面では、現在の業務要件を満たすだけでなく、将来の業務拡張にも対応できる柔軟性が求められます。
操作性については、エンドユーザーの負担を最小限に抑える直感的なインターフェースが重要です。また、拡張性も重要な評価ポイントであり、自社の業務に合わせた柔軟な設定が可能かを確認する必要があります。
中小企業向けワークフローシステムを選定する際は、導入・運用の簡便性とコストパフォーマンスを重視し、スモールスタートできる製品を選ぶことが効果的です。
ワークフローシステムの導入は、リスクを最小限に抑えるため段階的に進めることが重要です。まず、影響範囲の小さい業務から開始し、システムの安定性や利用者の習熟度を確認してから対象範囲を拡大していきます。
実装フェーズでは、システム設定、マスタデータ移行、テスト、利用者研修を順次実施します。特にテスト工程では、実際の業務フローを想定したシナリオテストを十分に行い、想定外の動作や操作ミスによる影響を事前に検証します。
外部システムとの連携が必要な場合は、連携テストに十分な時間を確保し、データの整合性や処理のタイミングを慎重に検証することが成功の鍵となります。また、バックアップとロールバック計画も必ず準備しておきます。
システムの運用開始後は、利用者の定着化支援が導入成功の重要な要素となります。操作に慣れない利用者に対しては、継続的なサポートと研修を提供し、システム利用の習慣化を促進する必要があります。
運用初期は、問い合わせ対応やトラブルシューティングが集中するため、専任のサポート体制を構築することが重要です。また、利用状況のモニタリングにより、業務効率化の効果測定も継続的に実施します。
定着化のためには、処理時間の短縮や作業負荷の軽減といった効果を数値で示し、システム利用のメリットを利用者に実感させることが効果的です。これにより、システム利用のモチベーション維持につながります。
導入メリットを最大限に引き出すためには、単にシステムを導入するだけでなく、自社の業務特性に応じた活用の工夫が求められます。ここでは、活用事例をもとに、ワークフローシステムを効果的に活用するためのポイントをご紹介します。
申請件数が多く、複雑な承認フローを有する業務では、ワークフローシステムの導入効果が特に大きくなります。例えば、年間で1万件近い稟議申請を取り扱う企業では、紙ベースでの回覧や押印作業が決裁の滞留や漏れの原因となっており、対応のたびに関係者に大きな負担がかかっていました。
このような状況を改善するため、ワークフローシステムを活用して申請プロセスをデジタル化し、進捗状況の可視化や承認ルートの最適化を実施した結果、作業工数の削減と決裁スピードの向上を同時に実現しています。申請が滞留した場合でも、どこで止まっているのかを即座に把握できるようになったことで、確認や対応にかかる時間も大幅に短縮されました。
特に承認者が多い稟議フローでは、関係者への通知設定や条件分岐による自動ルーティング機能を活用することで、業務の確実性と効率性を高めることができます。
グループ全体で複数のワークフローシステムが併存している場合、業務の標準化や統制の確保が難しくなり、申請・承認フローの効率にも大きく影響します。このような課題に直面していた企業では、基幹業務の見直しに合わせて、ワークフロー基盤を全社で統一する取り組みを進めました。
従来は紙ベースでの運用や部門ごとの異なる仕組みが混在していた申請処理を、ひとつのワークフロー上に集約することで、処理フローの可視化や申請リードタイムの短縮を実現しました。さらに、証跡管理を前提とした設計により、ガバナンスの強化にもつながっています。
ワークフローシステムの導入は、企業の業務プロセス自動化とDX推進において重要な基盤となる取り組みです。紙ベースの申請・承認業務からの脱却により、業務効率化、ペーパーレス化、内部統制強化を同時に実現できます。
導入を成功させるためには、現状分析から始まる段階的なアプローチと、自社の業務特性に適したシステム選定が重要です。また、技術の進歩により、クラウド型やノーコード対応システムの選択肢が拡がり、中小企業でも導入しやすい環境が整ってきています。
富士ソフトはNTTデータ イントラマート社が提供する「intra-mart」を用いて、ワークフローシステムの導入によるお客様のDX推進をご支援しております。
NTTデータ イントラマート社の認定パートナーとして、専門技術者50名以上を擁するスペシャリスト集団がお客様の業種・業務に応じた最適な提案を行い、業務効率化・属人化の解消・DX基盤の構築を支援いたします。ぜひご相談ください。