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コラム

COLUMN.5営業DXの進め方は?営業プロセス効率化のためのポイントを解説

営業DXの進め方は?営業プロセス効率化のためのポイントを解説

営業DXは、従来の営業手法をデジタル技術で革新し、営業プロセス全体の効率化と成果向上を実現する取り組みです。多くの企業が営業活動の属人化や非効率な業務フローに課題を抱える中、intra-martなどのデジタルツールを活用した営業DXへの注目が高まっています。
本記事では、営業DXの基本概念から具体的な進め方、効果的なツール活用方法まで、営業プロセス効率化のための実践的なポイントを詳しく解説します。営業組織を変革するための現状分析手法や推進体制の構築方法についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

Writer Profile

阿部良平

富士ソフト株式会社
ソリューション事業本部 営業統括部
ソリューション営業部 第4営業グループ

2014年 富士ソフト株式会社入社。お客様付きのアカウント営業として活動したのち、2024年よりintra-martのソリューション営業担当としてお客様へご提案を実施。

営業DXとは

営業DXは、デジタル技術を活用して営業プロセス全体を変革し、顧客体験の向上と業務効率化を同時に実現する取り組みです。単なるツール導入ではなく、営業組織の構造や働き方そのものを根本的に見直すアプローチが求められます。

営業DXの基本的な定義

営業DXとは、「営業活動におけるデジタルトランスフォーメーション」を指し、ITやデジタル技術を活用して営業プロセス全体を革新する取り組みや概念のことです。
営業DXには、顧客管理のデジタル化や営業活動の自動化、オンライン営業の推進などが含まれます。営業日報のシステム化や見積書・請求書のデジタル化といった基本的な業務から、リード獲得や業務スピードの向上まで、幅広い領域での変革が可能になります。

営業プロセスにおけるデジタル技術の役割

デジタル技術は営業プロセスの各段階で重要な役割を果たします。デジタル技術によって、リード獲得から商談化、受注に至るまでの一連の流れを効率化し、営業担当者がより価値の高い活動に集中できるようになります。
マーケティング活動では、MAツールによってリード管理・育成が自動化され、質の高い見込み客を営業部門に引き渡すことが可能です。また、商談段階では、SFAツールによって営業活動の可視化と標準化が可能になるため、組織全体の営業力向上が期待できます。
こうした営業活動における従来の手法と、デジタル技術を活用した手法の違いをまとめると以下の通りです。

営業段階 従来の手法 DX活用手法
リード獲得 テレアポ・飛び込み営業 ウェブマーケティング・MA活用
顧客管理 Excel・紙ベース管理 CRM・SFAによる一元管理
商談進行 対面打ち合わせ中心 オンライン商談・資料共有
受注処理 紙ベース契約書作成 電子契約・自動見積もり

従来の営業手法との違い

従来の営業手法では、営業担当者の経験や勘に依存した属人的なアプローチが中心でした。しかし営業DXを通じたデジタル技術の活用により、営業活動の可視化と分析が可能になり、より戦略的で効率的な営業アプローチが実現します。また、顧客とのタッチポイントが多様化し、オンラインとオフラインを組み合わせたハイブリッド営業が可能となります。

営業DXが必要となる背景と課題

現代の営業環境は急速に変化しており、従来の営業手法では対応が困難な課題が数多く存在します。顧客の購買行動の変化や競争の激化により、営業組織には新たなアプローチが求められています。

現代営業が抱える主要課題

多くの営業組織での主要な課題として、業務の属人化や非効率な営業プロセスが挙げられます。優秀な営業担当者のノウハウが組織に蓄積されず、人材の入れ替わりによって営業力が大きく左右される状況が続いています。
また、顧客情報の管理が各営業担当者に委ねられているため、組織として統一された顧客戦略を展開することが困難です。営業活動の進捗や成果が可視化されておらず、適切な管理や改善施策の実施が遅れがちになります。
これらの課題が解消されないままでは、営業組織全体の成果向上が難しくなり、将来的な競争力にも影響を及ぼす可能性があります。そのため、データ活用による営業効率化と標準化されたプロセスの構築が急務となっています。

市場環境の変化と顧客ニーズの多様化

現代の顧客は、購買プロセスの多くをオンラインで完結させる傾向にあります。情報収集から比較検討まで、営業担当者と接触する前に購買プロセスの大部分が進行していることが一般的です。
このような環境変化により、従来の対面営業中心のアプローチでは顧客との接点を十分に確保できません。そのため、デジタルマーケティングや非対面営業の活用といった新しい営業手法の導入が、対応策のひとつとして注目されています。

変化要因 従来の対応 現在求められる対応
顧客の情報収集行動 営業担当者からの情報提供 ウェブサイト・SNS活用
購買プロセス 長期間の関係構築 効率的な意思決定支援
コミュニケーション 対面での商談中心 オンライン・オフライン混在

デジタル化による競争優位性の確保

営業DXは単なる効率化にとどまらず、新たな競争優位性の創出にも寄与します。たとえば、データ分析によって顧客の潜在ニーズを発見し、他社に先駆けた提案活動が可能になります。
また、営業プロセスの標準化により、組織全体の営業スキルが向上し、属人的な営業力に依存しない安定した営業成果を実現できます。これらの取り組みにより、長期的な企業の成長と市場での競争力強化が期待できます。

営業DXの進め方

営業DXを成功に導くためには、段階的で計画的なアプローチが重要です。現状分析から始まり、適切な推進体制の構築、そして継続的な改善サイクルの確立まで、組織全体での取り組みが求められます。

現状分析と課題抽出の方法

営業DXの第一歩は、現在の営業プロセスと組織の状況を正確に把握することです。営業活動の各段階における課題やボトルネックを明確化し、改善の優先順位を決定する必要があります。具体的には、営業担当者へのヒアリングや営業データの分析を通じて、業務フロー改善の機会を特定します。受注率や商談期間、顧客満足度などの定量的な指標と、営業担当者の負担感や業務効率性などの定性的な評価を組み合わせて現状を評価することが欠かせません。
現状分析では、営業プロセス全体を可視化し、どの段階で最も大きな課題が発生しているかを明確にすることが重要です。この分析結果に基づいて、DX施策の方向性と期待される効果を設定しましょう。

推進体制構築と役割分担

営業DXの成功には、適切な推進体制の構築が不可欠です。経営層からの強いコミットメントと、現場の営業担当者を巻き込んだ推進チームの編成が求められます。
推進体制では、DX戦略の立案と意思決定を行う経営層、具体的な施策実行を担当するプロジェクトマネージャー、現場の声を反映する営業担当者代表、そしてITシステムの技術的支援を行う情報システム部門の連携が重要です。

役割 担当者 主な責任
戦略策定 経営層・営業責任者 DX方針決定・予算承認
プロジェクト管理 DX推進責任者 進捗管理・課題解決
現場調整 営業マネージャー 現場との橋渡し・研修実施
技術支援 情報システム部門 システム導入・運用保守

段階的な導入プロセス

営業DXは一度に全ての変革を実施するのではなく、段階的なアプローチで進めることが効果的です。小さな成功を積み重ねながら、組織全体の変革を実現していきましょう。
まず、第一段階では、比較的導入しやすい営業日報のデジタル化や顧客情報の一元化から開始しましょう。第二段階では、SFAやCRMツールを活用した営業プロセスの標準化を進め、第三段階でAI活用やデータ分析による高度な営業支援を実現できるようにするとよいでしょう。各段階で得られた成果と課題を評価し、次の段階への改善点を明確にすることで、継続的な営業DXの推進が可能になります。また、各段階での成功体験を組織全体で共有することで、変革への理解と協力を促進できます。

営業プロセス効率化のツール活用

営業DXの実現には、適切なデジタルツールの選定と活用が欠かせません。SFA、CRM、MAツールなど、それぞれの特徴を理解し、営業プロセスに最適な組み合わせで導入することが重要です。

SFAツールによる営業活動管理

SFA(Sales Force Automation)ツールは、営業活動の自動化と可視化を実現する中核的なシステムです。商談管理、活動履歴の記録、売上予測などの機能により、営業プロセス全体の効率化を図ります。
SFAツールの導入により、営業担当者の活動状況や商談の進捗状況がリアルタイムで把握できるようになります。また、過去の営業データの蓄積と分析により、成功パターンの発見や改善点の特定が可能です。
SFAツールを効果的に活用するためには、営業プロセスの標準化と併せて導入し、営業担当者への十分な研修と継続的な運用サポートを行うことが必要です。

CRMツールでの顧客管理システム構築

CRM(Customer Relationship Management)ツールは、顧客との長期的な関係構築を支援するシステムです。顧客情報の一元管理や購買履歴の分析、コミュニケーション履歴の追跡などにより、質の高い顧客サービスを実現します。
CRMツールの活用により、営業、マーケティング、カスタマーサポートなど、複数部門での顧客情報共有が可能になり、組織全体での顧客価値向上が図れます。

CRM機能 効果 活用場面
顧客情報管理 情報の一元化・共有 営業戦略立案・引き継ぎ
購買履歴分析 顧客ニーズの把握 クロスセル・アップセル
コミュニケーション履歴 一貫した顧客対応 問い合わせ対応・営業活動
顧客セグメンテーション 効率的なアプローチ マーケティング施策立案

MAツールとインサイドセールスの連携

MA(Marketing Automation)ツールは、マーケティング活動の自動化により、質の高いリードの創出と育成を実現します。
MAツールによってリードの行動や関心度を数値化し、最適なタイミングでインサイドセールスがアプローチすることで、受注確度の高い商談を創出できます。また、リードナーチャリングの自動化により、長期的な顧客関係の構築も可能です。
MAツールとインサイドセールスの連携により、BtoB営業DXにおいて特に重要な見込み客の効率的な獲得と育成が可能になります。

intra-martによる営業DX

営業DXの導入には柔軟なシステム基盤が求められますが、中でもintra-martは、営業活動の効率化と業務プロセスのデジタル化・自動化において非常に役立ちます。
intra-martは、企業内の業務システムを一つのプラットフォームに集約し、IT投資の効率化と業務プロセスの最適化を実現できるソリューションです。SFAとしての製品も用意されており、豊富なコンポーネント機能とAPIを活用することで、営業活動の自動化やプロセスの標準化、さらには業務全体のデジタル化を可能にします。特に営業活動においては、intra-martによって営業日報のデジタル化、商談管理の自動化、資料の電子化などが可能になり、営業担当者が効率的に作業できるようになります。
これまで手作業で対応していた承認業務や報告書の作成も、intra-martの導入によりデジタル化・ペーパーレス化が実現し、営業担当者が本来の業務である営業活動により多くの時間を割けるようになります。また、営業活動の進捗状況や顧客情報も、intra-martによって一元管理することで、営業部門間での情報共有がスムーズになり、営業戦略の立案や顧客対応がより迅速になります。

営業DX成功のポイント

営業DXを成功に導くためには、ツール導入だけでなく、データ活用の仕組み作りや継続的な改善体制の構築が重要です。成果を最大化するための具体的なポイントを理解して、実践に進みましょう。

データ活用による営業効率化

営業DXの最大の価値は、蓄積されたデータを活用した営業アプローチにあります。商談データや顧客行動データの分析により、営業活動の精度と効率を大幅に向上させることができます。まず、データ分析により、受注確度の高い見込み客の特徴や、成功率の高い営業アプローチのパターンを発見できます。また、営業担当者個人のパフォーマンス分析により、スキル向上のための具体的な改善点も明確になります。
データ活用を成功させるためには、正確なデータの収集と継続的な分析体制の構築が必要です。営業担当者がデータ入力を負担に感じないよう、業務フローに自然に組み込まれた仕組み作りが重要です。

KPI設定と効果検証の仕組み

営業DXの成果を適切に評価するためには、明確なKPI設定と定期的な効果検証が不可欠です。従来の売上高や受注件数に加えて、営業プロセスの各段階での効率性を測定する指標を設定しましょう。
具体的なKPIとしては、リード獲得コスト、商談化率、商談期間の短縮、営業担当者の生産性向上などが挙げられます。これらの指標を定期的にモニタリングし、目標達成状況と改善の必要性を評価するとよいでしょう。

KPI分類 具体的指標 測定方法
営業効率 商談化率・受注率 SFAデータ分析
プロセス改善 商談期間・対応時間 活動履歴追跡
顧客満足 顧客満足度・リピート率 顧客アンケート・CRMデータ
コスト効率 営業コスト・ROI 財務データ分析

社内浸透施策と継続的改善

営業DXの成功には、組織全体での理解と協力が欠かせません。変革への抵抗を最小限に抑え、全ての関係者が積極的に取り組める環境を整備することが重要です。
社内浸透施策では、定期的な研修や成功事例の共有により、営業DXのメリットを具体的に示すことが効果的です。また、現場からのフィードバックを積極的に収集し、システムや運用プロセスの継続的な改善を行うことも有効でしょう。
継続的改善のためには、小さな成功を積み重ねながら、組織全体の営業DXに対する理解と習熟度を段階的に向上させることが重要です。

まとめ

営業DXは、デジタル技術を活用して営業プロセス全体を革新し、業務効率化と成果向上を同時に実現する重要な取り組みです。現状分析から始まり、適切な推進体制の構築、段階的な導入プロセスを経て、継続的な改善サイクルを確立することが重要です。
営業DXの成功には、技術的な側面だけでなく、組織全体での理解と協力が不可欠です。社内浸透施策を通じて変革への理解を深め、全ての関係者が積極的に取り組める環境を整備することで、真の営業力向上と競争優位性の確保が実現できるでしょう。

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