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COLUMN.4業務プロセスのデジタル化!システム導入時に押さえるべき重要ポイント

業務プロセスのデジタル化!システム導入時に押さえるべき重要ポイント

業務プロセスのデジタル化は、生産性向上やコスト削減を実現するために非常に重要です。しかし、システム導入を成功させるためには、事前の準備や段階的な進め方が欠かせません。
この記事では、業務プロセスのデジタル化を検討している方向けに、システム導入時に押さえるべき重要ポイントを詳しく解説します。現状分析から運用定着まで、失敗しないためのノウハウを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

Writer Profile

阿部良平

富士ソフト株式会社
ソリューション事業本部 営業統括部
ソリューション営業部 第4営業グループ

2014年 富士ソフト株式会社入社。お客様付きのアカウント営業として活動したのち、2024年よりintra-martのソリューション営業担当としてお客様へご提案を実施。

業務プロセスのデジタル化とは

業務プロセスのデジタル化は、従来の手作業や紙ベースの業務をITシステムで自動化・効率化する取り組みです。単純なツール導入ではなく、業務全体の見直しと改善を伴う包括的なプロジェクトとして捉えることが重要です。
デジタル化を進める際は、現在の業務フローを正確に把握し、課題を明確にした上で適切なシステムを選定する必要があります。

デジタル化による具体的なメリット

業務プロセスのデジタル化には、さまざまなメリットがあります。以下の表は、主要な効果を整理したものです。

効果分野 具体的なメリット
業務効率化 作業時間短縮、自動化推進
コスト削減 人件費、印刷費、保管費の削減
品質向上 入力ミス防止、承認漏れ回避
情報共有 リアルタイム情報更新、透明性向上

生産性向上の面では、従来手作業で行っていた定型業務の自動化により、従業員がより付加価値の高い業務に集中できるようになります。また、ペーパーレス化によって、書類の保管や検索にかかる時間も大幅に短縮されます。
さらに、デジタル化されたデータは分析・活用しやすく、経営判断の迅速化や新たなビジネス機会の発見にも寄与します。

よくある導入失敗パターン

システム導入プロジェクトには、いくつかの典型的な失敗パターンが存在します。事前にこれらを把握しておくことで、リスクを回避できます。
最も多い失敗は、目的が不明確なまま導入を進めてしまうケースです。「何のために導入するのか」「どのような効果を期待するのか」が曖昧だと、プロジェクトが形骸化しやすくなります。
以下の表は、代表的な失敗パターンとその対策をまとめたものです。

失敗パターン 発生原因 対策
現場の巻き込み不足 トップダウンでの強行 事前ヒアリングと段階的導入
過剰投資 必要以上の機能要求 優先度設定と段階的拡張
運用体制不備 導入後のフォロー不足 専任担当者配置と定期見直し
既存システムとの不整合 連携設計の軽視 事前のシステム連携方法検討

また、現場の業務実態を十分に理解せずにシステムを導入すると、実際の運用で問題が発生しやすくなります。導入前の現状分析と関係者との綿密なコミュニケーションが重要になります。

業務プロセス分析と現状把握

システム導入を成功させるためには、まず現在の業務プロセスを正確に把握することが不可欠です。業務フローの可視化から課題の特定まで、体系的なアプローチで進めることが欠かせません。

既存業務フローの可視化手法

業務フロー可視化は、現在の業務手順を図表やチャートで表現する作業です。この作業により、業務の全体像を客観的に把握し、改善点を発見しやすくなります。
業務フローを作成する際は、開始から終了まで一連の流れを漏れなく記録することが重要です。各工程での担当者、使用する資料、判断基準なども併せて記載するようにしましょう。可視化の手法としては、フローチャートやプロセスマップが一般的です。複雑な業務の場合は、部門別や機能別に分けて作成し、後で統合する方法も効果的です。
業務フローを可視化する目的は、業務の「見える化」だけでなく、隠れた問題や非効率な部分の発見することにもあります。可視化することによって、定型的な作業の中に潜む属人的な判断や、部門間での情報伝達の遅れなどを特定できます。

課題整理と優先度設定

業務フローの可視化が完了したら、発見された課題を整理し、解決の優先度を設定します。全ての課題を同時に解決しようとすると、プロジェクトが複雑化し、失敗リスクが高まるため、適切に優先度を設定しましょう。
課題の分類方法として、「緊急度」と「重要度」の2軸で評価するマトリックス分析が有効です。緊急度が高く重要度も高い課題から順次対応することで、効率的な改善が可能になります。
また、解決によって得られる効果の大きさも考慮要素として重要です。コスト削減効果、作業時間短縮効果、品質向上効果などを定量的に評価し、投資対効果の高い課題を優先的に選定しましょう。
課題の中には、システム導入以外の方法で解決できるものも含まれている場合があります。業務手順の見直しや組織体制の変更で対応可能な課題は、システム化の対象から除外することも検討するべきです。

関係者ヒアリングの進め方

関係者ヒアリングは、現場の実態を正確に把握するための重要なプロセスです。管理職だけでなく、実際に業務を担当している現場スタッフからも意見を聞くことが大切です。
ヒアリングでは、現在の業務手順、感じている課題、理想的な業務の姿について質問するとよいでしょう。業務改善に対する要望や懸念も併せて確認することで、導入後の定着度を高められます。
部門横断プロジェクトの場合は、各部門の代表者を集めた合同ヒアリングも効果的です。合同ヒアリングを行うことで部門間の連携課題や情報共有の問題を発見しやすくなります。
ヒアリング結果は、課題の内容、影響範囲、現在の対処法、改善案などを項目別に整理し、後の工程で活用できるよう構造化して記録しておきましょう。

システム選定と要件定義

現状分析と課題整理が完了したら、解決策としてのシステム要件を定義し、適切なツールを選定します。この段階では、技術的な機能だけでなく、運用面や将来の拡張性も考慮した総合的な判断が必要です。
要件定義では、必須機能と希望機能を明確に分け、優先順位を設定しましょう。予算やスケジュールの制約を踏まえ、段階的な導入計画も併せて検討することが重要です。

ツール選定基準の設定

システム選定を成功させるためには、事前に明確な選定基準を設定することが不可欠です。機能面、技術面、コスト面、サポート面など、多角的な評価軸を設けて比較検討しましょう。
機能要件では、現在の課題を解決できる機能があるかを重点的に確認しましょう。単に高機能なシステムを選ぶのではなく、自社の業務に適合する機能を持つシステムを選定することが重要です。
以下の表は、システム選定時の主要な評価項目を整理したものです。

評価項目 確認ポイント
機能適合性 必須機能の網羅性、業務フローとの整合性
操作性 画面の見やすさ、操作の直感性
拡張性 将来の機能追加、データ量増加への対応
セキュリティ データ保護機能、アクセス制御
サポート体制 導入支援、運用後サポート

技術面では、既存システムとの連携可能性や、社内のIT環境との適合性を確認しておきましょう。また、ベンダーの安定性や将来性も重要な選定要素となります。

カスタマイズ性と拡張性の検討

システム選定時には、導入初期だけでなく将来の変化にも対応できるかを検討する必要があります。カスタマイズ性と拡張性は、長期的な運用を考える上で重要な要素です。
カスタマイズ性については、自社の業務に合わせてシステムをどの程度調整できるかを確認します。過度なカスタマイズは、導入コストやバージョンアップ時の動作検証など運用負荷を増大させるため、標準機能での対応範囲を重視することも大切です。
拡張性の観点では、利用者数の増加、処理データ量の増大、新機能の追加などに柔軟に対応できるかを評価します。クラウド型のシステムは一般的に拡張性が高く、初期投資を抑えながら段階的に規模を拡大できます。
システム連携方法についても事前に確認が必要です。既存の基幹システムや他のツールとのデータ連携が円滑に行えるかは、業務効率化の実現に直結します。API連携の可能性や、データ出力・取り込み機能の充実度などについて、詳しく調査しておくとよいでしょう。

費用対効果分析の実施

システム導入の意思決定には、定量的な費用対効果分析が欠かせません。導入コスト、運用コスト、期待効果を具体的な数値で評価し、投資判断の材料とします。
導入コストには、ライセンス費用、導入作業費、カスタマイズ費、教育訓練費などが含まれます。運用コストは、月額利用料、保守費用、運用担当者の人件費などを考慮しましょう。
効果の算出では、作業時間短縮による人件費削減、印刷・郵送費削減、エラー減少による再作業コスト削減などを定量化する方法が有効です。これらの効果を年間ベースで計算し、投資回収期間を算出します。
費用対効果分析の結果は、経営層への報告や予算確保の根拠として活用できます。また、複数のシステム候補を比較する際の客観的な判断材料としても有効です。定性的な効果も併せて整理し、総合的な評価を行うようにしましょう。

導入推進と運用定着

システム選定が完了したら、実際の導入作業と運用定着に向けた活動を開始します。この段階では、技術的な導入作業だけでなく、組織の変化管理と現場での定着促進が重要な課題となります。

段階的導入の重要性

大規模なシステム導入では、一度に全ての機能や部門に展開するのではなく、段階的に進めることが推奨されます。この手法により、リスクを分散し、各段階での学習を次の段階に活かすことができます。
システム導入の際には、まず、影響範囲が限定的で成功しやすい業務から開始するようにしましょう。小さな成功体験を積み重ねることで、組織全体の導入への意欲と信頼を高められます。

現場活用促進策

システムが技術的に正常に動作していても、現場での活用が進まなければ期待した効果は得られません。
現場で活用してもらうために、まず、現場担当者に対する十分な教育研修を実施しましょう。操作方法だけでなく、システム導入の目的や期待される効果も併せて説明することで、積極的な活用を促進できます。
現場からの質問や要望に迅速に対応する体制も重要です。導入初期は特に多くの問い合わせが予想されるため、専任のサポート担当者を配置するか、外部サポートを活用するとよいでしょう。

導入後フォローアップ体制

システム導入完了後も、継続的なフォローアップが必要です。運用開始直後は想定していなかった課題が発生することが多く、迅速な対応が求められます。
システム導入後は、定期的な効果測定を行い、導入目標の達成状況を確認しましょう。業務効率化、コスト削減、品質向上などの効果を数値で把握し、さらなる改善の余地がないかを検討することが大切です。
また、ボトルネック解消策として、利用者からのフィードバックを収集し、システムの設定変更や追加研修などの対策を実施することも効果的です。継続的な改善活動により、システムの価値を最大化できます。

まとめ

業務プロセスのデジタル化を成功させるためには、現状分析から運用定着まで、体系的なアプローチが不可欠です。単なるシステム導入ではなく、業務改善プロジェクトとして取り組むことで、より大きな効果を期待できます。
特に重要なのは、現場の実態を正確に把握し、関係者の協力を得ながら段階的に進めることです。技術的な側面だけでなく、組織の変化管理にも十分な配慮が必要です。

富士ソフトは、システム選定で重要なカスタマイズ性・拡張性に優れたシステム開発プラットフォームである「intra-mart」を用いて、お客様の業務プロセスのデジタル化を実現した実績があります。
NTTデータ イントラマート社の認定パートナーとして、専門技術者50名以上を擁するスペシャリスト集団がお客様の業種・業務に応じた最適な提案を行い、業務効率化・属人化の解消・DX基盤の構築を支援いたします。ぜひご相談ください。

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