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2024年11月18日

iPaaSが変える企業の未来。「DX LABO AKIHABARA」で体感する自動化の可能性

DX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)が急速に進む現在、企業が直面する課題への解決策として注目されるのが、iPaaS(Integration Platform as a Service)を活用した業務自動化。富士ソフトはiPaaSを核として新たな提案を行う体験型ショールーム「DX LABO AKIHABARA」を2024年春に設立しました。このショールームでは、iPaaSを活用した業務自動化と効率化のソリューションを紹介し、企業のDX推進を幅広くサポートしています。

訪れたお客様は実際のデモンストレーションを通じて、DXの具体的な活用方法や効果を直接体感できるため、DXに対する理解が深まり自社の業務プロセスを見直すきっかけを得ることができます。人手不足が深刻化する日本において、このような取り組みは企業の生産性向上と競争力強化に大きく貢献すると期待されています。本記事では企業が求めるDX導入のメリットやiPaaSがもたらす業務効率化について触れながら、企業の「知りたい・視たい・体験したい」に応える「DX LABO AKIHABARA」の役割について、当社の佐藤 史輝、原 麻衣に聞きました。

「DX LABO AKIHABARA」が提供するソリューションの特徴

当社が運営する「DX LABO AKIHABARA」は、iPaaSを活用した業務の自動化と効率化の魅力を発信する体験型ショールーム。ショールームで体験できるiPaaSを活用した多彩なソリューションを導入することで、企業はこれまで手作業で行っていた業務を大幅に短縮・自動化することが可能になります。訪れたお客様に業務プロセスを見直すきっかけをもたらすとともに、企業のDX推進を幅広くサポートしています。

登場社員のプロフィール
  • 佐藤 史輝
    ソリューション事業本部 営業統括部 第2営業部

    2022年、富士ソフト株式会社入社。入社後、ECサイトを立ち上げるビジネスに従事。2023年よりDXを中心とした情報系ソリューションの立ち上げに関わり、現在は当社DX商材「DzX」の推進担当に従事。

  • 原 麻衣
    ソリューション事業本部 営業統括部 第2営業部

    2021年、富士ソフト株式会社入社。入社後、ECサイトを立ち上げるビジネスに従事。佐藤と同様、2023年よりDXを中心とした情報系ソリューションの立ち上げに関わり、本記事にてご紹介のiPaasビジネス「Workato」を担当として、当社DX商材「DzX」の推進担当に従事。

日本の人手不足による、DXの必然性

DXが産業界で急速に求められるようになった背景には、世界的な経済や技術の急速な変化があります。日本では、人口減少とそれに伴う人手不足の問題が深刻化していて、今後の経済活動や企業経営に大きな影響を与えると予想されています。厚生労働省の推計※1では、2070年には日本の人口が9000万人を割り込み、高齢化率は39%の水準になるとされています。

日本の人口の推移

労働力が大幅に減少する中で、企業はこれまで以上に限られた人的リソースを効率的に活用しなければなりません。こうした状況に対応するためには、デジタル技術を用いて業務を効率化し、生産性を向上させることが不可欠です。単純に業務をデジタル化するのではなく、業務全体を見直し、より効率的に運営できるプロセスへの変革とシステム導入によるDXが必要となります。

DXは単なる人的コスト削減だけではなく、経営判断のスピードアップや新たなビジネスチャンスの創出につながるものです。一例として、業務フロー全体をDX化し、あらゆるデータのリアルタイムな分析が可能になったことで、これまで各所に散らばっていた情報の一元的な取得を叶え、迅速な経営判断ができるようになるケースもあります。

すでに多くの企業がDXを「未来の成長を支える戦略」として位置付けています。今後もDXの必要性はさらに高まることが予想され、限られた人材と資源をどのように最大限活用するかが企業の競争力を左右する重要な課題となると当社は考えています。

※1:厚生労働省「我が国の人口について」:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21481.html

iPaaSの導入で生まれる効率化と、価値創出

企業がDXを推進する過程において、iPaaSはとりわけ重要な役割を果たしています。iPaaSとは異なるシステムやプラットフォーム間のデータを連携させ、効率的に管理するためのソリューションです。企業内に存在する複数のシステムやSaaSを統合し、業務フロー全体の効率化を図ることができます。当社では、データ統合ツール「Workato」を活用したiPaaS導入支援サービスを提供しています。ローコード・ノーコードで開発ができるという特徴をもつ「Workato」は、企業のデータ統合や業務の自動化を容易にします。

グラフ

企業がiPaaSを導入すると、業務にかかる工数削減が期待されます。たとえば、人事部門における新入社員向け手続きでは、ID発行や端末貸与、名刺発行といった申請業務を自動化できます。これにより、人事担当者の負担を軽減し、業務効率を向上させます。

別の例を挙げると、営業部門では新規取引先を登録する際に、iPaaSを活用したリアルタイム連携により、与信調査、承認プロセス、稟議帳票作成や登録作業を迅速に行えるようにすることができます。登録リードタイムの大幅な削減は、営業担当がコア業務に割ける時間の増加につながるため、新たな価値創出にもつながるといえます。

また、リアルタイム連携は、効率化に加え、迅速なデータ収集を可能にします。データドリブンの考え方がますます重視される中で、リアルタイムのデータをもとにした迅速な経営判断は、企業の競争力を大きく高めます。今後、iPaaSを利用したデータの統合と自動化は、さらに多くの企業で行われることになると考えられます。

「DX LABO AKIHABARA」で触れる、未来のビジネス体験

「DX LABO AKIHABARA」は、当社が2024年春に開設したDX推進のためのショールームです。企業のDX推進担当者が気軽に立ち寄り、最新のソリューションを体験できる場を提供しています。このショールームを設立した最大の目的は、DXをより手軽に、身近なものとして捉えてもらうための「きっかけ作り」。

多くの企業で、DXの必要性を認識しながらも、具体的な取り組み方法や導入後の効果については十分には理解できていないケースが散見されます。中でもiPaaSなどの新しい技術は、その単語を漠然と知っていたとしても詳細な機能や効果については把握しきれていない企業が少なくありません。

そこで「DX LABO AKIHABARA」では、業務自動化のデモンストレーションを通じて、企業がどのようにDXを活用し得るかを体感できるようになっています。実際の流れを見ていただくことで、お客様はDXの具体的な効果を理解しやすくなります。さらには、デモンストレーションを基に、お客様がこれまで気づいていなかった改善余地に気づき、DXに対して前向きに検討を始めるきっかけとなるケースもあります。

このように直接的な体験を提供する場に足を運んでいただくことで、多くの担当者が持つDX導入に対する「何から始めていいか分からない」という不安を払拭できると考えています。実際に、事前予約制であるにもかかわらず、開設からわずか数カ月で多くのお客様に来訪いただいています。ショールームでの体験を通じてDXに対する理解が深まり、具体的な導入を検討しているお客様が増えてきているのが現状です。

体感することで広がるDXの可能性

「DX LABO AKIHABARA」で体験できるデモンストレーションの一例として、顧客との取引における口座開設手続きの自動化があります。これらの業務は、通常、担当者が手作業で行うため多くの時間がかかり、エラーが発生することも珍しくありません。とくに承認プロセスやデータの突合作業には時間がかかり、全体の業務効率を大きく低下させる要因となっています。しかし、そこでiPaaSを活用し自動化することで、これらのプロセスは大幅に効率化されます。

「DX LABO AKIHABARA」の体験プログラム(一例)

背景:営業部における新規取引先情報の登録を迅速化したい

  • Salesforceをはじめとする任意のアプリケーションから操作開始
  • 担当者がお客様名などの基本情報を入力
  • 《Workato作動》与信情報を取得
  • 《Workato作動》承認者に要承認アラートを通知→承認(ボタン押下)
  • 《Workato作動》決裁申請書の起票可否の承認アラートを通知→承認(ボタン押下)
  • 《AgileWorks作動》決裁申請書の下書きを自動生成※2

※2:取得した与信情報が基準値以下の場合 あるいは 基準値以上の場合 に応じて、異なるフォーマットの書類を生成可能

成果:これまで1〜2週間程度の時間を要していた作業を、わずか5分程度で申請作業が完遂


こうしたDX化の成果は、ショールームでのデモンストレーションを通じて多くの企業に体感していただいています。

また、iPaaSに生成AIをかけ合わせたソリューションにも注目が集まっています。任意のアプリケーション上にチャットボットを実装することで、従業員が業務に関する質問事項を打ち込むと回答が得られるというものです。AIが回答の根拠としているのは、あらかじめ格納しておいたSFAや就業規則などの非構造化データなど、実にさまざまです。

例えば、営業担当者が商談中に顧客から持ちかけられた相談ごとに対して、検索窓に「A社の昨年度の売上は?」「別の事業部でA社に提案した事例」といった言葉を入力するだけで、わずか数十秒で回答を得ることができます。あるいは「海外出張に必要な手続きを教えてください」と入力すれば、いとも簡単に規約データから要約して必要な申請手続きが示されます。このようにiPaaSを活用したDX効果は様々な場面で発揮します。

ここまでご紹介したように「DX LABO AKIHABARA」での体験は、企業が抱える課題を解決するための糸口を提供するだけではなく、DXの可能性を現実的に体感する場として機能しています。今後も、DXに踏み出しきれていない多くの企業にとってリアルな情報提供の場としてご活用いただけるよう、取り組みを一層加速させていきます。