課題解決の現場
2025年3月18日

複雑な業務プロセスの省人化を実現する。BPM・BPRツールを活用した業務効率化

DXと業務改善は深く関係しあっているため、多くの企業が業務プロセスのデジタル化を通して業務効率の改善に取り組んでいます。これまで紙やExcelで管理してきた稟議決裁や顧客ステータスの管理、資産管理などをワークフロー管理システムに置き換えることで、業務の進捗状況が把握できたり、社内にいなくても申請・承認ができたり、属人的な業務を排除できたりします。しかし、業務プロセスや社内システムが複雑な企業では、SaaS製品でFit to Standard※の考え方に基づき提供されているツールを導入しても、現行の複雑な業務プロセスに適用できず、思うようにデジタル化ができていない場合もあるのです。

富士ソフトは、PEGA社が提供するBPM(Business Process Management)、BPR(Business Process Reengineering)ツールの導入を通じて、複雑な業務プロセスの効率化をご支援しています。本記事では、橋本 隆央に話を聞き、PEGA製品の機能や導入することで得られるメリットをご紹介します。

※Fit to Standard:システムの導入時に業務内容に合わせてシステムを開発したり機能を変更したりするのではなく、システムの標準機能に合わせて業務を調整する手法

登場する主な課題
  • 社内システム同士が連携しておらず、業務プロセスを通して進捗管理ができない
  • 業務を効率化したいが、何にどれだけ時間がかかっているのかがわからない
  • 複雑な業務プロセスにかかる時間を短縮したい
改善効果
  • 各システムを1つのプラットフォームにつなぐことで、一連の進捗管理を実現
  • 業務プロセス別にかかっている時間を見える化し、改善点を抽出
  • 人がやらなくてよい部分は自動化することで省人化を実現
登場社員のプロフィール
  • 橋本 隆央
    金融事業本部 フィナンシャルIT事業部 金融ソリューション部 第2技術グループ
    課長

    2006年、新卒で富士ソフト入社。主にグループウェア上で稼働する業務アプリケーションの開発プロジェクトに従事。その開発経験を活かし、ローコード・ノーコードプラットフォームでの開発部門に所属、現在はPEGAを中心に取り扱っている。

独自システムを運用する企業や手続きが複雑な企業では、業務プロセスのデジタル化に遅れが

DXと聞いて多くの方が思い浮かべるのは、業務プロセスのデジタル化でしょう。これまで紙やExcelで管理していたものを、ワークフローシステムなどを導入して見える化したり、社外からでもスマホ端末などで申請・承認ができるようにするイメージです。すでに多くの企業が取り組んでおり、社会的にかなり浸透してきていますが、独自システムを使う企業や手続きが複雑な企業では、思うように進んでいない現状があります。

代表的なのが、金融業界です。金融業界は、早い時期から積極的にデジタル化に取り組んできましたが、今になって弊害となっている場合があります。たとえば、今でもホストシステムが中心になっていたり、部署ごとに個別のシステムを導入したことで、各部署のシステム連携ができないままになっていたりするのです。例えばAというシステムに対応後、別のBというシステムの作業を開始する等、システム同士が連動していないため、業務全体ではいまだにExcel台帳を使ったアナログ管理をしている現場も多く見受けられます。

自社サーバーをもっていてシステムの独立性が高かったり、承認手続きが他部署を横断して複雑だったりする構造も、業務プロセスのデジタル化が遅れる原因となっています。手続きごとに法務や財務部門の確認が必要であったり、複雑に枝分かれした承認プロセスを経なければならなかったりなど、一般的なワークフローシステムでは対応しきれないことがあるのです。このような状況は、金融業界にとどまらず、承認プロセスが多岐にわたる官公庁など、他の業界でもよく見られます。

業務プロセスのデジタル化で大事なのは「現状分析」

業務効率化のために必要になるのが、まずは業務分析です。各工程における業務負荷の大小等を把握し、業務効率化にむけた有効なアクションを取ることが求められます。多くの企業で業務効率化を阻害している要因は、業務プロセスの現状分析そのものができていない状況なのです。

そのために、業務プロセスのデジタル化が、業務効率化の第一歩となります。デジタル化することで、各工程でかかっている時間などを定量化し、分析できるようになるからです。さらに分析によって、効率化できるタスクの洗い出しや改善を測ることができ、人件費といった内部コストの最適化にもつながります。そうすることで、圧縮できた時間をサービスの品質向上などの取り組みに充てることもできます。たとえば、エンドユーザーからの問い合わせに対して、返答するまでにかかっている時間を把握できれば、顧客対応で改善すべきポイントを具体的に絞り込み、費用対効果を検討し、改善のためのリソースを投入しやすくなります。

複雑な業務プロセスをデジタル化する、PEGAの優位性

当社は、さまざまな業務プロセスにおけるデジタルツールを扱っていますが、複雑な業務プロセスをもつ企業様をご支援するために、PEGA社とアライアンスを締結しています。PEGA製品には、BPM・BPRツールとして、複雑な業務プロセスや他のシステム連携に必要なあらゆる機能が包括されています。ある程度知識を身につければ、自らワークフローを設定することもできますので、複雑なワークフローを独自に組み上げることも可能です。
ここまでご紹介すると、「PEGA製品は複雑な業務プロセスに対応できるツール」といったイメージをもつと思いますが、それだけではなく、最も大きな特徴は「人の作業や判断を削減する」ツールである点なのです。

PEGAの特徴は、人の作業や判断を減らせること

一般的なワークフローシステムの基本思想は、「紙でやっていた手続きの電子化」です。たとえば、紙の稟議書に書いていた項目が、デジタル画面の入力窓に変わったイメージです。しかしこれだと、入力にかかる手間や、承認者が内容チェックをする手間は、さほど変わりません。人によっては「手で書いたほうが早い」と感じます。

これに対して、PEGA製品の基本思想は「業務プロセスの電子化」です。PEGA製品が申請内容を自動で判定し、承認者に対して「こういう判定でよいですか」と判断を仰ぎます。また、申請者に対しては「こういう内容ですよね」と入力項目を自動で入力してくれます。PEGA製品のプラットフォームの中には、自動判定のルールを設定するための機能が用意されており、それを組み合わせることで、さまざまなパターンに対応できるのです。判定ルールの設定は、ワークフロー全体でも、個別のワークフローでも行えます。個別ワークフローの設定を変更しても、前後のワークフローには影響しないため、運用状況を確かめながら柔軟に判定ルールを調整することが可能です。

つまり、これまで人が考えて判断していたもののうち、一定のルールにもとづいている部分は自動で判定してくれるので、考えなくてもよくなるのです。人は、PEGA製品が判定した結果を承認/否認するだけでよくなります。

富士ソフトの強みは、構築だけでなく業務改善を含めた提案ができること

業務プロセスのデジタル化で注意が必要なのは、BPM・BPRツールを導入すれば業務効率化が実現するのではなく、導入後のBPM・BPRツールのチューニングと、社内の業務改善の両方があってこそ実現する点です。たとえば、負荷が高い業務プロセスを特定して効率化を施し、判定ルールなどを調整すれば、入力や承認にかかる手間は減らせるでしょう。しかしそれ以前に、判定ルールそのものがなかったり、一部の人に承認が集中してボトルネックになったりしていると、業務改善の難易度が高くなります。こうした業務上の課題をあぶり出して、改善していく考え方がセットで必要になってきます。

当社の強みは、業務改善を含めたトータルで要件定義や運用保守ができる点です。当社は昔からお客様の事業所にもエンジニアを配置し、システム開発に取り組んできたため、さまざまな業界の業務内容を熟知しています。
たとえば、金融部門では金融事業本部という専門部所があり、金融業界における業務内容を深く理解したエンジニアが多数在籍しています。またさまざまな金融機関様にエンジニアを数十人規模で常駐させており、個社別の事情にも柔軟に対応しています。

お客様の中では、すでにいくつかの金融機関様にPEGA製品を導入しています。たとえば某クレジット会社様では、クレジットカードの紛失連絡から再発行までの業務プロセスをPEGA製品でデジタル化することができました。また別の事例だと、某保険会社様では、代理店の管理にご活用いただき、新規契約や既存契約の更新状況などをPEGAで一括管理されています。
金融業界以外でもご活用いただいており、某リース会社様では、リースの申し込みから契約までの業務プロセスをデジタル化し、加えてリース製品の貸し出し状況や、減価償却期間を迎えることでの廃棄処分の手続き状況まで管理されています。

業務改善の第一歩としてPEGA製品を活用する

さまざまな企業様でPEGA製品の導入をご支援してきた経験から、業務効率化で最も大事なのは「現状分析」だと感じています。先にご紹介した事例の企業様も、PEGA製品による現状分析からPDCAを回して業務改善に取り組まれています。

先ほどは、業務プロセスのデジタル化と洗い出しから始めるのが重要であると言いましたが、PEGA製品は、「どこから業務改善を始めたらいいのかわからない」というお客様にも向いている製品だと思います。まずは現状に合わせたBPM・BPRツールを導入するだけでも、各業務プロセスでかかっている業務負荷を明らかにできます。

お客様から「業務プロセスをデジタル化したい」とお問い合わせをいただきますが、その際には「まずはPEGA製品を入れてみて、現状分析から始めてはどうでしょうか」とご提案するようにしています。その上で改善すべき部分を検討し、協力して改善していければと考えています。
「ツールの選定に困っている」「PEGA製品やそれ以外の製品と比較をしてみたい」「まずはPEGA製品について知りたい」と考えていらっしゃる方は、ぜひお気軽にお声かけ頂ければと思います。

※記載の会社名、製品名は各社の商標または登録商標です。