営業支援・顧客管理に有効なCRMとは?最新ソリューションの導入事例と成果
昨今、効果的なマーケティングを後押しするソリューションとして大きな注目を集めるCRM(Customer Relationship Management)。市況が目まぐるしく変化する中、企業の継続的な成長には顧客との長期的な信頼関係が不可欠です。CRMは顧客情報の一元管理を実現するばかりでなく、営業活動の改善や顧客満足度の向上といった相乗効果ももたらします。本記事ではCRMそのものについてと、CRMを活用した課題改善事例について、ソリューション事業本部 情報ソリューション事業部 DXソリューション部 部長の山田 茂雄が詳しくご紹介します。
- 顧客情報の一元管理ができてない
- 部署間の情報共有が不足している
- CRM導入後の運用効率が悪い
- 顧客情報をマーケティングに活用できていない
- CRM導入により、お客様の連絡先やコミュニケーション履歴、お客様の状況を一元化し、営業やカスタマーサクセスが効果的に行えるようになった
- 営業やマーケティング部署に留まらず、全社でデータ共有し、顧客フォローにも活用できるようになった
- データにより行動が「見える化」したことで「ロールモデルとなるような営業社員」の行動が真似できるようになり、効率的な営業が可能になった
- Webサービス内の顧客動線を見える化し、新たなマーケティング手法を確立できた
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山田 茂雄ソリューション事業本部 情報ソリューション事業部 DXソリューション部 部長
2006年、新卒で富士ソフト株式会社に入社後、大手損害保険会社や生命保険会社、大手クレジットカード会社にて業務アプリケーションの開発に従事。2020年よりSalesforceの導入支援に携わり、2024年7月よりソリューション事業本部 情報ソリューション事業部 DXソリューション部 部長としてPMのとりまとめに注力。現在は商社・弁護士事務所・不動産業など、業界・業種を問わず多種多様な企業・団体に向けた導入実績を誇る。
MA・SFAからCRMへ──ニーズ増加の背景
インターネットの発達によって、かつて売り手が握っていた主導権は買い手に移ろいました。買い手側による購入前の調査や他者の評価が、今まで以上に購入の意思決定を左右するようになったのです。さらには、SaaS企業やサブスクリプション型サービスの台頭をきっかけに、サービスや商品は買い切り型から契約更新型へと変遷しました。買い手がサービスの効果を実感できなければ、契約を更新しようと思い至ることはありません。カスタマーサクセスによる継続的なフォローが必要不可欠なものとなったのです。
そこで登場したのが、Salesforce社が提唱するThe Modelの考え方。これは、マーケティング・インサイドセールス・外勤営業・カスタマーサクセスというように営業プロセスを切り分け、互いを連携させることで営業効果を最大化するというものです。
MA(Marketing Automation)、SFA(Sales Force Automation)、CRM(Customer Relationship Management)は、The Modelの考え方によって切り分けられた、各営業プロセスにおいて活用されているツールの呼称です。いずれもセールスやマーケティングを後方支援するシステムであることに変わりはありませんが、用途が異なります。MAはマーケティング活動を自動化して「見込み客を育成する」ためのツール、SFAは「営業プロセスそのものを支援する」ツールです。対して、CRMの最大の特色は、顧客情報を一元管理して「お客様との関係を強化する」ためのツールであることです。お客様の連絡先やコミュニケーション履歴、お客様の状況を記録して、営業やカスタマーサクセスの担当者が効果的に顧客対応を行えるよう支援します。
日本において、セールスやマーケティングのあり方が大きく変わった要因の一つには、新型コロナウイルスの感染拡大もあるでしょう。リモートワークが主流となって従来のような対面形式のコミュニケーションの機会が減少したことで、営業活動や顧客対応が分散し、情報の共有が困難になりました。リモート環境において、顧客情報を一元化し、さまざまな部署で活用しながら顧客フォローを行うために、MAやSFA以上にCRMが重宝されるようになったのです。
コロナ禍からポストコロナにかけて発展した分野であるために、お客様からは「情報共有を円滑にしたい」というような漠然とした相談が多く寄せられます。反対に「問い合わせから契約、フォローまでを一気通貫でやりたい」といった具体的な依頼があることもあります。ただ、一口にCRMと言っても、できること、コスト感などはツールによって様々あります。ここからは、そのなかでも世界でトップクラスのシェアを誇り、The model型の営業プロセスの最適解ともいえるSalesforce CRMとそれを活用したソリューションについて詳しくご紹介します。
Salesforce CRMとそれを活用したソリューション
Salesforceは世界中で広く使われているCRMプラットフォームで、その信頼性と実績には定評があります。他のCRMでは、まず全体的な基盤を構築してから機能を載せていくというケースが多いため、初期の導入コストを考えると全社導入を第一に検討する必要があります。一方で、Salesforceはユーザー単位の課金制であるため、部門ごとに試しやすいというメリットがあります。
当社では、Salesforce CRMの導入に加え、「Salesforceを導入したものの、うまく活用できていない」という相談にも対応しています。営業ステータスの管理において、情報を入力する習慣がなく運用できていないケースや、管理者・経営者がもっとも求めているデータを正しく抽出できていないケースなど、お悩みはさまざまです。当社でSalesforce CRMを構築する際は、お客様の中でロールモデルとなるような営業担当者をアサインしていただきます。理由は、成果を出している方の行動をCRMのデータにより見える化することで、成果につながる行動をだれもが真似できるようになり、効率的な営業が可能になるからです。
開発だけではない、専門家による長期的な運用支援
当社には多様なプロジェクトで培ってきたノウハウの蓄積に支えられた高い開発力があります。そのため、Salesforceを他のプラットフォームと連携させるなど、幅広いソリューションの提供が可能です。加えて、導入後の保守・サポート体制にも力を入れています。「エンタープライズサポート for Salesforce」というチケット制のメニューも設け、他社が構築したSalesforceの保守にも対応するなど、導入企業がシステムを長期的に安定して運用できるように支援しています。また、保守チームのメンバー構成にも工夫があります。運用の安定期を迎えるまでは、仕様を理解している初期導入メンバーが保守を担当し、その後は保守の専門家である「エンタープライズサポート for Salesforce」のメンバーへと引き継ぎます。これにより、スムーズに導入から運用までの支援ができるのです。
Salesforce CRMを導入し、成果につなげるには、お客様が属する業界・業種ならではの専門用語や独自の商流を理解する必要があります。それらを一つひとつ詳らかにしていくのには、お客様との対話が不可欠で、時には労力を要することもあります。その人員を確保するために、Salesforceの認定資格を保有するメンバーを増やす取り組みを行っています。具体的には、受験料の補助や勉強用のカリキュラムの設定などです。結果として、金融分野に特化した資格「Financial Services Cloud」(*)の保有者は11名と、国内で2番手の数を誇るまでになりました。
*Salesforceには分野別に計40程度の認定資格が用意されている
Salesforce CRM導入時に直面する問題と払拭方法
Salesforce CRMを導入する際に多くの企業が直面する問題と、それを解決するために当社が行っていることもお伝えします。
1つ目の問題は、「既存システムとの違いによる戸惑い」です。使い慣れたツールとSalesforceのインターフェースや操作方法の違いに戸惑いを感じるというお客様には、事前にSalesforceの画面構成や機能について十分な説明を行い、必要に応じてデモなどを用意して実際の操作画面をお見せします。導入後の戸惑いを減らすために、あらかじめ新しいシステムのイメージを持っていただくようにしています。
2つ目は、「カスタマイズと保守のバランス」の問題です。Salesforceは非常に柔軟なプラットフォームで、多様なカスタマイズが可能です。一方で、過度なカスタマイズは保守にかかるコストやセキュリティに関するリスクを増加させる要因となります。保守コストがかさんでシステムが使われなくなってしまうのを防ぐため、限られた予算の中で保守工数がより少なく済むよう提案しています。
富士ソフトによるSalesforce CRMの導入事例と成果
Salesforce CRMを導入するプロジェクトに携わってきた中で、とくに印象的だった3つの事例をご紹介します。
1つ目は不動産会社のポータルサイトを構築した事例です。最初にエンドユーザーがアクセスするためのフロントページと問い合わせフォームを作り、どのサービスに対してどれだけの問い合わせがあったかを把握できるよう整備しました。このデータをメールマガジンやキャンペーン、さらには集客イベントの企画にも役立てることで、新たなマーケティング手段としても活用いただいています。
2つ目は、少し特殊な例で、某航空会社さまから自社内にSalesforce保守運用チームを作った事例です。多数の部門においてSalesforceを利用している同社にて、会社全体として統括的にSalesforceの運用を行っていくための専門部門を組織するためのプロジェクトを支援しました。社内にて優秀プロジェクトとして評価していただくなど、先駆的な取り組みを実現することができました。
3つ目は、スモールスタート的に事業会社の特定の部門のみにSalesforce CRMを導入した事例です。某生命保険会社さまの事例では、Salesforce CRMをプラットフォームとして、複数の小さなアプリケーションを作るという試みを行いました。実装したアプリケーションには、従業員が利用できるサッカーチケットの社内販売ツールなどがあります。
上記の事例以外にも、Salesforce CRM導入によって「営業のKPI管理ができるようになった」「営業成績のよいメンバーの行動履歴を参照できるようになった」「同じお客様の前任担当者に相談しやすくなった」などのお声を頂いています。
このように、多くの企業が、これまで属人化・ブラックボックス化していたものを「見える化」し、改善することで、ビジネスの成長を加速させています。当社は、お客様の営業活動における課題解決をサポートするとともに、さらなる発展に貢献したいと考えています。セールスやマーケティングでお困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。