早わかりIT用語
2024年9月6日

ノーコード・ローコードツールで自社の社員をDX人材へ。注目される市民開発とは?

DX推進の第一歩として多くの企業で業務のデジタル化が求められるようになりました。これに伴い、「デジタル化のための予算を割くことができない」「専門部署がない」「DX人材の育成ができない」などの課題を解消するために「市民開発」が注目されています。「市民開発」とは何か、特徴と導入のメリット、成功のためのポイントをわかりやすく解説します。

「市民開発」を簡単に説明!
  • 市民開発は、専門職ではない一般ユーザーがノーコード・ローコードツールを使用して開発を行うこと
  • 専門知識がなくても、低コスト・短期間で開発が可能
  • 習得や育成の負荷、ガバナンスルール策定のノウハウ不足などの課題も
登場社員のプロフィール
  • 苅部 まり子
    富士ソフト株式会社
    ソリューション事業本部MS事業部クラウドソリューショングループ

市民開発とは

市民開発(Citizen Development)とは技術専門職ではない一般ユーザーが、自らノーコード・ローコードツールを使用して業務に必要なアプリケーションを開発することです。ノーコードツールはツール上で用意された部品を組み合わせて、プログラミングなしで簡単に開発ができます。ローコードツールは用意された部品と少ないコードで開発を行うため、ある程度のプログラミング知識は必要ですが、自由度と拡張性はノーコードツールと比較して高めです。

市民開発が求められるようになった背景

現在多くの企業がDXや業務のデジタル化に取り組んでおり、IT人材の需要は高まる一方です。しかし経済産業省が公表したデータによると、2019年をピークにIT人材は減少、2030年には最大で約80万人規模のIT人材不足が生じる懸念があるとされています。

IT人材の供給動向の予測と平均年齢の推移

*経済産業省「参考資料(IT人材育成の状況等について)」
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/daiyoji_sangyo_skill/pdf/001_s03_00.pdf

IT人材不足だけではなく外部に委託する開発コストの上昇、開発期間の長期化などの課題もあり、一般ユーザーでも開発を行うことができるノーコード・ローコードツールを活用した市民開発が注目されています。

市民開発のメリット

市民開発のメリットは、専門知識がなくても低コスト・短期間で開発が可能なことです。とくに利用者が少なく、外部に開発を依頼するほどでもない業務系アプリケーションやツールの作成に適しています。また定常業務を見直し、デジタル化することでDX推進への意識を醸成することにもつながります。

市民開発のデメリット

市民開発のデメリットは、開発者しか中身がわからず、属人化しやすいことやメンテナンスまで考慮した開発が難しいこと。セキュリティへの意識が低いため、リスクがあることなどがあります。運用時も誰がどのように使用しているのか把握が困難で、部門ごとに類似のアプリが乱立したり、所有者不明の野良アプリケーションが存在するなど内部統制にも課題があります。

市民開発を成功させるポイント

ここからは、市民開発を成功させるためのポイントについて解説します。

  • 市民開発者の育成
    市民開発者を育成するためのプログラム研修の実施や研修後のフォロー体制を構築すること。プログラム研修では実際に業務で使用できるものを開発することで、参加者の自主的な開発意識を醸成します。
  • 企業内での周知活動
    誰でもノーコード・ローコードツールが使えることを周知し、企業全体としてDXを推進している空気感を作り出すこと。継続して開発のモチベーションを保てるように社内イベントなども効果的です。
  • ガバナンスルールの策定
    ガイドラインの策定や運用ルールの取り決め、さらに利用状況を把握して管理する仕組みを構築すること。

どれか一つではなく、この3つを同時に考えていくことで市民開発の文化が社員に根付き、DX推進への意識の醸成につながります。

富士ソフトの市民開発支援

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