「システム開発の知識だけじゃない」保険業務の理解による基幹システム開発・上流支援
顧客の資産を預かる業務上、わずかなミスも許されない保険・金融業界。当社は、そのようなシビアな世界で数十年にわたり価値を提供しながら、各保険会社様の信頼を得てきました。その結果、今ではありがたいことにお客様システム部門の上流支援を任せていただけるまでに。なぜ当社がお客様からの信頼を得てきたのか。新卒からこれまで17年に渡って保険業界を担当してきた西田 望に、富士ソフトの強みと今後の展望を語ってもらいました。
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西田 望金融事業本部生保事業部第1システム部
2007年4月に富士ソフト株式会社へ新卒で入社。 入社以来、保険業界のシステム開発に従事し、ホスト(汎用)系、オープン系のシステム開発および、お客様システム部門の上流支援などを担当。現在は、生命保険のお客様を担当する生保事業部のグループ課長。
社員の代わりを任される最上流の支援
──富士ソフトに入社した経緯を聞かせてください。
私は大学で情報系を学んでいたので、就職活動では開発ができる会社を探していました。ただし、授業でプログラミングを学んでいたとは言っても、実務ですぐに結果に繋げられる自信はなかったため、開発未経験者を受け入れており、研修や教育に力を入れている会社が良いと思っていました。その点、富士ソフトは教育プログラムに力を入れていて、文系出身者も歓迎していました。文系出身者でも大丈夫なら、自分も食らいついていけるだろうと考え入社を決めたのです。今でも当社はエンジニア教育に力を入れていて、ゼロから一人前に育てる環境が整っています。
──入社してからは、どのようなプロジェクトに携わってきたのでしょう。
入社から17年間、2社の生命保険会社様の基幹システム開発業務と上流支援を、交互に担当してきました。最初に担当したA社は大規模なプロジェクトであり、キャリアを積む良いきっかけとなりました。一方、B社の小規模プロジェクトでは、A社とは違った視点が必要になり、両社での業務を通して幅広い視野を持つことができました。
また、私の担当プロジェクトがB社から再度A社に変わる際には「抜けられては困る」と嬉しい言葉をいただき、時には両社を兼務しながらキャリアを重ねてきました。現在は課長職として、A社の上流支援メンバーの管理などを行っています。
──現在担当しているのはどんなプロジェクトですか?
一般的に開発会社のサービスは「クライアントのシステム部門を“ご支援”すること」で、お客様から出てきた要求を元に要件定義を行い、開発していきます。対して私たちは、お客様システム部門の業務を社員に代わって行います。具体的には商品部や営業部などの業務部門にヒアリングをしてシステムに落とし込むための要求を整理する仕事です。そのため、開発知識だけでなく深い業務知識も求められます。10年以上開発をご支援し、A社の業務を深く理解している私たちだからこそ提供できる価値です。
──システム部門の人材が不足しているから、代わりを任されるのでしょうか?
必ずしもそうとは限りません。現にA社のシステム部門には多くの人材がいます。それでも私たちにご相談があるのは、上流の仕事が誰にでもできる仕事ではないからだと思います。
前述の通り、業務理解に加え開発の知識も必要となるため、お客様の新任メンバーがすぐにできるものではありません。安定的にシステム開発を続けていくためには、私たちのように長期的にご支援している開発会社の存在が必要なのだと思います。
業務への深い理解が強み
──上流工程から一気通貫でご支援している開発会社も多いと思いますが、その中で富士ソフトが選ばれる理由を教えてください。
富士ソフトは、これまで国内大手の保険会社様やネット系保険会社様、また外資系など様々な保険会社様との取引実績があり、幅広い業務領域をご支援してきました。そのため、社内には様々な業務の有識者がいて知見も溜まっています。この知見のお陰で、難易度の高い要望にも対応できるのが大きな強みです。
社員の代わりに業務部門の方の要望を聞くには、各部署の方がどのように仕事をしているか理解しなければなりません。お客様と同じレベルで、各部署の要望を聞けるのは、同じ業界を長年ご支援してきた私たちだからできる仕事だと思っています。
──西田さんが「業務理解」を重要視するようになったきっかけはありますか?
新卒3年目で大変な経験をしたことがきっかけです。システムの再構築プロジェクトで、お客様の要望通りに開発することができず、何度も設計からやり直すことになりました。私は新卒3年目ながら、業務知識と開発知識を持つ有識者としてアサインされていたのですが、うまく要件に落とし込めなくて。
その経験から、お客様の業務を深く理解する重要性を痛感しました。言われたことを額面通りに受け取るだけでなく、その背景にある意図を理解するには、業務を深く理解している必要があると感じたのです。
また、現在は生命保険有識者の育成に力を入れています。事業部内には長年現場で経験を積んだあらゆる業務のプロフェッショナルが多数在籍しています。その知見を継承していくワーキンググループを発足し、知識の可視化を進めているところです。
──どのように業務を理解していくのでしょう。
現場で何度もお客様と対話を重ねて、業務をヒアリングさせていただいたり、時には業務マニュアルなどの手順書を見させていただいたりしていました。今はオンラインでもお客様と話せますが、会える時はできるだけ直接会うように心がけてきました。
直接会うことで信頼関係も築きやすいですし、マニュアルだけでは理解できない部分を聞きやすいので。お客様も忙しいため、誰もが最初から丁寧に業務について教えてくれるわけではありません。それでも、時間をかけて信頼関係を築いていくことで、業務の深いところまで理解できるようになりました。
──A社B社の両方と信頼関係を築いていると思いますが、なぜそこまでお客様からの信頼を得られたのでしょう。
自発的にお客様のニーズを満たせるように意識しているからだと思います。頼まれた仕事をするだけでなく、たとえば自分で気づいたことを資料にまとめて提言してみたり、お客様の仕事を巻き取ってみたり。上流でのご支援は細かくサービス内容が決まっていないので、できる限りのことをしようと考えて動いてきた結果が今に繋がっていると思います。
契約上は、最低限の仕事をするだけでもよかったのですが、長年一緒に働いているお客様の力になりたいと思って。短期的には負荷が増えますが、信頼関係を築くことで長期的には業務が円滑に進むだろうと思っていました。
業務知識を活かして、新たなソリューション作りへ
──富士ソフトはどんな特徴のある会社だと思いますか?
やり切る力が強い会社だと思います。たとえば、私が入社3年目で大変な経験をした案件では、何度も設計からやり直したので、想定以上の工数が発生してしまいました。一般的な開発会社なら、収支を理由に対応をご相談するケースもあるかもしれません。
しかし、富士ソフトは一度依頼された案件は、余程のことがない限り最後までやりきります。その結果、嬉しいことに他の部署を紹介してもらえることも珍しくありませんし、他の開発会社で満足できなかった際に「巻き取ってくれないか」という依頼をいただくことも少なくありません。
──サービスの提供先が金融業界ならではの難しさはありますか?
お客様は「顧客のお金を扱う会社」なので、ミスが許されませんし、障害が発生した際にはすぐに対応しなければならない点です。お客様も正確性を厳しくチェックしているので、他の業界に比べてもシビアに品質を求められます。
クリティカルな障害を短時間で復旧させたこともありましたね。そのおかげもあって、ハードな環境にも耐えられるタフな方が多いと思います。
──お客様の代わりに上流工程を進めるなかで、他の開発会社に発注することもあると思います。その際に意識していることがあれば聞かせてください。
認識の齟齬が生じないように意識しています。開発依頼書の中には、文字として記載されていない意図が含まれることも少なくありません。
「仕様の意図がわからなかったので、こう作りました」とこちらの意図とは違った解釈で進められてしまうケースが一番危険です。それを避けるために最大限の注意を払っており、マトリックスやフロー図を書いて説明するなど、説明の仕方も意識しています。このような対策をしてからは、ちゃんと理解してくれる開発会社さんが多いですね。
──最後に今後挑戦していきたい領域や目標などについて教えて下さい。
これまで蓄積してきた金融業界の業務知識を活かして、ソリューションを作りたいと思っています。保険会社のシステム担当がどんなことに困っているのか、業務部門の方がどんな要望を持っているのか理解しているため、それらをパッケージで提供するのが目標です。
それと同時に、私たちから企画提案して大きなプロジェクトを作り出すムーブメントも起こしたいと思っています。下流の開発支援から始まり、上流支援までするようになったので、次は自分たちから提案してプロジェクトを作り出していくのが目標ですね。