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HCIアーリーアダプター案件で培った課題解決能力
vExpertが語る
最新ストレージ仮想化技術を柱に
次世代SDDCの付加価値創造を目指す
VMware vSAN
「VMware vSAN」、それはまだ開発から日が浅く、アーリーアダプター(初期採用者)の運用現場における課題解決を主導することから始まった。社内での技術検証などから得られた多くの知見を活かし、VMware海外開発部と電話会議を重ねた。サーバーに内蔵されたSSDやHHDを仮想的に束ねて1つのデータストアとして機能させる。ビジネスの負荷変化に柔軟に対応できる仮想化基盤として、今後ミッションクリティカルな領域にも急速に普及していくと考えられる。この技術の黎明期からいち早くチャレンジを開始し、成熟化とソリューション開発で重要な役割を担っているのが、富士ソフトのVMwareチームである。その視線の先にあるのは、次世代SDDC(Software-Defined Data Center)における付加価値創造である。
富士ソフト株式会社
ソリューション事業本部
インフラ事業部 VMソリューション部 第1技術グループ 主任蒋 祺彦(vExpert)
中国出身。日本の文化に惹かれ2001年来日。2009年富士ソフトへ入社し、今ではVMwareソリューションに関する提案から設計導入まで幅広く従事している。入社当初よりVMwareの仮想化技術を担当し、実際に自身が導入したVMwareソリューションによりお客様のICTが変化するのを目の当たりにし、VMwareの仮想化技術に感銘を受ける。VMwareを含め新しいICTテクノロジーの習得に精進し、テクノロジーの活用とお客様ICTの貢献に努めている。
富士ソフト株式会社
ソリューション事業本部
インフラ事業部 クラウドソリューション部 第1技術グループ リーダー尾嶋 洋亮(vExpert)
2016年に富士ソフト入社。前職でVMwareやストレージ製品を中心としたインフラSEとして経験を積み、より深くVMwareビジネスへ携わるためにVMwareプレミアムパートナーである富士ソフトへ入社を決意。現在はソリューション事業本部R&D部にてVMware製品を中心としたプリセールス活動に従事している。特にストレージ領域を得意とし、vSANはお気に入りの製品の1つ。
HCIのコア技術として注目されるVMware vSAN
富士ソフト株式会社 ソリューション事業本部 R&D部は、AI(人工知能)やソフトウェアロボットをはじめとする最新テクノロジーに関する研究開発や技術検証を主導するほか、アーリーアダプターの導入案件ではプロジェクトマネージャーやアドバイザーを務めるなど、市場へ新技術の普及を図る上での水先案内人として幅広い役割を担っている。このR&D部のVMwareチームが、近年特に注力しているテーマの1つがVMware vSANの技術成熟化およびソリューション展開だ。 VMware vSANを簡単に説明すれば、サーバーに内蔵されたSSDやHHDを仮想的に束ねて1つのデータストアとして機能させるSDS(Software-Defined Storage)の技術である。仮想環境を運用する上で必須であった外付け共有ストレージを不要とし、インフラのシンプル化と初期導入コスト削減を実現する。また、VMware vCenter Serverによるサーバーからストレージまでの一元管理が可能となり、運用管理の負荷軽減にも貢献する。 R&D部の蒋祺彦は、「VMware vSANは、HCI(Hyper-Converged Infrastructure)のコア技術であると共に、SDDC(Software-Defined Data Center)への発展に向けても重要な鍵を握っており、その将来性が注目されています」と語る。HCIとはサーバー機能とストレージ機能を統合したインフラ(ハードウェア)のこと。SDDCとは、データセンターを丸ごと仮想化しようというものだ。 同じくR&D部の尾嶋洋亮も、「従来の外付け共有ストレージは非常に高価で拡張も容易ではありませんでした。そのため、数年先の需要まで見越した綿密な構成設計とサイジングが要求されました。これに対してVMware vSANは、新たなノードを追加するだけで容量もI/O性能も簡単に増やすことができる、いわゆるスケールアウトによる拡張が可能。ビジネスの負荷変化に柔軟に対応できる仮想化基盤を実現するという意味で、VMware vSANはミッションクリティカルな領域にも急速に普及していくことになるでしょう」と、その魅力を示す。
アーリーアダプターの運用現場における課題解決を主導
もっとも、世の中ではVMware vSANのみならず他ベンダーからもさまざまなSDSのソリューションが提供されている。そして、それぞれの製品で「できること」にほとんど差はないのが実情だ。 では、他ベンダーのSDSとVMware vSANは何が違うのかというと、その核心は表面的な機能ではなくアーキテクチャーそのものにある。 他ベンダーのSDSは、VMware ESXiだけでなく任意のハイパーバイザーに対しても汎用性を持たせる必要があり、ストレージのハードウェア層をベンダー独自のアーキテクチャーで抽象化する方法を採用している。I/Oを仲介するコントローラ機能を持った仮想アプライアンスをホストサーバー単位に実装し、抽象化されたストレージとNFSやiCSSIなどのプロトコルを用いて接続するというのが基本的な仕組みだ。 これに対してVMware vSAN は、VMware vSphereの専用機能としてハイパーバイザーのカーネル(VMkernel)に組み込まれて最適化されている。これにより各仮想マシンと仮想ストレージ間の通信で発生するオーバーヘッドを抑制し、先に述べたような高速なI/O性能とVMware vCenter Serverによる一元管理を実現している。 「個々の機能や要素技術を比較すればどのベンダーのSDSにも一長一短があり、どれが一番優れているとは言えません。しかし、グローバルな規模で最も普及している仮想化基盤であるVMware vSphereとのシームレスな親和性という面で、VMware vSANが他ベンダーのSDSを圧倒しているのは紛れもない事実です」と尾嶋は強調する。 ただ、一方でこうしたハイパーバイザーとSDSの一体性は、VMware vSANの黎明期において、運用環境に少なからず混乱を引き起こすこともあったという。正常に稼働している限りにおいて、VMware vSANは非常に便利で使い勝手も抜群だ。だが、何らかのトラブルが起こった場合、原因がハードウェア(ホストサーバー)側にあるのか、それともソフトウェア(VMware vSAN)側にあるのか、仮想化基盤のあらゆる構成要素がシームレスに連動しているがゆえに切り分けが従来の外付け共有ストレージと異なる部分がある。 「あるアーリーアダプターのお客様で発生したトラブルのケースでは、ホストサーバーのファームウェアの不具合が原因であることを特定し、パッチを取り寄せて対処しましたが、完全復旧を確認するまでに、お客様の休業日である土日の2日間を丸々費やしました」と蒋は振り返る。こうした課題も、ノウハウを溜めたことで解決している。そして、「新しい技術は最初から100点満点を取れるわけではない。だからこそ、誰かが率先してチャレンジし、潜在的な問題点を明らかにしていく必要があります。まさにそれこそが、私たちのミッションなのです」と訴える。 実際、R&D部 VMwareチームのメンバーは、こうしたアーリーアダプターの導入プロジェクトを通じて経験してきたさまざまな課題解決方法や、社内での技術検証等から得られた多くの知見を、ビジネスパートナーであるヴイエムウェアに対して緊密なコミュニケーションを通じて迅速にフィードバックしてきた。 この結果として、現在ではVMware vSANに起因するトラブルは激減している。「ヴイエムウェアにはグローバルの拠点から大量の情報が集まっており、私たちが提供してきた情報はその一部に過ぎません」と蒋は謙遜するが、VMware vSANの安定稼働を実現する上で富士ソフトが多大な貢献を果たしてきたことは間違いない。
複数のデータセンターやクラウドをまたいだSDDC構築に向けて準備を進める
当然のことながら、企業のITインフラにとって安定稼働は満たすべき最低限の要件であり、R&D部はすでに“その先”を見据えたソリューション開発を進めている。次世代のSDDCは、そうした中でも最も注力しているテーマの1つだ。 「現在、お客様の仮想化基盤は同じデータセンター内に構築されることがほとんどですが、今後は複数のデータセンターやクラウドをまたいで構築するケースが増えていくと予想されます。そこで必然的に求められるのが、異なるデータセンター間でクラスターを束ねることができるVMware vSANのソリューションです」と、尾嶋は説明する。技術的には現時点でも十分に可能で、実際に世界のイノベーターの間で実践されている。「イノベーターに続いて、アーリーアダプターもDR/BCP強化の観点から同様の仮想化基盤の導入に動き始めると考えられ、私たちとしても先手を打ったサポートを準備しています」と蒋は語る。 また、2018年8月に米ラスベガスで開催された「VMworld 2018」によると、VMware Cloud AssemblyやVMware Service Broker、VMware Code Streamといった新技術で構成される「VMware Cloud Automation」との連携により、VMware vSANからクラウド内のワークロードをより効果的に管理、保護、操作できるようになるという。「当然、これらの新技術についても、私たちは率先して検証および活用を進めていきます」と蒋は力強く語る。 社内のさまざまな事業本部のエンジニアやセールス、ヴイエムウェア、さらには社外のパートナーやアーリーアダプターとも連携・協業しつつ、R&D部 VMwareチームは顧客のビジネスパフォーマンスの向上やリスク低減など、VMware vSANを主軸にさらなる付加価値創造に挑んでいく。