はじめに
2021 年 5 月 19 日にマイクロソフトから、 Internet Explorer 11 のサポートが 2022 年 6 月 15 日で終了することが発表されました。
日本の組織ではまだまだ Internet Explorer (IE) に依存したサイトやアプリケーションが多く存在しています。この発表に関して必要な対応を確認しましょう。
Microsoft Edge や Google Chrome といったモダンブラウザへの対応を進める
IE は、2015 年にリリースされた Windows 10よりアーキテクトが古いため、新規開発を行わないようにマイクロソフトからアナウンスされていました。そのため、多くの企業・組織で IE をターゲットとした新規開発は抑制されていたことと思います。しかし、古くからあるアプリケーションに新しいブラウザ対応を行うことは稀でした。
そこで、「IE用のアプリケーションをモダンブラウザでも動作するように変更を加える」というのが対応方法の1つとなります。
ただし、ActiveX などモダンブラウザでは利用ができない機能を用いている場合には、ブラウザベースのアプリケーションからデスクトップアプリに変更する必要があるなど、多大な労力を要します。
Microsoft Edge に搭載されている IEモード を利用する
Microsoft Edge では IEの機能を網羅していません。そのため Microsoft Edge で実現できない機能がある場合の救済策として、 Internet Explorer(IE) モードという機能が追加されています。
このモードを利用すると IE を Microsoft Edge 上で動作させることができます。
このモードでは ActiveX の動作やグループポリシーの適用を含め IE での動作を再現するように作られているため、アプリケーションをほぼ改修することなく Microsoft Edge で継続利用することが可能になります。
表 1 UserAgentの内容
Internet Explorer 11 | Mozilla/5.0 (Windows NT ; WOW64; Trident/7.0; rv:11.0) like Gecko |
Microsoft Edge 90 IEモード | Mozilla/5.0 (Windows NT 10.0; WOW64; Trident/7.0; rv:11.0) like Gecko |
Microsoft Edge 90 | Mozilla/5.0 (Windows NT 10.0; Win64; x64) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/90.0.4430.212 Safari/537.36 Edg/90.0.818.62 |
執筆時点では IEモード を利用してアプリケーションを開くとiexplore.exe が起動する動作となっており、 IE と同様の動作が行われる根拠としても見ることができます。
図 1 Microsoft Edge の IEモードを利用するとタスクマネージャーに iexplore.exe が起動する
IEモードを試すには
この IEモード を利用するには、グループポリシーで一括設定するなど、管理者の対応が必要です。
しかし、一時的にテストを行いたい場合は、レジストリを設定することで Microsoft Edge 上に IEに切り替えるためのメニューを表示させることができます。
動作検証を行う場合、次の方法を用いると、検証端末以外への影響を抑えながら対応することが可能です。
レジストリキー:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Edge
表 2 レジストリ値
名前 | 値 |
---|---|
InternetExplorerIntegrationTestingAllowed | 1 |
InternetExplorerIntegrationLevel | 1 |
レジストリを設定後、Microsoft Edge でアクセスしたいアプリケーションを開き、以下の項目をクリックします。
"…”(三点リーダー) - その他のツール - サイトを IE モードで開く
図 2 IEモードへの切り替え
切り替えが行われると新しいタブが開きます。 IEモードで動作していることはアイコンで判断できるようになっています。
図 3 IEモード に切り替わった
なお、 IE はアーキテクトの古いブラウザであるため、インターネットへのアクセスには向きません。そのため、検証が済み次第 IEモード にしたタブを閉じることが望ましいです。
発表内容
ここまで、IE 11 のサポート終了に関する対応方法を見てきました。ではあらためて、 2021 年 5 月 19 日に発表された内容を見てみましょう。
影響範囲は以下となっています。
- Windows 10 client SKUs (version 20H2 and later)
- Windows 10 IoT (version 20H2 and later)
これは、 Windows 8.1 以前の OS やサポートの終了した Windows 10 、 Windows Server 、 Windows 10 の長期サービスチャネル( LTSB / LTSC )は対象外であるということを示しています。
影響範囲に含まれる OS では、サポート終了日以降、 iexplore.exeが msedge.exe にリダイレクトされるため、 IEの起動ができなくなるというわけです。
一方、ブラウザの機能を利用する API などはそのままサポートが継続されるようです。
MSHTML.dll を利用したアプリケーションや Active X 技術を利用した WebOC( Web Object Control )もそのまま動作させることが可能です。
さらに Microsoft Edge の IEモードは、 OS の サポート期限に合わせた 2029 年までのサポート継続もあわせて発表されています。
さいごに
IEのサポート終了は数年前から言い続けられていたため、意識をしていた方は多いのではないでしょうか。ただし、サポート終了日付がアナウンスされていなかったため、対応を後回しにしていた組織が多くあるものと推測されます。アプリケーションの単純な更新は手間だけがかかり新たな生産性を生みにくいため、特に組織内部向けのアプリケーションについては手をつけていないのではないでしょうか。
当社では Internet Explorer の終了に際して、 IEモードの導入や Windows 統合認証の側面から業務継続の支援を行っております。専門のエンジニアが、最適な対応方法を提案いたします。
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