【第2回】Anthosとは~アプリケーションモダナイズを実現するGoogleの開発アプローチを見る~

各クラウドベンダーは、それぞれにハイブリッド/マルチクラウド戦略を打ち出しており、その熱気は2019年ごろからますます高まっています。

Googleも3大パブリッククラウドを担う一角として各戦略の重要性を説いていますが、取り分け「Anthos」は戦略の「説得力」を強める、より包括的なアプリケーションモダナイズのためのサービスとして存在しています。

今回は、Anthosとは具体的にどのようなもので、なにを実現してくれるのかを解説していきます。

Anthosとは

Anthosを一言でいえば「ハイブリッド/マルチクラウド環境で動作する、アプリケーションモダナイズを実現するためのプラットフォーム」です。

アプリケーションモダナイズのためのコンテナ仮想化、およびコンテナオーケストレーションツールである「Kubernetes」は国内でも認知されつつありますが、Anthosでは、GCP上で提供されるマネージドKubernetesサービス「Google Kubernetes Engine(以下GKE)」をベースに、さまざまな機能を有することで、よりユーザのニーズに沿ったフレキシブルなアプリケーション開発環境を実現してくれます。

Anthosの主な機能

Anthos Cluster(Anthos GKE)

Anthos Clusterによって、本来GCP上でのみ提供されるGKEを、さまざまな環境で利用できます。GCPはもちろん、オンプレミス、あるいは他社クラウド上のKubernetesクラスタでさえ実行・管理可能です。

Anthos GKE on-Prem

オンプレミス環境(2021年2月時点では、vSphere6.5または6.7 Update3にて動作)にGKEを組み込み、自社環境内で簡単にKubernetesクラスタを作成したり、管理したりすることができます。

Anthos GKE on AWS

Anthosでは、Amazon Web Services(以下AWS)上でもGKEを利用可能です。ちなみに、AWSにもマネージドKubernetesサービスであるElastic Kubernetes Service(EKS)が存在しますが、EKSは利用せずに、EC2インスタンスをインフラとして利用し、EC2上でGKEをインストールしています。

Anthos Config Management

さまざまな環境のKubernetesクラスタに対して、一元的にポリシー管理を行えるのが、Anthos Config Management(以下ACM)です。

ACMにあるConfig Syncと呼ばれる機能を用いることで、ユーザはGit repositoryを変更するだけで、連動する各クラスタすべてに最適なポリシーを適用させることができます。

Anthos Service Mesh

Anthos Service Mesh(以下ASM)とは、サービスメッシュ(※)におけるオープンソースソフトウェアの代表格である「Istio」のフルマネージドサービスです。

アプリケーションモダナイズには、マイクロサービス化がその背景にありますが、一方でマイクロサービスの複雑性が問題視されます。ASMを利用すれば、Google側でトラフィックの管理やサービス間の通信セキュリティの課題を解決し、運用の負担を軽減してくれます。

※サービスメッシュ=マイクロサービスごとにプロキシを配置することで、マイクロサービスにおける可視性やセキュリティの課題、あるいはトラフィックコントロールの問題を解決する仕組みのこと

そのほかの機能

Anthosには、上記以外にも魅力的な機能が数多く存在します。

 ・Cloud Run for Anthos-コンテナ環境をサーバレス環境として利用できる機能
 ・Ingress for Anthos-クラスタ間の負荷分散機能
 ・Binary Authorization-クラスタイメージのセキュリティ管理機能

これらの機能によって、アプリケーションモダナイズは促進され、ユーザは一貫性のある開発・運用環境を手に入れることが可能です。

Anthosのコンポーネント図

上記に述べた機能も含め、Anthosが環境の中でどのような動きを提供するのかを確認してみましょう。

各環境で提供される機能に若干の違いはあるものの、ハイブリッドおよびマルチクラウド環境、オンプレミス環境いずれでも、モダンアプリケーション開発・管理のためのプラットフォームが提供されています。

Anthosで促進されるアプリケーションモダナイズ

Anthosを活用することで、ユーザはクラウド・オンプレミス両環境において、より一貫性のある開発・運用環境で、アプリケーションモダナイズを実現できます。また、Anthosは今後も機能の拡充が期待できるプラットフォームサービスです。現状ではハイブリッド/マルチクラウド環境の構築を考えていなくとも、長期的なスパンで戦略を考えたときに、Anthosの利用は視野に入れておくとよいでしょう。

さて、非常に重要なサービスではあるものの、ややGCPのメインテーマから外れた部分を解説しました。
次回はGCPの中核テーマに戻り、データウェアハウスを提供する「BigQuery」について解説します。

  山本 祥正
山本 祥正(Yoshimasa Yamamoto)
執行役員 ソリューション事業本部 副本部長

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