RPAの本格導入で顕在化する課題 ~UiPathのロボットを安定運用させ効果的に活用するには~

RPA(Robotic Process Automation)が、さまざまな業種・業界の現場に普及してきました。実証実験や試用の段階を経て、本格的に導入、展開が進められています。
RPA導入の初期段階では業務選定、ツール選定等が課題になります。導入が進むと、開発者のスキルや作成したワークフローに起因した課題も顕在化してきます。
RPAツールは機能が充実しているため、RPAのビギナーでもとりあえず動くというような簡単なワークフローであればすぐに自動化でき、生産性の向上が見込めます。しかし業務で活用するには、エラー処理(複雑な判断分岐やログ、エラーリトライの仕組み)等も必要です。完成度を高めるためには工数がかかり、技術的な難易度も上がります。安定した動作や手間のかからない運用もとても重要です。これらのさまざまな課題を解決するには、RPAのFrameworkの活用が有効です。

RPAはだれが開発するのか、だれが運用するのか

Frameworkを活用して運用保守の課題解決を図るためには、環境や目的に最適なFrameworkを選定することが重要なポイントになります。Frameworkを選定する場合、以下のような検討が必要です。

  • ユーザーの経験や技術力に適しているか
    経験の浅いユーザーには適さない、複雑で、高度な取り決めの多いFrameworkもあります。
  • 運用に適しているか
    人の手を介さずに自動起動する、エラー停止しにくいなどの運用を目指すには、高度な機能をもつ難易度の高いFrameworkの選択が必要です。
  • データの線形※に適しているか
    業務で使用するデータは、キュー、メールデータ、表データなどさまざまです。データに適したFrameworkの選択が必要です。

※データの線形:ワークフローで扱うデータがどのような形式で、どこからくるものなのか

Frameworkの難易度と信頼性・保守性の相関関係

下図は、代表的なRPAの1つであるUiPathの「Frameworkの難易度と信頼性・保守性の関係」を表したものです。FrameworkはUiPathマーケットプレイス※で公開されています。

※UiPathマーケットプレイス:https://marketplace.uipath.com/ja

Frameworkの機能

下表は上記のFrameworkの機能をUiPathマーケットプレイスの情報をもとにまとめたものです。
運用・保守を見据え、ワークフローの読みやすさ、設定情報の取り扱い、ビジネス例外の補足、システム例外の補足とリトライ、運用情報把握のためのロギングなども重要です。

Frameworkの解説

それぞれのFrameworkについて、難易度と信頼性・保守性の観点で簡単に解説します。

(1)Attended Framework:https://marketplace.uipath.com/ja/listings/attended-framework

Attended Robot(従業員の操作により動作するロボット)の利用を想定したFrameworkです。簡単な枠組みと最低限の機能のみで、運用は手動を前提としており、エラーリトライは⼊っていません。基本的には、下図のシーケンス「プロセス」に⾃動化する処理を作るだけで機能します。Frameworkの中⾝が少なく⾃由度が⾼いため、既存のワークフローを移植する場合も⽐較的簡単です。

(2)Local MiniFramework:https://marketplace.uipath.com/ja/listings/local-miniframework

表形式のデータを起点とするシーケンス構造のシンプルなFrameworkです。こちらは、Attended Frameworkの機能に加えて、エラーリトライが可能です。シーケンス構造ですが、機能的には表形式のデータを起点としたREFramework(Robotic Enterprise Framework)の動きに似ています。シーケンスに慣れているユーザーにとっては、REFrameworkより、扱いやすいFrameworkです。

(3)Queue MiniFramework:https://marketplace.uipath.com/ja/listings/queue-miniframework

Orchestrator※キューのデータを起点とする、シーケンス構造のシンプルなFrameworkです。エラーリトライも可能です。シーケンス構造ですが、機能的にはキューのデータを起点とするREFrameworkの動きに似ています。シーケンスに慣れているユーザーにとっては、REFrameworkより、扱いやすいFrameworkです。ただし、Orchestratorからの停⽌要求の受付機能は⼊っていないため、必要に応じてカスタマイズが必要です。

※Orchestrator:RPA環境を安全で安定的に運用管理するための管理ツール

(4)⽇本語版REFramework(Robotic Enterprise Framework):https://marketplace.uipath.com/ja/listings/japanese-reframework

REFrameworkは、⼤規模展開のベストプラクティスに準じたプロセスを⾃動化するのに向いているFrameworkです。UiPath社から推奨されています。

Orchestratorキューのデータを起点に動作します。ステートマシンを使⽤した構造で遷移も複雑ですが、運⽤保守を⾒据えた機能が組み込まれているため、信頼性・保守性に優れており、プロフェッショナル開発者向けのFrameworkといえるでしょう。
REFrameworkはUiPathアカデミーでだれでも無料で学習できるメリットがあり、上級の認定資格でも使われます。

(5)ReFramework for Tabular Data:https://marketplace.uipath.com/ja/listings/reframework-for-tabular-data

REFrameworkがOrchestratorキューのデータを起点とするのに対し、このFrameworkは表形式のデータを起点に動作します。初期化処理では、下図のように、ExcelまたはCSV形式のデータを読み込みます。
ReFramework for Tabular Dataのように、データの線形でパターン化したREFrameworkを使用することで、効率化が図れます。

(6)Enhanced REFramework:https://marketplace.uipath.com/ja/listings/enhanced-reframework-57011

REFrameworkを連結したイメージのFrameworkで、プロセスを跨ぐエラーハンドリングが可能です。構成は以下のようになっています。

TopレベルのREFrameworkから初期化時に呼び出されるREFramework(FirstRun)、データ取得時に呼び出されるREFramework(GetData)、トランザクション処理時に呼び出されるREFramework(Task1,Task2、・・・)があり、全て同じワークフローの構造をもっています。Enhanced REFrameworkで使用するREFrameworkは、標準のREFrameworkとは構造が異なるため、既存のREFrameworkで作成したワークローをそのまま組み込むことはできません。アーキテクチャーもREFrameworkより複雑なため、Enhanced REFrameworkは更に上級者向けといえます。

プロフェッショナル開発とビジネスユーザー開発

全社規模の業務など、高度で大規模な自動化の場合は、プロフェッショナルによる開発が必要となり、前述したFrameworkの機能が特に効果を発揮します。
例えば、以下のような仕組みを整備する場合などです。

・自動化対象のアプリケーションが何らかの影響を受けた場合を考慮し、再起動によって処理の成功率を上げる仕組み
・膨大な処理時間を短縮するためにキューを使用してロボットを分散実行する仕組み
・キューを使用してトランザクション単位での成功/失敗を把握し、失敗のトランザクションについては、原因を解析/対策した上で再実行できる仕組み

更に、プロセスの実行回数と処理したトランザクションの数、処理時間を運用情報として記録しROIを可視化するためのロギング、エラーが発生した時に迅速に原因を突き止め対処するためのロギングも必要となります。

一方、シンプルな日常業務の自動化では、ビジネスユーザー開発も有効です。
UiPath Studio※1で開発する場合は、最もシンプルなAttended Frameworkを利用することも可能ですが、UiPath StudioX※2の利用も可能です。UiPath StudioXでは変数を使わないため、簡単なものであれば、すぐに自動化できます。複雑な判断分岐には向かず、ログやエラーリトライの仕組み等は難しいですが、開発しているビジネスユーザーが自身で運用する場合には、UiPath StudioXの利用が有効な選択肢となります。
ビジネスユーザー開発で一番大切なことは、ビジネスユーザーがツールを使いこなし、自動化文化を定着させることです。UiPath StudioXでは、Frameworkを採用しない場合でも、開発標準(ルール)は必要です。この開発標準に準じた自動化のテンプレートを予め用意して置くことも有効な手段となります。

※1 UiPath Studio  UiPathが提供するRPA開発者向け開発ツール: https://www.uipath.com/ja/product/studio

※2 UiPath StudioX UiPathが提供するビジネスユーザー向けノーコード開発ツール: https://www.uipath.com/ja/product/studiox

全社導入に向けてスケールするために

UiPathはCoE(Center of Excellence)を中心としたプロフェッショナル開発と、ビジネスユーザー自身の業務を自動化するEUC開発の2つの開発・運用タイプを混在させ、全社導入に向けてスケールすることができます。

UiPathを全社展開するには、だれが開発して、だれがどのように運用するのかを十分に検討した上で、最適なFrameworkを選定し、開発・運用する必要があります。ここまで述べてきた通り、Frameworkには特徴があり、難易度も異なるため、さまざまなノウハウが必要となります。UiPathの全社展開を成功させ、運用を安定させ、効果的に業務で活用するための道のりは簡単ではないかもしれません。

富士ソフトでは、コンサルティングから導入、開発、運用管理、トレーニングまできめ細かいRPA導入支援のための各種サービスを提供しています。専門家による説明会なども開催し、個別のアドバイスも実施していますので、RPA導入を検討しているお客様も、導入済のお客様も、当社にぜひお問い合わせください。

※ UiPathは、UiPath社の米国およびその他の国における登録商標または商標です。

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塩見 潤塩見 潤(Jun Shiomi)

エリア事業本部
西日本支社 インテグレーション&ソリューション部
第2技術グループ
課長 / エキスパート

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