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【第1回】GCPとは~GCPの基本性能と全体像を見る~

Googleが展開する世界規模のサービスは、あらゆる層のユーザが、あらゆるシーンで目にしています。世界最大のユーザ数を誇る検索エンジン「Google」、動画配信サービス「YouTube」、「Gmail」、「Google Maps」、「Google Photo」など、ぱっと思いつくだけでも、片手では足りないほどです。

そして、それら各サービスを支えるインフラレイヤーのプラットフォーム「Google Cloud Platform(以下GCP)」は、近年ますますその存在感を増しています。

本連載では、魅力的なテーマを持つGCPの各サービスから、GCPを通してGoogleが見せるビジョンまでをわかりやすく解説します。

さっそく、第1回となる今回は、GCPの全体像をとらえていきましょう。

GCPとは

GCPとは、一言でいえば「Googleが提供する各クラウドコンピューティングサービスの総称」です。

GCPでは、2021年現在、170を超えるサービスが展開されています。

コンピューティング、ストレージ、ネットワーク、データベースなどのインフラサービスをはじめ、BigQuery、サーバーレスコンピューティング、AI、IoT、Kubernetes等コンテナ・アプリケーション関連などのプラットフォームサービス、セキュリティやID管理などのマネジメントサービス、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドを支えるツール群など、多様なサービスが従量課金制で提供されています。

冒頭に挙げたような、Googleが世界的に展開するサービスも同じプラットフォームで動いており、Googleが活用するテクノロジーと同じレベルでシステムを開発することができます。

GCPにおけるリージョンとゾーンの考え方

「GCPのリージョンとゾーン」

GCPには、クラウドデータセンターをエリアごとに分割して運用する考え方が存在しています。これは、クラウドサービスに共通した考え方です。

リージョン

 複数のゾーンで構成されるエリアのこと。2021年時点では、GCPには全世界に24のリージョンが存在する。

ゾーン

 GCPの各リソースが配置される、リージョンより小さな拠点のこと。ゾーンを集約したものが、リージョンとなる。2021年時点でGCPには世界73のゾーンが存在する。

リージョンやゾーンをまたがるGCPリソース

「GCPリソース」

GCPリソースは、各リージョンやゾーンをまたがって配置されたり、あるいはそのゾーン内でのみ実行されたりします。このような運用をすることで、BCP(事業継続計画)対策やアクセス権限の管理を実行しやすくします。

グローバルリソース

 複数のリージョンおよびゾーンにまたがって配置・実行されるリソース。

リージョンリソース

 1つのリージョン内のゾーンにまたがって配置・実行されるリソース。

ゾーンリソース

 1つのゾーンにのみ配置・実行されるリソース。

プロジェクト

 GCPリソースを一つにまとめた単位。

GCPの操作方法

 GCPの管理コンソールとしては、GUI(Graphical User Interface)とCLI(Command Line Interface)の2つに分けられます。

GUI(Google Cloud Console(ハイバーリンク))

 Webベースの管理コンソール。直感的に、複数のプロジェクトを作成できる。

CLI(Google Cloud SDKあるいはGoogle Cloud Shell)

 コマンドラインベースの管理インターフェース。gcloudというコマンドラインツールを使用する。
 開発キットであるGoogle Cloud SDKをインストールするか、Google Cloud ConsoleからGoogle Cloud Shellを開いて実行する。

GCPが提供するサービス

GCPも、ほか3大クラウド(AWS、Microsoft Azure)と同じく、さまざまなサービスを展開しています。以下に、GCPを構成する基本コンポーネントサービスを、いくつか簡単に紹介しています。

Google App Engine

Google App Engine(以下App Engine)は、PaaSとして存在するGCPの1コンポーネントです。App Engine 1つで、Googleのインフラ上でWebアプリケーションの開発・運用を行うことができます。サービスがローンチされた当初は、使用可能言語もPythonのみでしたが、2021年現在ではJavaやPHPなど、さまざまな言語をサポートしています。

App Engineは、オートスケールによる高いスケーラビリティをもっているのが魅力の1つです。利用ユーザが一時的に急増するケースもあるSNSの分野においては、より優位性をもつメリットといえるでしょう。たとえば「Snapchat」などのSNSサービスは、App Engine上で動作していることで知られています。

そのほかゲーム業界などにも有用だと考えられますが、Googleは「Google Stadia」といったクラウドゲームにも力を注いでおり、その片影を覗くことができるサービスです。

Google BigQuery

Google BigQuery(以下BigQuery)は、ビッグデータを高速で処理・解析してくれるデータウェアハウスサービスです。もともとは、「Dremel」と呼ばれるGoogleの社内データ解析ツールを、サービスとしてGCPに展開したものがBigQueryです。

BigQueryの特徴としては、ペタバイト級の重量を扱えることですが、その一方で、汎用性の高いSQLで、誰もが簡単に利用できる手軽さも持ち合わせています。

世界でもっとも人気の高い検索エンジン「Google」を運営するGoogleだからこその、ハイクオリティデータ解析ツールです。BigQueryに関しては、より詳しい解説を掲載する予定です。お楽しみに。

Google Cloud Machine Learning

GoogleはAI・機械学習分野にも特化しており、業界をリードしています。機械学習モデルを簡単にデプロイできるGoogle Cloud Machine Learning(以下Cloud ML)もGCPを構成するサービスの1つですが、やはり検索エンジンなどを見てもわかるように、Googleだからこそのサービスレベルとなっています。

そのほかのサービス

GCPでは、上記で挙げたコンピュート分野やデータ分析分野などのほかにも、さまざまなサービスがカテゴライズされています。

 ・ストレージ
 ・データベース
 ・管理ツール
 ・ネットワーク

といった、システムを構築するうえで欠かせない各層を、一元的にクラウドプラットフォームとして提供することで、ユーザに新たな価値創造の機会とコストメリットを与えています。

GCPは、Googleならではのクラウドの世界

世界規模のサービスを数多く展開するGoogleだからこその、「可能性」を秘めたGCP。GCPによって生まれるサービスは、世界的にはばたくことも大いに考えられます。

ここでは簡単に各サービスを紹介しましたが、次回からより詳しくGCPの各サービス、およびGoogleのビジョンに迫っていきましょう。

第2回は、「Kubernetes」ベースのアプリケーションを、あらゆる環境で実行管理するプラットフォーム「Anthos」を紹介します。コンテナオーケストレーションツールであるKubernetesを開発したGoogleが見せる、ハイブリッドクラウドおよびマルチクラウドの世界は、どのようなものでしょうか?ぜひお楽しみに。

 

 

この記事の執筆者

山本 祥正
山本 祥正Yoshimasa Yamamoto

執行役員
ソリューション事業本部 副本部長

クラウド 仮想化 Vmware Tanzu