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第4回 VMware Tanzuの成り立ち~年表から見る、No.1エンタープライズKubernetesベンダーへの道~

VMware Tanzuとは

VMware Tanzu(以下、Tanzu)とは、VMwareが展開するKubernetes関連製品群です。オープンソースであるKubernetesを使用したコンテナ基盤に加え、運用管理ツールや開発ツールから構成されています。

同社のCEOであるパット・ゲルシンガー氏は、Tanzuについて、以下のように説明しています。

「Tanzuは、スワヒリ語で「枝」を意味する言葉、つまり新しいイノベーションの分岐点。あるいは、日本語ではモノを運ぶためのコンテナ(ご想像のとおり、古くから日本人に愛されてきた「タンス」のことです)を指す」。

そんなTanzuを利用することで、ユーザは複雑化するマルチクラウドの課題を解消し、正確にアプリケーションモダナイズを実現できます。

VMwareは、さまざまな企業の買収計画を進め、その結果、いくつもの要素を秘めたTanzuを誕生させました。アプリケーションモダナイズを解説してきた本コラムも、今回からはより踏み込んで、VMwareの取り組みであるTanzuを紹介していきます。導入として、まずはVMwareが行ってきた買収戦略から、Tanzuの成り立ちを見ていきましょう。

2018年のHeptio買収を機に、マルチクラウド戦略への第一歩が始まる

Tanzuへの道のりは、2018年11月のHeptio買収から始まりました。Heptioは、Kubernetesの生みの親であるクレイグ・マクラッキー氏とジョー・ベダ氏によって設立された企業です。

2017年11月のVelocloud買収や、2018年8月のCloud Health買収など、すでにマルチクラウド管理体制は整い始めていましたが、Kubernetes開発者が設立する企業の買収は、いよいよVMwareのマルチクラウド戦略を具体化させる第一歩だったといえます。

一気に加速するKubernetesへの取り組み

同社は翌年2019年中ごろには、ソフトウェアパッケージソリューションを提供していたbitnamiや、アプリケーションデリバリコントローラのリーディング企業であったAvi Networksを立て続けに買収。アプリケーションビルダーへの取り組みを強化していきます。

そして、同年8月のVMworld2019にて、モダンアプリケーションの開発を支援するPivotal、モダンアプリケーションのセキュリティに特化したCarbon Blackを買収することを発表。また、同タイミングで、戦略レベルでの「VMware Tanzu」の存在を打ち出します。

Pivotal、Carbon Blackともに、上場していた企業でしたが、VMwareが上場企業を買収したのは、1998年の設立以来、初めてのことでした。当時のレートで、Pivotalはおよそ27億ドル、Carbon Blackは約21億ドルで買収されています。

2020年3月に「VMware Tanzu」が満を持してリリース

さまざまな企業買収を経て、2020年3月11日(日本時間)、Kubernetes関連製品群である「VMware Tanzu」が正式にリリースされました。

同社CEOゲルシンガー氏は、Kubernetesが同社にとって、クラウドや20年前の仮想化、あるいはJavaがもたらした普遍性と同じくらいの価値をもつと位置づけします。

VMware史上初の上場企業の買収など、その力の入れ様がうかがえる、Kubernetesに対する戦略。同社はTanzuをもって、何を目指すのでしょうか?その真相を、次回以降のユニットで探っていきます。

【Kubernetes製品群「VMware Tanzu」の実力を探る】コラム一覧

富士ソフト VMware 仮想化ソリューションのご紹介

 
 

 

 

この記事の執筆者

山本 祥正
山本 祥正Yoshimasa Yamamoto

執行役員
ソリューション事業本部 副本部長

クラウド 仮想化 Vmware Tanzu