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《テレワーク実践ノウハウ》テレワークに適したデバイスとコミュニケーションツールで生産性を維持した業務継続を!

新型コロナウイルス感染症による影響が拡大していく中、多くの企業でテレワークが推進されています。富士ソフトでは2013年から全社員を対象として在宅勤務制度が導入されていますが、現在は社員の多くがテレワークで業務を行っています。企業のテレワーク導入でよく課題になるのがシステム環境の整備、どのようなツールをどのように活用すべきかとういうことです。今回は、私たちの経験から得たテレワークに必要なツールや機能、ノウハウについてレポートします。

富士ソフトのテレワーク

2020年2月17日、富士ソフトでは、社内に全社員在宅勤務推奨を含む緊急事態宣言が発信されました。さらに、4月7日の政府の 緊急事態宣言を受け、全社員に対して「可能な限り在宅勤務の徹底」が提示されました。

当社では、2013 年に全社員を対象とした在宅勤務制度が導入され、以来、テレワーク環境の整備・改良が続けられ、活用が広がってきました。
しかし、全国の拠点で、同時期に、非常に多くの社員がテレワークを実施するのは、今回が初めてのケースとなりました。

私のチームでは、以前から積極的にテレワークを活用していたこともあり、大きな問題もなくテレワークで業務に取り組めています。テレワークを成功裏に進められるかどうかは、会社の方針や制度はもちろんですが、どのようなデバイスやツールを選択し、どのように活用するかが重要なポイントになると考えられます。

当社では、全社員にiPad や Surface Go 等のタブレット端末を1人1台以上配布しており、自宅や外出先からでも、会社の各システムにアクセスできる環境を用意しています。場所を問わず、社内で業務を行うのと同じ環境を社外から利用できます。いわゆる一般的なテレワークの仕組みです。ですが、仕組みは活かして使うものです。当社独自の取り組みや私たちのチームならではの工夫、私がテレワークを実践する中での気付いたことなどを紹介します。

デバイスの選択、ストレスなく集中力を持続

○ストレスなくインターネットに接続

テレワークの導入にあたり課題になることが多いのが、ネットワーク接続環境の確保です。社内ではネットワーク環境は十分に整備されているでしょうが、会社の外に一歩出ると、そうはいきません。テレワークでは、外出先、移動中、自宅からインターネットへの接続が必要です。
そこで、SIMカードを搭載した iPad、Surface Go 等のモバイルデバイスを利用し、ストレスなく、瞬時に、どこからでもインターネットへ接続できるようにしています。
もちろん、SIM カードを搭載しないデバイスでもモバイル Wi-Fiルーターやスマートフォンのテザリング機能を使用すればインターネットに接続することは可能です。しかし、接続するまでに少なからず手間と時間がかかり、設定を誤ってインターネットに接続できないことがあるなど、貴重な時間を無駄にしてしまいがちです。 SIM カード搭載デバイスでは、起動時にインターネットへ自動で接続されるため、ネットワーク接続設定を意識することなく業務を実施、継続できます。テレワークに必須なインターネット接続におけるストレスを軽減し、”すぐに業務を開始できる”、”業務へ集中する時間を途切れさせない”環境を実現することが重要だと考えます。

〇セキュリティと利便性の両立

モバイルデバイスを利用する場合のセキュリティ対策として、不正操作のリスクを軽減するために、無操作状態が一定時間経過するとスクリーンロックがかかるようにしています。リスクをさらに軽減するために、スクリーンロックがかかるまでの時間を極力短くします。
この方法は不正操作のリスクを簡単に軽減できますが、ほんのちょっと考えごとをしただけでスクリーンロックがかかり、都度パスワードを入力するという手間が発生していまいます。
例えば、企画等を検討しながら資料を作成する場合、PC を操作せず考えて、まとまったらPCで資料を作成し、また手を止めて考えて、また資料を作成していると、PC を操作する度にパスワードを入力して、スクリーンロックを解除する必要があります。これでは集中力を持続できません。
Windows 10 では、顔認証がサポートされています。 PCがWindows Hello 顔認証対応デバイスであれば、PC に顔を向けるだけで、自動で生体認証が実行され、スクリーンロックが解除できます。パスワード入力という手間を省くことができ、本来の業務への集中力を持続できます。さらに、Windows Hello のような生体認証を活用することで、入力時のパスワードの覗き見を防ぐことができるため、セキュリティ面でも有効です。

〇周辺機器の活用でWeb会議の質を高める

テレワークでは社内の全ての会議がWeb 会議で行われています。そこではマイク付きのイヤホンが活躍します。テレワークにおいて、リアルタイムで双方向にコミュニケーションをとるために Web 会議の質を高めることは非常に重要です。
PC 搭載のマイクとスピーカーでもWeb 会議は可能ですが、周りの音でスピーカーからの音声が聞き取れなかったり、スピーカーの音をマイクが拾ってしまい相手に音声が伝わりにくかったりということがあります。
マイク付きイヤホンを使うことで、こういったコミュニケーションの阻害要因をかなり軽減できます。比較的安価なマイク付きイヤホンでも十分に効果を出せるので、非常におすすめです。

コミュニケーションツールは意図的に使い分ける

テレワークでよく問題になるのがコミュニケーションの手段です。「いつどのツールを使ったらよいのか分からない」といった声を聞きます。
当社では、コミュニケーション ツールとして、電話やメールに加えて、Microsoft Office 365 に含まれる Microsoft Teams(Teams)、Microsoft Yammer(Yammer)といったサービスが利用できます。効率的にテレワークを活用するには、これらのコミュニケーション ツールをシーンに応じて意識的に使い分けることも重要です。

○関係性の高い人とのコミュニケーション(部署/プロジェクト/タスクフォース)

所属する部署、プロジェクト、タスクフォース等の日々の業務で関係性の高い人とのコミュニケーションには Teams が最適です。
まず、テキストチャットでリアルタイムに双方向のコミュニケーションができます。イメージとしては、オフィスで業務する際に、日々顔を合わせるメンバーとの口頭のコミュニケーションと同じ感覚で、テキストチャットを使うといいと考えています。
Teams は、Windows、Linux、iOS、Android に対応しています。Windows PC でテキストチャットのやりとりを行い、その後、移動中でも iPhone, Android スマートフォンでそのままコミュニケーションを継続できます。
そして ディスカッション、ブレインストーミングなど、Teams で Web 会議を開催できます。カメラやマイク、スピーカーからのメンバーの表情、声、ジェスチャーなど対面に近いコミュニケーションができます。あたかも、メンバーのデスクに集まって PC モニターを見ながら議論するかのように、PC 上の画面をメンバー間で共有することもできます。
また、テキストチャットと同様の操作で各メンバーへの迅速なファイルの共有ができます。作成した資料をメールに添付して送付したり、ファイルサーバーやクラウドストレージなどにアップしてそのパスを送信したりする必要がありません。テキストチャットと同じ感覚で簡単にファイルを共有できます。
さらに、Teamsで共有した Word、Excel、PowerPointのファイルは、各メンバーが同時に開き、同時に編集できます。Web 会議と組み合わせて、会話しながら各メンバーが同一のファイルを閲覧・更新し、一緒に一つの資料を作り上げていくことができ、効率の良い共同作業を実現できます。
現在、テキストチャット、Web 会議、ファイル共有等の様々な優れた製品、サービスが各社から提供されていますが、Teams はそれらの各機能を一つのサービスとして統合して提供していることが大きな特長です。
業務のスピードを維持、向上させビジネスを継続するうえで重要なことは、業務の動線を途切れさせないこと、業務への集中を持続させること。
テレワークにおいてもオフィスでの業務のように、メンバーとのちょっとした会話から、議論に発展し、議論において必要となる資料の確認、議論をしながらの共同作業といった良質なチームワークの動線を一つのサービスで途切れなく実現できるという点が、Teams の長所であり、活用のしどころであると考えます。

Teamsは、テキストチャットからファイル共有、Web会議といった業務の動線をサポートする。
Teamsで共有したファイルを複数人で起動すると同時に編集ができる。
TeamsのWeb会議と組み合わせて、議論しながらの共同編集ができる。

○組織を横断したコミュニケーション

全社、組織、コミュニティなどを対象とした個人を特定しない相手との コミュニケーション には Yammer が最適です。当社では、社内 SNS として活用されています。オープンな コミュニケーション であることが非常に重要であり、効果的である点だと考えます。
例えば、お客様からの問い合わせに対して、過去に類似の事例がないか確認したいときに、Yammer にその旨を投稿すると、何らかの回答が返ってきます。もちろん、直接的な回答もありますが、全く知らない社員から「こんな情報ならこの部署のこの方が知っているかも」といった役立つ情報を得ることができたりします。オープンな コミュニケーション であるため、自身の関係性を超えたネットワークから情報を得ることができるのです。
そして、そういったコミュニケーションの蓄積は、自身にとって有益な情報の宝庫となっていきます。
例えば、社内のことで分からないことがあった場合に、担当業務部門への投稿の履歴を検索・参照することで答えを見つけられることがあります。 Yammer で自己解決できることで、担当者の業務負荷が減ることになります。窓口への問い合わせを都度、電話やメールで対応することは大切な業務でありながらも内容が重複しがちで、やはり効率的な作業とはいえません。このように、通常業務と思われる作業も社内 SNS を活用することで業務改善につながります
Yammer では、テーマごとにグループを作成できます。グループは対象メンバーを制限することもできますが、社内の誰でも見ることができるように メンバーを制限せずオープンに コミュニケーション を行うことこそが活用のポイントであると考えます。

○フォーマルなコミュニケーション

コミュニケーションツールのデファクトスタンダードである電子メールは、インターネット黎明期から存在し、ビジネスでも長い間使われてきており、業務では必須のツールとなっています。
利用シーンは、お客様やビジネスパートナー等の社外との連絡手段といったフォーマルな コミュニケーション という位置付けであると考えています。メール本文では「○○株式会社 ○○様 お世話になっております。富士ソフト増田です。」といった書き出しをしますが、フォーマルさを象徴していますね。
社内の業務においても上長への申請事項、部下への承認事項等の非定型の簡易承認ワークフローとしても機能しています。事実上、そういった申請承認業務のエビデンスにもなっています。
電子メールは、社外、社内のフォーマルな コミュニケーション と意識しながら活用することがポイントであると考えます。

コミュニケーション の質では、オフィスで仕事をしているときのような対面によるコミュニケーションに勝るものはありません。しかしながら、テレワークにおいても適切なツールを適切なシーンで使い分けて活用することで、対面に近い質の高い コミュニケーション を実現できると考えます。

最後に

新型コロナウイルスの感染が都市部で急速に拡大している事態を受けて、2020年4月7日に政府より「緊急事態宣言」が発表されました。これを受けて多くの企業がテレワークの実施に踏み切っています。これまでテレワークを実施していなかったけれど、この機会にテレワークを始めたという方々も多くいらっしゃると思います。

テレワークの導入には様々な対応が必要であり、最初は負担が大きいと考える方々もいらっしゃるかと思います。
ですが、テレワークに適したデバイスや周辺機器、各 コミュニケーションツールを業務シーンによって使い分けて活用することで、これまでのオフィスでの作業と比べて、生産性を維持したまま業務を継続できると考えます。
この事態が収束し日常を取り戻せた後でも、今回の皆様のテレワークの体験を経て、本来の目的である、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を実現するツールとしてのテレワークが多くの企業で活用が継続されればと考えております。

一日も早く、新型コロナウイルス感染症が収束することを願っております。当社の取り組みや気づきなどが、テレワークを実践するノウハウとしてお役に立てば幸いです。

 

この記事の執筆者

増田 裕正Hiromasa Masuda

ソリューション事業本部
MS事業部 MSサービス推進室
部長 / エグゼクティブフェロー

Microsoft Microsoft Azure AI(人工知能)