Amazon Web Services(AWS)が提供するIoTサービス「AWS IoT Core」を利用し、工場の設備保全業務を効率化したり製品の品質向上に役立てたりする企業が増えています。そうした中、2019年12月2日~6日に米国ラスベガスで開催されたAWSの年次イベント「AWS re:Invent 2019」では、AWS IoT関連のさまざまなサービスのアップデートがありました。富士ソフトからイベントに参加したエリア事業本部 インテグレーション&ソリューション部の森田和明が最新のIoTソリューションとトレンドについて紹介します。
―― AWS CEO アンディ・ジャシー氏によるキーノート(基調講演)では、AWS IoT関連サービスについてどのような新技術・新サービスの発表がありましたか。
AWS IoT関連サービスについては、re:Invent 2019の直前に発表済みだったため、キーノートでは特に目新しい発表はありませんでした。ただし、IoTソリューションに適用可能な新技術・新サービスの発表がいくつかありました。その中でIoTビジネスを担当する私たちが注目したのは、機械学習/AI関連の新サービスです。
現在のIoTシステムは、製造業における工場IoTや製品IoTが中心ですが、最近はそうしたIoTシステムに機械学習/AIを取り込もうという動きが活発化しています。デバイスから収集・蓄積したデータを分析処理したり、分析結果に基づいて自動判別したりするために機械学習/AIを活用し、業務効率化や生産性向上、製品品質向上を目指そうというわけです。キーノートではそうした機械学習/AIをWebベースで容易に開発・実装できる統合開発環境「Amazon SageMaker Studio」が発表されました。これは、IoTシステムに機械学習/AI機能を組み込んだソリューションを実現するのに、非常に意義のあるサービスです。
―― キーノート以外のセミナー、展示会場では、どのような技術・サービスの紹介がありましたか。
キーノートではIoTにあまり触れられませんでしたが、イベント全体ではIoTに関するセッションやワークショップがたくさんあり、展示会場にはIoT関連サービスを集めたブースも設置されているなど、AWS IoT関連サービスの詳細を知る機会が用意されていました。
特に注目したのは、AWSクラウドをエッジデバイスにシームレスに拡張する「AWS IoT Greengrass」の活用が広がっていることです。Greengrassを利用すると、センサーに近い場所にあるエッジデバイスがデータを収集・分析し、AWS IoTと安全に通信してAWSクラウド上に分析結果を送信することができます。また、クラウド上からエッジデバイスやセンサーを管理・制御することも可能です。
AWS IoTとデバイスを安全に接続できる新サービス「AWS IoT Secure Tunneling」の提供が始まり、IoTシステムを管理する「AWS IoT Device Management」のコンソールを通じて利用できるようになりました。また、 Greengrass対応デバイスでDockerコンテナとアプリケーションをデプロイ・実行・管理する機能もサポートされました。「Stream Manager for AWS IoT Greengrass」により、これまでより簡単にクラウド上のAWSサービスと連携ができるようになりました。こうした新機能により、Greengrassの活用がさらに加速すると期待しています。
セッションやワークショップに参加してわかったのは、AWSのIoTソリューションが機械学習/AIとの連携やエッジデバイスの導入に力を入れているということです。これは富士ソフトの方向性と完全に一致しており、これまでの取り組みが間違っていないという安心・自信につながりました。
―― 富士ソフトはAWS IoTによるシステムインテグレーションを提供していますが、富士ソフトのIoTソリューションにはどのような強みがありますか。
まず言えるのは、製造業を中心とするIoTシステムに対して、制御ソフトウェアなどからワンストップで対応でき、つねに新しい技術を反映させながらコーディネートできるということです。富士ソフトに構築・運用・保守をアウトソースしていただくことで、お客様がサービスに集中できる環境を提供できるよう努めています。
例えばIoTとAIを連携させたサーバーレスの情報基盤構築などにおいても、コストと価値の両面で効果を発揮した成功事例があります。こうしたIoTソリューションの導入実績を通じ、富士ソフトにはAWS IoTに関する豊富な経験・知見を蓄積しています。
また、AWSとの関係が非常に近いという強みもあります。富士ソフトは、国内SIベンダーでは唯一、AWSが認定する「IoTコンピテンシーパートナー」を取得しています。またAWS IoTサービスを対象にした「AWS IoT Coreサービスデリバリーパートナー」のローンチパートナーにも認定されています。
―― 今後はどのようなAWS IoT関連サービスによるソリューションに注力する予定ですか。
製造業を中心にIoTシステムはすでに当たり前になりつつあります。しかし、収集したデータを効率的・効果的に分析・活用するまでには至っていないというのが実情でしょう。それを加速するのは機械学習/AIであり、今後はIoTシステムに機械学習/AIを取り込むことを推進したいと考えています。
今のIoTサービスは複数のセンサーやエッジなどを用いたものが多くなり、保守・運用管理の複雑さや負荷は高まる一方です。こうした課題を解決しない限り、IoTシステムの分析結果をマネタイズするようなデータビジネスの展開は難しいと言えるでしょう。そこで今後は、企業がIoTシステムの保守・運用をアウトソーシングできるマネージドサービスを提供していきたいと考えています。
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