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「全日本ロボット相撲大会」にみるロボティクス技術

2018年度で記念すべき30回。近年進化した技術とは

富士ソフトでは毎年、ハードウェア/ソフトウェア/エレクトロニクスの技術とアイデアを結集した「ロボット力士」のトーナメント戦「全日本ロボット相撲大会」を開催しています。ものづくりを通じたロボティクス技術の向上に寄与したいという思いから1990年に始まったこの大会も、昨年12月で30回という大きな節目を迎えました。これまでの参加数はのべ53,816台、10万人以上にのぼり、世界35カ国の公認大会は54大会におよびます(2019年2月現在)。

大会は、コンピュータプログラムで戦う「自立型」と、選手がリモート操作して戦う「ラジコン型」の2部門に分かれています。いずれも、相手を直径154cmの土俵外へ押し出せば1本。3本勝負で2本先取により勝敗が決まります。ロボットの規格は、縦横20cm、高さは自由、重さは3kg以内です。

サイズや重さといった厳しい制約のもと、これまでさまざまな技術が登場し、ハードウェアの形や素材の進化がいくつも起こりました。例えば、相手をひっくり返すブレードや、相手のセンサーを撹乱させる長いアーム の登場など。

さらに最近は、エレクトロニクスの分野で進化が見られます。それは、「PIC」「H8」に加え「Arduino」などの新しいマイコンボードの登場により、だれでも簡単にマイコンボードを取り扱える環境になってきたことが要因です。

マニアックから一般へ。アイデアを形にすることが可能に

PICやH8は多くのツールが出ていますが、かなりマニアックなマイコンボードです。一方、オープンソースのArduinoは、プログラミング教育の追い風もあり、スターターキットが市販されるなど気軽に電子工作が楽しめるマイコンボードとして人気です。当社のプログラミング教材ロボット「プロロ(proro)」 で採用しているようなブロック型ビジュアルプログラミング言語も登場し、これまでマニアの中だけで成長していたエレクトロニクスの世界において、広く多くの方のアイデアが具現化できるようになりました。

最近ではさまざまなデバイスが廉価になって動作も安定し、デバイスをパソコンに繋ぎ、使うことが容易になりました。USBやWi-Fiで繋げばデバイスがいとも簡単に認識され、指示した通りの動作をしてくれます。昔は、パソコンとデバイスの接続にシリアルケーブルを使い、通信速度や設定などを合わせないと接続できない、うまく繋がったとしてもセンサーが敏感すぎて思うように動かないなど、プログラムをボードに書き込む前段階で四苦八苦していました。

今はレゴブロックのように、必要なハードウェア/ソフトウェア/エレクトロニクスを組み合わせていけばロボットができあがる時代。必要なデバイスを購入し、実装し、ボードをつくれば、自分たちが思い描いた通りにロボットを動かせる時代になりました。

回を重ねるごとに作戦が巧妙化。どんな時も最大の力を発揮するために

最近のロボット相撲は作戦が巧妙化し、以前のように0.2秒で軍配が上がるような取組は少なくなりました。平均で2~5秒くらいでしょうか。相手を認識し、判断し、動作する高度なプログラムが組めるようになったためです。第30回大会では、対戦相手によってプログラムの処理を変えてくるロボット がいくつか見られました。今後はこうしたプログラムによるロボットごとの動作の違いがますます出てくるだろうと思います。繋がる、動くのは当たり前。肝心なのは、ロボットに装備されるさまざまな機能をどう使うか。ロボットに対するコンセプトを持ち、技術を高めつつも、やはり最終的には「発想力」が勝利のカギを握ると思います。

2019年12月の第31回大会に、世界各国そして国内の参加者がさらなる成長を遂げて集うのを楽しみにしています。

富士ソフトの「全日本ロボット相撲大会」について、詳しくはこちら
「全日本ロボット相撲大会」
プログラミング教材ロボット プロロ(Proro)について、詳しくはこちら
プロロ(Proro)

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