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ECの売上アップ奥義

前回(ECでビジネスの可能性は広がるか)は、当社が手がけた独自ECサイト構築のうち、既存のパッケージでは実現できないような特徴のある事例を紹介した。
ECサイトに取り組むのであれば、既存のショッピングモールやECパッケージソフトを使えば簡単だ。ただ、それだけでは業界でトップを目指すことはできないだろう。
そこで、長年にわたりECサイトの構築・運営に携わった当社だからいえる、”ECサイトの売上が高みに到達するための奥義”を紹介しよう。

顧客を増やすことだけを考えていないか?

ECサイトを構築するにあたってまず問題になるのは、「やりたいことはあるが、既存のシステムで実現できることとの差がありすぎる」ということだろう。例えば、「多くの従業員を採用して運用体制は整ってきたが、新たにサイトを構築するには業務負荷が高過ぎる」、「日々の事務処理に追われてシステム化まで頭が回らない」、「既存のシステムで得られるデータしか見えていないため、ECサイトを効率よく改善するためのデータ分析に取り組めない」など。このような事例が非常に多いのだ。
結果として、「思ったように売上が上がらない」、あるいは「売上が伸び悩んでいる」といった状況に陥る。

これらの対策として、顧客を増やすためにSNS施策を行う企業は多いだろう。最近ではTwitterやFacebook、InstagramやLINEなどユーザの多いサービスも登場しており、これらを活用しているケースも多い。
SNSを使うと顧客接点の機会が増え、集客数の増加には一定の効果があると考えられる。特にアパレルや美容系では、ブランディングの点から高品質なビジュアルを駆使したSNS施策を打つ企業がよく見られる。

ただ、集客数を増やすだけで売上がアップするのだろうか?
その前に、実はやらなければならないことがある。

「アクセスログを見ていただきたい」とECサイトを運営する方にお伝えすると、一定規模の企業であれば「アクセスログは見ているし、分析している」と答えるだろう。
実際に、ログ分析ツールは使いやすくなっていて、ユーザの動向を視覚的に把握できる。だが、売上が伸びない要因を、ポイントを踏まえて分析している企業は、そう多くはないようだ。

奥義1:目先のデータだけでなく、原因を探るデータを考える

データを分析する場合、ECサイトでよく使われている購入フォームを例に考えてみて欲しい。
多くの企業では、どのようなキーワードで検索され、サイトにたどり着いたユーザのうち何%くらいが購入したのか、といったコンバージョンレートなどは把握しているはずだ。デバイス別、ページ別のアクセス数、クリック率や直帰率なども定期的に分析しているだろう。
ただ、購入に至らなかったユーザがどのような理由でやめてしまったのか、把握できているだろうか?

ユーザが購入完了に至るまでには、入力→確認→完了 など、いくつかの工程を踏む。実は、この工程の途中で購入をやめる人が多数いるのだ。一般に、購入中に買い物をやめてしまう人の割合は、70%を超えると言われている。入力が終わった後に、未入力箇所がある、入力不備がある等のエラー画面が出てくると、1回目は50%程度、2回目は70%以上が購入をやめてしまう。

つまり、なぜ購入の途中でやめるのか、その原因を分析するところから始める必要がある。
例えば、入力エラーになったがどこが間違っているのかわからず先に進めない、オプションの選択方法がわからない、など画面の構成に問題があると、ユーザに購入する意思があっても売上にはつながらない。

購入する意思があるユーザを購入完了までスムーズに誘導することと、SNSなどを活用して見込客を開拓することを比べて、成約確度が高いのはどちらか、言うまでもないことだ。このように、ECの仕組みの問題が解決できれば、SNS施策といったプロモーションを強化せずとも、状況が改善されることがあるのだ。

ユーザの行動履歴を把握できるのは、実店舗にはないECサイトの強みであり、これを活かせなければECサイトを運用する価値は半減する。当社では、まずEC分析サービスを行い、目先の改善策ではなく、根元から原因を探ることで、お客様のEC売上アップに貢献している。

奥義2:ECサイトは「決済システム」だけではない

一定の売上と会員数が得られると、ユーザの動向を把握するだけでなく、顧客分析の必要性が出てくる。いわゆる「CRM(顧客関係管理)」である。過去に購入した履歴を分析することで、顧客の囲い込みや戦略的なマーケティングが可能になる。

昨今はCRMパッケージを提供する業者が増えているようだが、ECサイトを運用するお客様からは、「複数の業者から似たようなツールの売り込みが来て、どれを導入すればよいのかわからない」という相談を受けることがある。
実際に、この種のツールは商品カタログを見る限り、どれも同じように見える。このようなツールはどんどん新しい機能を搭載したものが登場する。単純に導入しているだけであれば、バージョンアップによって新しい機能を取り込めるかもしれないが、ツールをカスタマイズしていると、機能を活用できない可能性もある。

このような状況を踏まえ、当社では、お客様の運用状態と世の中のトレンドを踏まえ、最適なツールを提案するサービスも提供している。また、欲しい機能があれば追加で開発することも可能だ。

買い物の手段としてECの利用率が増す中、「決済システム」としての役割しか果たしていないECサイトは、生き残ることができない。お客様のECがビジネスとして成功し、かつ持続していくために、戦略的なツール活用が不可欠なのである。

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この記事の執筆者

柴田 晃宏Akihiro Shibata

執行役員
ネットソリューション事業本部長

EC レポート