AI導入に必須となるデータの見える化。その必要性と取り組みのご紹介 ~自然言語処理とテキストマイニングによる「顧客の声活用」~

インターネット上にあふれる顧客の声を活用したマーケティングの進化が著しい昨今。企業が保有しているコールセンターのログ、アンケートのログのほか、ツイッターやインスタグラムなどにもリアルタイムで様々な情報があふれ、ソーシャルメディアの分析は重要視すべき時代と言えるだろう。

このような一連の分析をリアルタイムに把握するために、「自然言語処理」、「テキストマイニング」といった技術が活用されている。ここでは、自然言語処理やテキストマイニングを利用して、マーケティング分野でどのように顧客の声が活用されているかを紹介していこう。

富士ソフトは、2018年4月4日~6日に開催された「AI・人工知能EXPO」に出展し、株式会社プラスアルファ・コンサルティング 見える化エンジン事業部 副事業部長 坂慎弥 様をゲストに迎え、当社ブース内で講演を実施した。本記事は講演で坂様にお話しいただいた内容の紹介である。

顧客の声活用とは

テキストマイニングは、自然言語処理技術を用いて、膨大な量の定性情報(テキスト)からビジネスのヒントを発見できる技術である。そして、顧客の声をビジネスに活かす取り組みを「顧客の声活用」という。

では具体的にはどのようなものを顧客の声と言うのだろうか。
例えばコールセンターを保有する企業であれば、コールセンターのログ、調査、アンケートなどが顧客の声だ。またツイッターやインスタグラムなど、SNSのデータも顧客の声活用の対象となる。膨大なテキストの中からいかに「宝物」と言える意見を収集し、それを商品改善に活かすかが重要だ。

顧客の声活用に必要な3つの要素

顧客の声活用に必要な3つの要素は、顧客の声の「分析」、「収集」、「共有」である。ここからは、株式会社プラスアルファ・コンサルティングで提供している「見える化エンジン」というツールを利用した顧客の声活用について紹介する。「見える化エンジン」は、様々な企業で注力している“顧客の声を吸い上げ、戦略に活かす”という部分の橋渡し的な存在である。

声の分析

まずは分析について。膨大なテキストデータを見る際は、「鳥の目」と「虫の目」を意識していただきたい。膨大なテキストデータをまず高いところから俯瞰的に見るのが鳥の目、一件ずつ細かく見るのが虫の目だ。

見える化エンジンでは、例えばアンケートデータを取り込むと、鳥瞰図が表示される。もしみなさんが化粧品の商品担当者だとすると、悪い評価の言葉は気になるのではないだろうか。見える化エンジンは、例えば以下の図のように「駄目だ」をクリックすると、「洗いあがりに乾燥して駄目だ」、「顔がひりひりして駄目だ」といったような顧客の声を抽出することができる。これが鳥の目で顧客の声を見るということである。

さらに深く掘り下げると、顧客が実際に書き込んだ原文にたどり着ける。これが虫の目である。

画面には女の子のアバターが表示されるが、自然言語処理を使って内容を理解させているため、悪い評価の場合には女の子が泣いている表情になる。忙しい経営者の方でも、自社商品に対して女の子が泣いていたら、ほっとくわけにはいかないはずだ。このように、見える化エンジンでは顧客の声を生で感じてもらう仕掛けが様々な形で実装されているのだ。

他にも、見える化エンジンではデータを俯瞰的に見る方法が用意されている。

例えば、複数の方に「ガムを食べたいときは、どんなときですか?」というアンケートを取るとしよう。集計結果をすべてテキストで見るのは大変だが、見える化エンジンに集計データを取り込めば、以下のように表示される。

主要な単語が青で、主要な単語同士を結び付けると、島が現れる。この島の一つひとつがテーマに対する回答である。このように、膨大なテキストを一瞬で分類してくれるのがテキストマイニングだ。従来であればこういった集計は人の手で実施していたが、見える化エンジンを利用することで、人がクリエイティブな作業に充てる時間をより長く確保することができるようになるのである。

声の収集

アンケート結果を知りたい場合は、CSVやExcel ファイルを見える化エンジンに手動で取り込むことができる。コールセンターのCRMシステムや音声認識システムなどは、自動連係も可能だ。またソーシャルメディア分析では、キーワードを入力するだけで、見える化エンジンが自動でデータを収集してくれる。

最近はインスタグラムの人気が高く、顧客の声を多く収集できる。ただし、これまでのソーシャルメディア分析とは違い、インスタグラムは画像データとテキストデータが組み合わさっている。
見える化エンジンは、これも対応可能だ。人工知能技術を使用し画像に何が写っているかを判断することで、画像解析とテキストマイニングを一緒に実施している。これがまさしく、“最新の顧客の声活用”と言えるだろう。

声の共有

顧客の声活用に関する先端企業は、分析に留まらず共有にも力を入れている。各企業は、見える化エンジンを分析ツールのみでなく、社員一人ひとりに顧客の声を届けるプラットフォームとして使っているのだ。

ここでいくつか、社内共有の仕掛けを紹介しよう。

まず、見える化エンジンはレポートをお気に入りやブックマークのような形で保存することが可能だ。レポートのURLを社員に配布することで、社員は一人ひとりが気付きを得て、それを商品作りに活かす。このように先端企業では、商品づくりにおいて、全社員で共有し、取り組むということが行われているのだ。

2つ目は、レポートをメールで送る仕組みだ。見える化エンジンで生成したレポートをメールで社員に送り、出勤時に携帯で見てもらうことが可能である。

さらに、デジタルサイネージを用いオフィスに掲示するという方法もある。社員食堂やエントランス、そして役員室などがその対象となる。とくに役員は生の顧客の声を把握する機会があまりないため、掲示すると喜ばれるという話をよく聞く。

高度な自然言語処理とその応用

難しい日本語へ対応

ここで、簡単に自然言語処理の話をしよう。自然言語処理とは、例えば「敏感肌ではないけどヒリヒリしてダメでした。にきびに効果があったのかよく分からなかったし。今は使っていません」というような文章を以下の図のようにする技術である。

読み方は左下から右上だ。このように文章を単語で区切り、それが名詞なのか形容詞なのか動詞なのか、かつそれが文末なのか否定なのか要望なのか疑問なのか、構造化することでこのようなアウトプットを作っている。

日本語は難しい。例えば「しかない問題」という重要な問題がある。「彼はビールしか飲まない」という文章では、「彼」はビールを飲んでいるのかいないのか、どちらか分かるだろうか? 答えは、飲んでいる。
人間であれば簡単に分かることだが、機械にとっては難しい。見える化エンジンは単語だけに注目せず、文脈を見て判断する技術を持っているのだ。

ホットな声を見つける手法

大量のデータからホットな声を見つけるには、優先付けが必要だ。そのためには、感情を分析することが欠かせない。「使いたい」、「潤したい」、「買いたい」、「試したい」といった要望に対してはぜひ応えたいと思うし、「使えない」、「手放せない」、「言えない」などは商品改善の種である。

また競合商品と比較する場合、「AビールよりもBビールの方が美味しい」といったデータを取るには、一つの手段として正の字を書いてカウントする方法がある。しかし、見える化エンジンであればワンクリックで集計結果が表示される。

以下のようなマトリックス形式の勝ち負け表も抽出可能である。AはBと比較して何と言われているか、こういったデータが取得できると競合比較が簡単に実施できる。これは自然言語処理ならではのサービスである。

最新のポジネガ評価

最後はポジネガ分析について。「可愛いボトルと甘い香りで使用感は悪くなかったんですけど、美白効果が体感できずガッカリした。」という文章を読むと、人間はネガと取るだろう。しかし機械にとっては、簡単ではない。見える化エンジンの新しい技術は、文章を主文と従属文に分け、主文の重要度は高く、従属文の重要度を低く設定する。いうなれば、文章を木に見立てて、幹と枝に分けるイメージだ。幹に注目して枝葉は刈り込むといった評価をしている。

「しっとりするのは良いんだけど、結構ベタベタするし、何よりもこの匂いがひどすぎます。」こういった言葉もしっかりと枝葉と幹を分けることで、これはネガであると分類する、というようなことを実施しているのだ。

ネガポジ評価は昔からあるが、日本語の進化をきめ細かく把握して対応することが、言語処理の専門会社の得意技と言えるだろう。

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柴田 晃宏
柴田 晃宏(Akihiro Shibata)
ソリューション事業本部
ネットビジネス事業部
部長 / エグゼクティブフェロー

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